<面接前の準備>
null面接の流れと、注意すべきポイントは?
面接の内容や進め方は企業によって異なりますが、一般的には、「自己紹介」→「キャリアやスキルの確認」→「転職理由・志望動機の確認」→「応募者から企業への質問」という流れで進みます。それぞれの場面で注意しておくべきポイントは以下のとおり。
●自己紹介
経験してきた業務、成功体験、身に付けたスキル、強み、志望動機などを話します。このとき、ダラダラと話し続けるのはNG。2~3分で簡潔に、ポイントを伝えられるよう話を整理しておきましょう。
●キャリア・スキルの確認
実力以上のアピールをしても、細かく突っ込まれると見抜かれてしまいます。反対に、謙虚になり過ぎると「自信がないのか」とマイナス印象に。
●転職理由・志望動機の確認
前職への不満だけを語らず、前向きな目標を伝えましょう。志望動機は、どんな会社にも当てはまることではなく、「だからこの会社」というポイントを伝えてください。
●応募者から企業側への質問
最後に「何か質問はありますか?」と振られたとき、「ありません」では入社意欲が疑われてしまうかも。「待遇・条件」ではなく「事業」「仕事」に関する質問を用意しておくといいでしょう。
「ネガティブな転職理由」をどのように伝えればいい?
転職を決意した理由は「不満」だったとしても、面接でそのまま伝えるだけでは納得してもらえない可能性大。「~が嫌」というネガティブな表現は避け、「今後は~したい」と、前向きな目標に転換して伝えることが大切です。
また、安易に辞める決断をしたのではなく、「自分なりに努力した」ということが伝わるといいでしょう。
例えば、次のような「言い換え」を工夫してみてください。
「今の会社は考え方が古いんです。上司も部下の言うことを聞かない人で、尊敬できません。そんな環境が嫌で、我慢できなくなりました」
↓
「今の会社は保守的で、新しいチャレンジをしようという姿勢が感じられません。私は○○○や△△など新しい手法を取り入れてみたいと考えて、何度か上司に提案したのですが、考え方に違いがあり、受け入れてもらえません。私としては新しい取り組みにチャレンジして成長したいという気持ちがあります。御社ならそれができるのではないかと今回応募に至りました」
このように、意味は似たようなことでも、後者のほうがポジティブに感じられます。どのように表現するかを事前に考えておきましょう。
相手を納得させる「志望理由」の伝え方は?
「志望理由」は、経験・スキル以上に「採否」を大きく左右することがありますので、自分の考えをしっかり整理しておくことをお勧めします。
「商品が魅力的」「成長している」「女性が多く活躍している」――など、相手企業の良いところを褒めるだけではNG。「自分は御社に貢献できる」ということを志望動機に織り込むよう意識してください。
例えば、
「御社が始めたサービス・○○がとても素晴らしいと思い、ぜひ携わりたいと思いました」
↓
「御社が始めたサービス・○○がとても素晴らしいと思い、ぜひ携わりたいと思いました。今は○○のメインターゲットは20代女性が中心かと思いますが、私は30~40代の主婦層向け商品のマーケティングを手がけた経験があるので、○○のユーザーを主婦層にまで広げたいと考えました」
このように、「自分がその会社でやりたいこと」=「その会社にとって利益になること」と結び付けられれば、相手企業はあなたを採用するメリットを感じてくれるはずです。
「最終面接まで進んだのに不採用」を防ぐには?
1次~2次面接では好感触だったのに、内定を確信しつつ臨んだ最終面接で「不採用」となってしまうケースは少なくありません。これを防ぐために、最終面接の相手である社長や役員クラスが重視しているポイントを理解しておきましょう。
●企業理念・方向性への共感や理解があるか
企業サイトや採用サイトなどで「理念」「ミッション・ビジョン・バリュー(※)」のメッセージが強く打ち出されている場合、その企業の経営陣はそれを重視している可能性が高いといえます。それに共感できるかどうか、実践していく意欲があるかどうかを、実体験のエピソードを交えて語れるようにしておきましょう。
●長期的に成長し、会社に貢献していけるか
1次・2次面接では「即戦力性」「一緒に働きたい人物か」といったポイントが重視されますが、経営者は長期的視点で「成長意欲があるか」「会社の成長を支えてくれるか」を見極めようとしています。「今持っている経験・スキルを活かして、この業務をこなせます」だけでは不足。今後どんなことにチャレンジし、どのように成長していきたいか、目標や将来ビジョンを語れるようにしておくといいでしょう。
<面接当日の心得>
null自分では気付かないうちに「マイナス印象」を与えないように
「面接の受け答えがしっかりできた」と手応えを感じていても、自分が気付かないところでマイナス印象を与えてしまっているケースが多数。実際に人事から聞いた「あれはちょっとね」と思われがちなことの一例をご紹介しましょう。
●「スーツやジャケットなのにバッグや靴などがカジュアル」など、違和感を抱かせるファッションコーディネート
●メイク、ネイル、ブランド品の持ち物などが、その会社の社風に合っていない
●面接官に対しては腰が低いけれど、受付やお茶出しをした若いスタッフには素気ないなど、相手によって態度が変わる
●最初は礼儀正しかったのに、打ち解けるとなれなれしい口調や態度になる
「話し方」一つで印象アップ
面接では「話す内容」だけでなく、「話しぶり」にも気を配りましょう。
相手に好印象を与えるために、次の3つのポイントを心がけてみてください。
●「経験・実績」は冷静に、「やりたいこと」は熱く
経験や実績などは「客観的事実」として淡々と説明しましょう。熱が入りすぎると、「思い込みが強そう」「『盛って』話しているのでは?」などと勘繰られるかも。一方、志望理由や入社後の目標は、素直な感情を出して「熱い想い」を伝えることで相手の心に響きます。
●仕事のことを楽しそうに話す
これまで経験した仕事のエピソードやこれから取り組みたいことなどは、意識的に「笑顔で」話してください。「仕事を楽しんでいる」と感じられる人は、「一緒に働きたい」と思われます。笑ってみると、自分自身の緊張もほぐれるでしょう。
●「聞く姿勢」を持ち、あいづちを打つ
面接官が会社や仕事の説明をしている間、無表情だと「理解している?」「興味がない?」と不安を抱かれます。「興味を持っている」と伝えるためにも、相手の顔をちゃんと見て、あいづちを打ち「はい」と合いの手を入れるなどしながら聴くようにしてください。
不利なポイントを突っ込まれたらどうする?
転職でマイナス印象を抱かれがちな次のポイントについては、面接で突っ込まれた場合、次のような受け答えを心がけてください。
●「転職回数が多い」「職歴に一貫性がない」
「スキルアップ」「経験の幅を広げる」など目的があった場合、それを伝えましょう。実際には「不満から逃げる」転職だったとしても、「それぞれの職場でこんなスキルを身に付けたので、御社でこう活かしたい」と前向きな伝え方を。
●「前の会社での在籍期間が短い」
「短期間で辞めることになり、企業選びに甘さがあった」と素直に反省していることを述べた上で、「短い期間だが、○○を学んだ」「前は企業研究が不足していたが、今回は御社のことをしっかりと理解した上で応募した」といったことを伝えられれば、納得を得やすいでしょう。
●「ブランク(離職期間)が長い」
仕事はしていなくても、目的意識を持って積極的に行動していたことを伝えたいものです。趣味の活動でもいいので、何か学んでいたこと、新しいことに挑戦していたことがあれば、向上心がある人物と思われる可能性があります。
「何か質問はありますか?」への対応が評価を左右する
面接の最後には「何か質問はありますか?」と聞かれます。これは最後のアピールチャンス。相手に「おっ」と思わせる質問ができれば、評価アップする可能性もあります。
「うちの会社をちゃんと研究してきているな」「本気でこの仕事に取り組もうとしているんだな」と感じさせるような質問を投げかけたいものです。
<例>
「御社はさまざまな部門が連携してプロジェクトにあたることが多いと伺いました。部署同士、スタッフ同士の意見交換や情報共有は、どんな形で行われているのでしょうか?」
「競合であるA社は近々○○分野にも進出するようですが、御社では異分野への展開も考えていらっしゃるのでしょうか」
「この商品は、現在は○○と△△のみで販売されていますが、将来的に販売チャネルや販売方法を広げていく計画はあるのでしょうか? 私は□□の販売ルートの開拓も手がけたことがあるので、その経験を活かすチャンスがあれば…と思いまして」
なお、会社のホームページを見ればすぐにわかるような質問や、「仕事は厳しいですか?」といった漠然とした質問はしないように気を付けてください。
面接の準備をするかしないかで、通過率は大きく変わります。当日、あなたの強みが相手にしっかり伝わるよう、これまでの経験や今後の目標を整理・言語化しておきましょう。
構成/青木典子