最終面接の相手は「経営者」。見ているポイントが異なる
null小規模企業の場合は1次面接から社長が出てくることもありますが、一般的には1次面接~2次面接は人事担当者や配属予定先の部門長が行います。
ここで見られているのは、「求める経験・スキルとマッチしているか」「職場になじめそうな人物か」というポイントです。
しかし、最終面接で会うのは社長や役員クラスであり、1次~2次の面接担当者とはまったく異なる視点で応募者を見ています。もちろん、企業や人によって異なりますが、概ね以下のポイントが注目されています。
企業理念・方向性への共感や理解があるか
応募先が中小ベンチャーなどの場合、経営者は、経験・スキル以上に「自社の理念に共感してくれるかどうか」を重視していることが多いものです。
企業ホームページや採用ページなどを見てみると、「理念」「ミッション・ビジョン・バリュー(※)」などが掲げられていることがあります。
このメッセージが強く打ち出されていると感じた場合、その企業の経営陣はそれを非常に重視している可能性が高いといえます。
こうした「理念」は、「建前なのでは」と思われがちですが、近年、成長しているベンチャーほど「理念」「ミッション・ビジョン・バリュー」にこだわりを持っているケースが多く見られます。
最終面接に臨む際には、その企業の「理念」「ミッション・ビジョン・バリュー」に共感できるかどうか、実践していく意欲があるかどうかを、実体験のエピソードを交えて語れるようにしておくことをお勧めします。
※ミッション(mission)=果たすべき使命・企業の存在意義
ビジョン(vision)=将来ありたい姿
バリュー(value)=組織共通の価値観
長期的に成長し、会社に貢献していけるか
1次・2次面接の面接担当者が「即戦力性」「一緒に働きたい人物か」といったポイントを重視している一方、経営者は長期的視点で「成長していこうとする向上心があるか」「会社の成長を支えてくれるか」を見極めようとしています。
「今持っている経験・スキルを活かして、この業務をこなせます」だけでは物足りなく感じられてしまいます。入社後、どんなことにチャレンジし、どのように成長していきたいか、目標や将来ビジョンを語れるようにしておくといいでしょう。
――もちろん、「採用判断は基本的に現場に任せる」という方針の経営者もいます。その場合は、最終面接は「顔合わせ」程度で、よほど気になることがないかぎりはあっさり通過するでしょう。
しかし、経営を預かる立場の人にとって、「人材」は大きな課題。「本質」の部分をよりシビアに見られる可能性があることを意識しておいてください。
ここに注意!最終面接でのNG行動
null他にも、最終面接で心証を損ない、評価ダウン→採用見送りとなってしまう理由はいろいろとあります。次のポイントにも注意してください。
●強気の条件交渉
最初は謙虚な態度だったのに、1次~2次面接で内定を確信したとたん、年収交渉などを強気な態度で持ちかけるのは控えましょう。
●なれなれしい態度
1次・2次面接で人事担当者や現場担当者と話が盛り上がり、すっかり打ち解けた場合、気が緩んでなれなれしい態度を取ってしまう人もいらっしゃいます。すでに身内になったようなノリで最終面接に臨まないように。また、会食などがある場合も、気を抜かないようにしてください。
●入社意思が曖昧
他社の選考も進んでいて、内定を受けても入社するかどうかわからない――そうした場合も、入社意思や入社時期を曖昧にし、ごまかそうとする態度は禁物。相手も、併願は当然と捉えていますので、正直に状況を伝えましょう。「他に応募している企業もあるが、御社に魅力を感じている」と、前向きな姿勢を見せましょう。
構成/青木典子