前回は、ベンチャー企業の実態や働くメリットについてお伝えしました。
ベンチャー企業は一般的に、草創期~拡大期~安定期~多角期~変革期……というステップを踏んで成長していきます。同じ企業でも、成長ステージによって組織状態や課題が異なり、求める人材像も異なるのです。
では、それぞれの成長ステージの環境、採用課題を見ていきましょう。自分ならどんな状況に面白みを感じるか、考えてみてください。
「草創期」に向くのは「仕組み作り」「変化」を楽しめる人
null創業してから日が浅い「草創期」は、混沌とした状態。ビジネスアイディアはあるものの、まだ仕組みやルールが固まっていません。
ですから、「マニュアルがないと不安」という人には厳しい環境ですが、「自分でマニュアルを作りたい」というタイプの人には面白いステージといえます。「朝令暮改」のような突然の方針転換も起こりやすいのですが、そうした変化を楽しめる人に向いています。
このステージの企業では、指示を受けなくても、自分で考えて判断して動ける人が求められます。
「私の担当はこれ」と範囲を限定せず、必要に応じて幅広い業務に対応する姿勢が必要。その分、経験の幅を広げることができます。
「拡大期」に向くのは、「専門性」を活かしたい人
nullビジネスモデルが固まり、事業を拡大していく時期には、組織の機能が分化していきます。
つまり、それまでは一人がマーケティング・企画・営業を担当していたところ、それぞれの専門部署が設立され、その業務に従事するメンバーの採用が行われるのです。
専門スキルを活かしながら、まだまだ柔軟な組織の中で独自の工夫をしていけるやりがいがあります。
草創期より規模が大きくなることにより、ダイナミックな仕掛けも可能に。社員一丸となってIPO(新規株式公開)を目指すなど、活気ある環境に心地よさを感じる人に向いています。
「多角期」に向くのは、「戦略」を描きたい人
null事業・組織が確立し、商品・ブランドも認知されてきた企業が新規事業などに乗り出す「多角期」。競合も出てくる中で、より差別化を図っていくため、マーケティングや新規事業経験者のニーズが高まります。
自社のブランド力やリソースを効果的に活用しながら新たな展開をしていくにあたっては、戦略的思考や計画性を持つ人材が求められます。
すでに安定した基盤があるため、草創期ほどのリスクを負うことなくチャレンジができるのが魅力といえるでしょう。
新規事業への取り組みでは、他社と提携をしたりM&Aを行ったりすることも。対外折衝力や調整力も活かせるステージです。
「変革期」に向くのは、「困っている人を助けたい」人
null「変革期」とは、成長が鈍化したり業績が悪化したりして、思い切った改革や方向転換を図る時期。
社員のモチベーションも落ちているので、「マイナスの状況から再生する」ことにやりがいを感じる人に向いています。
既存の概念を破って新たな方向を示す必要があるため、リーダーシップも求められます。古い体制や手法と新たな取り組みの間に立つため、調整力も重要です。
苦労は伴いますが、業績を回復させれば、既存社員から感謝され、キャリアの価値も高まります。
中には、「拡大しながら多角化している」など、特定のステージに当てはまらない企業もありますが、こうした傾向を意識しつつ、ご自身の経験や志向に合うステージの企業を探してみてください。
構成/青木典子