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「ご指導ご鞭撻」を使ってはいけない場面は?正しい意味は?【あらためて知りたい頻出ビジネス用語#2】

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社内外のスピーチなどでよく耳にする“ご指導ご鞭撻”という言葉。どのような相手に対し、どんな場面で使うのが正解なのでしょうか。今回は、“ご指導ご鞭撻”の意味やNG使用例についてお届けします。

解説して頂いたのは、『たった一言で印象が変わる大人の日本語100』(ちくま新書)など、多数の著書を持つ国語講師の吉田裕子さんです。

「ご指導ご鞭撻」の意味とは?

“ご指導ご鞭撻”の読み方は“ごしどう ごべんたつ”。独立した2つの単語が結合し、慣用句のように使われています。

“指導”(しどう)は教え導くこと。

“鞭撻”(べんたつ)は、もともと“むちで打つ”という意味で使われていましたが、現代日本語では“努力するように励ます”という意味が強くなっています。

「ご指導ご鞭撻をお願いします」という言うときには、「多少厳しくてもいいので、どんどん教えてください」という気持ちをこめて使います。「ビシバシ鍛えてください」を丁寧にした表現……と言ったら、イメージがわきやすいかもしれません。

「ご指導ご鞭撻」はどんなときに使う?例文は?

ビジネスシーンにおいて”ご指導ご鞭撻”を使うのは、以下のような場面が想定されます。

【「ご指導ご鞭撻」使用場面例&例文~ビジネス編~】

●新しい部署での自己紹介の最後に

ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします。

●新しい取引先との関係が始まるときのメールの文末で

→至らぬ点があるかと思いますが、ご指導ご鞭撻を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

●プロジェクトがひと段落したときのあいさつ

→皆様のご指導ご鞭撻のおかげでやり遂げることができました。

このように、仕事の節目に「厳しくてもいいので、いろんなことを教えてください」という謙虚な気持ちを表すために、目上の相手やスピーチを聴いている相手に向けて使います。

【「ご指導ご鞭撻」使用場面例&例文~プライベート編~】

プライベートでは、以下のような場面で使うことができます。

●結婚式での新郎新婦によるスピーチ

→まだまだ未熟な2人ですが、今後もご指導ご鞭撻をお願いします。

結婚式では、当人だけでなく、親族によるスピーチでも「今後とも新郎新婦の2人にご指導ご鞭撻をお願いします」と当事者を代弁してお願いをする場面で使われています。

●お世話になっている人が集まるパーティでのスピーチ

→今後とも、変わらぬご指導ご鞭撻を賜りますようよろしくお願い申し上げます

●地域活動(PTAや町内会など)での役員就任の挨拶

→PTA執行部での活動は初めてですので、経験者の皆様のご指導ご鞭撻をお願い申し上げます。

「ご指導ご鞭撻」の使い方の注意点は?

“ご指導ご鞭撻”は、中長期的な指導・応援をお願いするときに使いますので、今この場での具体的な意見や指摘が欲しいときには別の表現を使ったほうがいいでしょう。

【NG例文(1)】

・ご依頼頂いた見積書を送付いたします。修正点がありましたらご指導ご鞭撻のほどお願いします。

→具体的な案件への意見が欲しいときには、“ご指導ご鞭撻”を使うよりも「ご確認のうえ、何かございましたらご指摘ください」などと言ったほうがよい。

また、“ご指導ご鞭撻”は、自分や自分の身内をへりくだって相手に指導をお願いするニュアンスがあるので、自分を主語にして使うことはありません。

【NG例文(2)】

・私は厳しくご指導ご鞭撻するときもありますが、がんばってください。

→自分を主語に“ご指導ご鞭撻”を使うことはない。「厳しく指導することもありますが、がんばってください」であれば可。

「ご指導ご鞭撻」を言い換えると?

続いて、“ご指導ご鞭撻”の言い換え表現をチェックしていきましょう。

(1)「お導き」

“ご指導ご鞭撻”をやわらかくした表現です。“厳しくする”という意味はないので、先輩の知識や経験をたてて、指導をお願いするときや、指導に感謝するときに使われています。

【例文】

・未熟者ではありますが、お導きのほどよろしくお願い申し上げます

(2)「ご指南」

“指南”は、教え導くことを意味します。専門的な技術やビジネスのノウハウなどに対して使われています。

【例文】

・私は新参者ですので、業界のルールをご指南いただけますと幸いです。

(3)「ご教授」

“教授”は、具体的、かつ高度な学術的な知識に対して用います。 “教え示す”を意味する“ご教示”と混同しやすいのでご注意ください。

【例文】

・このたびは、弊社の社員にビジネス学をご教授いただき、ありがとうございました。次回もよろしくお願いします。

今回は、国語講師の吉田裕子さんに“ご指導ご鞭撻”の使い方についてうかがいました。

相手の経験をたてながら、謙虚な姿勢を表すことができる言葉ですので、仕事やプライベートの節目で、お世話になっている相手に対して使ってみてはいかがでしょうか。


 

【取材協力・監修】

吉田裕子

国語講師。塾やカルチャースクールなどで教える。NHK Eテレ「ニューベンゼミ」に国語の専門家として出演するなど、日本語・言葉遣いに関わる仕事多数。著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)は10万部を突破。他に『正しい日本語の使い方』『大人の文章術』(枻出版社)、『英語にできない日本の美しい言葉』(青春出版社)など。東京大学教養学部卒。

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