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「ご自愛ください」を言い換えるなら?気遣いがさりげなく伝わる言い方は【オトナ女子の言葉選び#8】

メールや手紙の中では、文末に「ご自愛ください」という表現が使われることがあります。日常会話や、ビジネスメールで使えるような、別の表現も覚えておきたいものです。

今回は『見るだけ・聴くだけで語彙力アップ デキる大人の話し方』(主婦の友インフォス)など、多数の著書を持つ国語講師の吉田裕子さんに「ご自愛ください」の言い換え表現について教えていただきました。

「ご自愛ください」の意味は?言い換えるときの注意点は?

「ご自愛ください」の意味は?言い換えるときの注意点は?

“自愛”(読み方:じあい)は、自分の体を大切にすること

多くの場合、紙やメールの締めくくりの一語で「ご自愛ください」という形で、「自分自身のからだを気にかけて、大切にしてください」という意味で使います。

【例文】

・時節柄、ご自愛ください

・風邪が流行っておりますので、ご自愛ください

目上の相手にも使える表現です。話し言葉でも使えないわけではありませんが、少し硬い熟語なのと、“慈愛”“地合い”など同音異義語もある言葉ですので、使いにくいケースも想定されます。日常会話でも使えるような相手の健康を気遣う表現、ビジネスメールの締めに使える表現をいくつか覚えておきましょう。

「ご自愛ください」を日常会話やメール内で言い換えるなら?

「ご自愛ください」を日常会話やメール内で言い換えるなら?

まず、日常会話やメールのやりとりで使える「ご自愛ください」の言い換え表現をご紹介します。

【ゆっくりお過ごしください】

仕事がひと段落したとき、相手が体調を崩しているときなどに使います。

◆例文:今週はいろいろ大変だったと思いますので、休日はごゆっくりお過ごしください

【お大事に】

けがや体調不良でケアが必要な状態の相手に、「自分自身を大事にしてください」という気持ちをこめて使います。

◆例文:くれぐれもお大事にしてくださいね。

【風邪などがはやっておりますので、お気をつけください】

別れ際や、メールの締めなどに使える表現です。

◆例文:風邪などがはやっておりますので、どうぞお気をつけください

【無理をしすぎないように】

多忙な日々を過ごしている相手に向けて使います。

◆例文:お忙しい時期だと思いますが、無理をしすぎないようにしてくださいね。

かしこまった場面で「ご自愛ください」を言い換えるなら?

かしこまった場面で「ご自愛ください」を言い換えるなら?

続いて、かしこまった場面での表現をご紹介します。

【お体(を)おいといください】

体を大事にすること。“いとう”は“嫌い”の意味もありますが、“体をいたわる”という意味でも使われています。書き言葉で使われる言葉です。

◆例文:お体をおいといください

【御身お大切に】

“御身”(読み方:おんみ)は、相手の体を敬っていう言葉。手紙の締めくくりに使います。

◆例文:御身お大切に

【お風邪など召しませんように】

風邪を“ひく”の尊敬語は“召す”です。目上の相手との別れ際や文章の締めくくりなどに使う表現です。

◆例文:寒い日々が続いておりますので、お風邪など召しませんように

【どうぞ十分にご養生ください】

“養生”(読み方:ようじょう)は、 病気やけがの回復につとめたり、心身を休ませることです。

◆例文:部内のメンバーと協力して対応しておりますので、どうぞ十分にご養生ください

【一日も早いご回復をお祈りしております】

しばらく療養や看病が必要な相手に対して使うことが多い表現です。

◆例文:お子さんの一日も早いご回復をお祈りしております

体調を気遣っていることを相手にさりげなく伝えるコツ

体調を気遣っていることを相手にさりげなく伝えるコツ

仕事でもプライベートでも、文章の最後に「ご自愛ください」のように相手の体調を気遣う一言を添える機会があります。

一方、以下のような一言は、相手を選ぶ表現です。

「風邪をひかないように、手洗いうがいをしっかりしましょうね」
「早寝早起きをしてちゃんと体調を整えて下さいね」

こうした一言は、親しい相手や対等な立場の相手にかける言葉なら違和感はないかもしれません。一方、目上の相手や少し距離感のある相手に対して上記のような具体的な依頼表現を使うと、差し出がましい印象を与える可能性があります。

特に体調を崩していない目上の相手に対しては「ご自愛ください」「お風邪など召しませぬよう」といった、定型のあいさつ文を添えるのがいいかもしれません。

また、時節に合った言葉、相手の状況を踏まえた一言を添えると、配慮が伝わりやすくなります。

【例文】
・御社は繁忙期を迎えていると思いますが、ご自愛ください。
・桜が開花しましたがまだ寒い日が続いています。お風邪など召しませんように。

また、病気やけがで休んでいる相手には、体調を気遣う言葉や、相手の立場に寄り添った言葉を選ぶことが大切です。

 

取材・文/北川和子

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吉田裕子
吉田裕子

国語講師。「大学受験Gnoble」やカルチャースクール、企業研修などで教えるほか、「三鷹古典サロン裕泉堂」を運営。10万部突破の著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)など、言葉や敬語、文章術、古典に関する発信も多い。近著に『大人に必要な読解力が正しく身につく本』(だいわ文庫)、『見るだけ・聴くだけで語彙力アップ デキる大人の話し方』(主婦の友インフォス)。東京大学卒業。

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