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「すごい」を言い換えるなら?子どもっぽくならない、感じの良い言い方は【オトナ女子の言葉選び#1】

誰かをほめるとき、感動したときに「すごい」という形容詞がよく使われています。さまざまな場面で使える便利な言葉ですが、便利だからこそ「すごい」に頼りすぎてしまうことも……。子どもっぽくなく、感じの良い言い換えはあるのでしょうか?

今回は『見るだけ・聴くだけで語彙力アップ デキる大人の話し方』(主婦の友インフォス)など、多数の著書を持つ国語講師の吉田裕子さんに「すごい」の言い換え表現について教えていただきました。

「すごい」の意味は?言い換えたほうがいいのはどんなとき?

「すごい」の意味は?言い換えたほうがいいのはどんなとき?

誰かのスキルや経験、成功した場面を見聞きして「すごい」という言葉がつい口から出てしまうという方も多いのではないでしょうか。

「すごい」は「物事の程度が並でない」「形容できないほど素晴らしい」の意。

もともと「背筋が寒くなるほど恐ろしい」という意味で使われていましたが、現在はポジティブな文脈で使われることが多くなっています。

さまざまな場面で広く使える便利な表現ではありますが、「形容できないほど素晴らしい」という意味であることを考えると、「すごい」という表現が見合わず空々しく響いたり、幼稚に聞こえてしまうシーンもあります。

また「すごい」は物事の程度を評価する言葉ですが、使い方によっては“上から目線”で評価しているような印象を与えたり、なにが「すごい」のか伝わりにくいケースもあるでしょう。

【こんな使い方は要注意!】

・(目上の相手に対して)今日のファッション、すごいですね。

→なにが“すごい”のか具体的に伝わらない、言い方によっては相手のことを上から評価するような印象を与えることもある。「あまりに変わっていて、ちょっと呆れている」という嫌味なニュアンスにも聞こえてしまう。

続いて、相手との関係性や、シーンに合わせた“すごい”の言い換え表現を見ていきましょう。

「すごい」の類語は?カジュアルに、シンプルに言い換えるなら?

「すごい」の類語は?カジュアルに、シンプルに言い換えるなら?

日常会話の中で使える“すごい”のカジュアルな言い換え表現をご紹介します。

【素晴らしい】

感銘を受けるほど、優れていること。並一通りでないこと。感覚的な“すごい”よりも、客観的な視点が感じられる表現です。

◆例文:今日のプレゼンテーションの内容、素晴らしかったよ。

【見事】

きわだって優れていること。手際や仕事のスキルに感銘を受けたときなどに使います。

◆例文:見事な腕前ですね。

【素敵】

素晴らしいと感じられる様子。魅力がある様子。素晴らしいの“素”に“的”をつけた形容動詞だといわれています。スキルや仕事の優劣というよりも、感覚的によいと感じる対象に対して使います。

◆例文:素敵なデザインですね。

【さすが(流石)】

予想や評判通りであること。

◆例文:今回もさすがのクオリティです。

かしこまった場やビジネスシーンで「すごい」を言い換えるなら?

かしこまった場やビジネスシーンで「すごい」を言い換えるなら?

続いて、かしこまった場面の「すごい」の言い換え表現をご紹介します。

相手を“上から目線”で評価しているような印象を避けるために、主語を自分にして、感情の動きを伝えるといいでしょう。

【感服】

“感服”(読み方:かんぷく)は、深く心に感じて、尊敬の気持ちを抱くこと。目下の相手、目上の相手、いずれに対しても使うことができます。

◆例文:プレゼンスキルに感服いたしました

【敬服】

“敬服”(読みかた:けいふく)は、感心してうやまう気持ちを抱くこと。第三者を評価するときにも使います。

◆例文:彼女の実行力に敬服しています。

【感銘】

“感銘”(読み方:かんめい)は、忘れられないほど感動すること。

◆例文:試作品の仕上がりに感銘を受けました。

【うならされる】

優れた仕事や出来栄えなどを見て、感嘆すること。

◆例文:文句なしの仕上がりにうならされました

得も言われぬ(えもいわれぬ)

言葉では言い表せないほどよいこと。

◆例文:得も言われぬほど美しい景色です。

【卓越した】

抜きんでて優れていること。

◆例文:彼は、卓越した腕前の持ち主です。

【おそれいる(恐れ入る)】

相手のスキルや力量に圧倒されること。

◆例文:先輩の腕前に恐れ入りました

感動や喜びを相手にしっかり伝えるコツは?

感動や喜びを相手にしっかり伝えるコツは?

日常生活では、感動や驚きで感情が動いたときに、「すごい」と自然と口から出てしまう場面もありますよね。もちろん、「すごい」と言う言葉で素直な感情の動きが相手にストレートに伝わることもあるでしょう。

一方、相手との関係性や場面に応じて、何が優れているのか具体的なポイントを伝えたり、自分の心が動かされたことを強調するなど、表現を工夫することで、相手に言葉が届きやすくなることもあります。シチュエーションに合わせて言葉を選んでみてください。

 

取材・文/北川和子

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吉田裕子
吉田裕子

国語講師。「大学受験Gnoble」やカルチャースクール、企業研修などで教えるほか、「三鷹古典サロン裕泉堂」を運営。10万部突破の著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)など、言葉や敬語、文章術、古典に関する発信も多い。近著に『大人に必要な読解力が正しく身につく本』(だいわ文庫)、『見るだけ・聴くだけで語彙力アップ デキる大人の話し方』(主婦の友インフォス)。東京大学卒業。

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