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「ご清聴」と「ご静聴」の違いって?使い分けに気を付けたい!【間違いやすい日本語#49】

“清聴”と“静聴”は、読み方は同じですが、意味が違うことをご存じでしょうか。

今回は『見るだけ・聴くだけで語彙力アップ デキる大人の話し方』(主婦の友インフォス)など、多数の著書を持つ国語講師の吉田裕子さんに“ご清聴”の意味や使い方、“静聴”との使い分け方法について解説していただきました。

「ご清聴」の意味は?「ご静聴」との違いは?

「ご清聴」の意味は?「ご静聴」との違いは?

清聴”“静聴”の読み方は、いずれも“せいちょう”です。

ご清聴”は、他人が自分の話などを聴いてくれることを敬っていう言葉。尊敬の意を添える接頭語の“ご(御)”、同じく相手への尊敬の意を添える“清”をつけて、相手が話を聴くことを敬っています。話を聞いてくれた相手に向けて「ご清聴ありがとうございました」という形で使うのが一般的です。

一方、“ご静聴”の意味は、静かに聞くこと。話を聞いている人、これから話を聞く人に向けて「ご静聴願います」という形で用います。

「ご清聴」「ご静聴」の使い分け方法は?例文は?

「ご清聴」「ご静聴」の使い分け方法は?例文は?

ご清聴とご静聴は、それぞれ以下のように使い分けます。

(1)「ご清聴」は感謝を示す際に使われることが多い

“ご清聴”は、自分の話を聞いてくれた相手を敬う言葉。スピーチの最後などに「ご清聴ありがとうございました」という形で使われています。

【例文】

・皆さま、本日はご清聴ありがとうございました。

・本日はご清聴賜り、ありがとうございました。

・以上で講演を終了いたします。ご清聴ありがとうございました。

(2)「ご静聴」は注意の際に使われることが多い

“ご静聴”は、静かに話を聞くこと。講演や会議などで静かに聞くよう呼びかけるときに「ご静聴願います」という形で使われることが多い言葉です。

【例文】

・本日は、ご静聴お願いします。

・これから大切なことを申し上げますので、ご静聴願います。

「ご清聴」「ご静聴」の使い方の注意点は?

「ご清聴」「ご静聴」の使い方の注意点は?

話し言葉においては、“ご清聴”と“ご静聴”の漢字の違いを意識することはないかもしれません。

しかし、会議資料や注意書きなど、書き言葉では漢字の変換に注意しましょう。

以下のような表現をすると、読み手に違和感を与える可能性があります。

【要注意表現】

・(プレゼン資料の最後の一言にご静聴ありがとうございました。

→聴いてくれたことを感謝する場合には“ご清聴”がベター。例文は、“静かに聴いてもらえたこと”について感謝となり、社会人に向けて使うにはあまり適さない場合もある。

・(講演の注意書きに)公演中は私語を慎み、ご清聴頂きますようお願い申し上げます。

→“ご清聴”は、相手が聴くことを敬っていう言葉。例文の文脈には適さない。この場合は“ご静聴”を用いるのがよい。

「ご清聴」を言い換えると?類語は?

「ご清聴」を言い換えると?類語は?

続いて“ご清聴”と類似の意味を含む言葉をご紹介します。

(1)「ご高聴」

“ご高聴”は、“ご清聴”と同様に他人が聴いてくれることを敬意をこめていう言葉。

【例文】

ご高聴ありがとうございました。

(2)「耳を傾けていただき」

「耳を傾ける」は注意して聞くこと。

【例文】

・本日は、私のつたない話に耳を傾けていただきありがとうございました。

(3)「お耳を拝借」

”拝借”(読み方:はいしゃく)は、借りることをへりくだっていう言葉。話を聞いてほしいときなどに使います。

【例文】

・少しの間、お耳を拝借してもよろしいでしょうか。

 

以上、今回は“清聴”と“清聴”の意味や使い分け方法についてお届けしました。

講演や会議でよく聞かれる“せいちょう”という言葉に、2種類の意味があることを覚えておきたいですね。

吉田裕子
吉田裕子

国語講師。「大学受験Gnoble」やカルチャースクール、企業研修などで教えるほか、「三鷹古典サロン裕泉堂」を運営。10万部突破の著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)など、言葉や敬語、文章術、古典に関する発信も多い。近著に『大人に必要な読解力が正しく身につく本』(だいわ文庫)、『見るだけ・聴くだけで語彙力アップ デキる大人の話し方』(主婦の友インフォス)。東京大学卒業。

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