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「のべつまくなし」と「のべつくまなし」どっちが正しい?意味と例文を解説【間違いやすい日本語#44】

ひっきりなしに続く様子を表すは言葉は「のべつまくなし」「のべつくまなし」のどちらが正しいでしょうか。

『見るだけ・聴くだけで語彙力アップ デキる大人の話し方』(主婦の友インフォス)など、多数の著書を持つ国語講師の吉田裕子さんに解説していただきました。

「のべつまくなし」と「のべつくまなし」どっちが正しい?

「のべつまくなし」と「のべつくまなし」どっちが正しい?

皆さんは“ひっきりなしに続く様子”を表す言葉は、どちらが正しいと思いますか?

  1. のべつくまなし
  2. のべつまくなし

正解は「2」の“のべつまくなし”。

過去に行われた『国語にまつわる世論調査』では、正しく解釈している人の割合は41.9%と半数を切っています。

間違いやすい“のべつまくなし”という言葉について掘り下げていきましょう。

「のべつまくなし」の意味や語源は?

「のべつまくなし」の意味や語源は?

のべつまくなし”は、休む間もなくひっきりなしに続く様子を表す副詞です。

もともとは、芝居で幕を引かずに休みなく演じ続けることを表す言葉でしたが、そこから転じて現在の意味で使われるようになりました。

“のべつくまなし”と間違って使われることがある副詞ですが、“のべつまくなし”を「のべつ・まく・なし」というふうに分解していくと、意味を理解しやすくなります。

“のべつ(延べつ)”は絶え間ない様子を表す副詞。“”は舞台の前に垂らす幕のこと。“なし”は“無い”こと。

多くの芝居では一幕終わった後に次の幕が開くまでに“幕間”(まくあい)と呼ばれる時間が設けられますが、“のべつまくなし”は、幕を引かずにひっきりなしに演ずる様子を表しています。「のべつまくなしに演じ続ける」という形で使います。

「のべつまくなし」の注意点は?

「のべつまくなし」の注意点は?

“のべつまくなし”の注意点は3つ。

(1)ネガティブな文脈で使うことが多い

“のべつまくなし”は、現在はややネガティブな意味で使われることが多い言葉です。物事が延々と続くことでうんざりするような様子を表し、ほめ言葉で使うことはほとんどありません。

(2)よくある誤用に注意

よくある誤用としては、“のべつくまなし”のほかに“のべつ暇なし”や“のべつ間なし”などがあります。正しい表現を覚えておきましょう。

(3)活用せずこのままの形で使う

“のべつまくなし”は、「のべつまくなし」「のべつまくなしに」という形で副詞として、あるいは、「のべつまくなしの愚痴」のように「のべつまくなしの」という連体詞として使います。活用しない種類の言葉ですので、「のべつまくなく」「のべつまくない」などとは言いません。

「のべつまくなし」の例文は?

「のべつまくなし」の例文は?

“のべつまくなし”を用いた例文をご紹介します。

・薬局の窓口で1人の客がのべつまくなしに話し続けている。

のべつまくなしに食べ続けていたので体重が増える一方だ。

・あの人は、のべつまくなしに文句を言うので疲れてしまう。

「のべつまくなし」を言い換えると?類語は?

「のべつまくなし」を言い換えると?類語は?

“のべつまくなし”の言い換え表現をご紹介します。

(1)「延々と」

“延々と”(読み方:えんえんと)は、いつ終わるかわからずに長く続く様子。“えいえんと(=永遠と)”と言い間違っている人がいますので、注意しましょう。

【例文】

・隣の部署の打ち合わせが延々と続き、まだ会議室から戻ってこない。

(2)「絶え間なく」

“絶え間なく”(読み方:たえまなく)は、物事が途切れることなく続いている様子を表します。

【例文】

・昨日メディアで紹介されたので、朝から問い合わせが絶え間なく続いている

(3)「とめどなく」

とどまることなく、いつまでも続いている様子を表します。“とめど”(留め処・止め処)は、際限、とめるべきところの意。

【例文】

・あのドラマを見ていると、涙がとめどなくあふれてくる。

(4)「ひっきりなしに」

物事がとぎれずに続く様子を表します。

【例文】

・彼の電話はひっきりなしに通知が鳴り響いている。

(5)「ぶっ続け」

休まずにずっと続けることを強めていう言葉。口語的な表現で、話し言葉の中で使われています。類似の表現に“ぶっ通し”などの言葉もあります。

【例文】

・この1週間、休みなくぶっ続けで働いた。

(5)「出ずっぱり」

芝居などで1人の役者がどの幕にも出演していること。

【例文】

・今日の舞台は目当ての俳優が出ずっぱりだったので、とても満足している。

 

以上、国語講師の吉田裕子さんに“のべつまくなし”について解説していただきました。

“のべつまくなし”の語源を知ると、言葉の理解度が深まるのではないでしょうか。

 

取材・文/北川和子

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【参考】
令和3年度「国語に関する世論調査」の結果について – 文化庁

吉田裕子
吉田裕子

国語講師。「大学受験Gnoble」やカルチャースクール、企業研修などで教えるほか、「三鷹古典サロン裕泉堂」を運営。10万部突破の著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)など、言葉や敬語、文章術、古典に関する発信も多い。近著に『大人に必要な読解力が正しく身につく本』(だいわ文庫)、『見るだけ・聴くだけで語彙力アップ デキる大人の話し方』(主婦の友インフォス)。東京大学卒業。

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