「重複」の意味とは?
「重複」の意味とは?“重複(読み方:ちょうふく)”は、同じ物事が重なることを意味しています。事務手続きを二重に行ったり、同じ説明を繰り返したりすることを表す言葉です。
“ちょうふく”と読むのが一般的ですが、“じゅうふく”と読んでも間違いではありません。
「重複」はどんなシーンで使う?
nullビジネスシーンでは、事務手続きや予約、説明など、
具体的な例をあげると、以下のような場面です。
・同じ手続きを2回繰り返してしまったとき
(例文:売上処理の重複が見つかりました)
・説明の中で、同じ話を2度するとき
(例文:先ほどの話と内容が一部重複しますが……)
・役割が重なっているとき
(例文:彼と私の業務範囲が重複しています)
このように、同じことを繰り返したり、
「重複」の使い方の注意点は? よく見かける間違った使い方
「重複」の使い方の注意点は? よく見かける間違った使い方“重複”の使い方は2つあります。
(1)「反復」「繰り返し」と同義ではない
“重複”は、同じ物事が重なっているときに使う言葉です。“反復”や“繰り返し”と完全に同義ではありません。
【NG例文】
・同じ曲を何回も重複して聞いているよ。
・同じ失敗を重複しないようにね。
→“重複”は、人を主語にして「同じことを繰り返す」の意で使うことはない。
(2)「ちょうふく」と読むが「じゅうふく」とも読む
“重複”は“ちょうふく”と読むのが一般的ですが、“じゅうふく”という読み方も間違いではありません。
「重複」の例文は?
「重複」の例文は?“重複”を用いた例文を通じて使い方をイメージしていきましょう。
・リストの重複を修正してください。
・先方のミスで、注文が重複していたようです。
・「腹痛が痛い」という表現は意味が重複している。
・この一文は、同じ言葉が重複して使われているので修正してください。
「重複」を言い換えると?類語は?
「重複」を言い換えると?類語は?“重複”と類似の意味を持つ言葉をご紹介します。
(1)「重なる」
同じような物事が加わること。同じ日に同じことを繰り返したり、
【例文】
・ご連絡が重なってしまい申し訳ございません。
・不測のできごとが重なり、今回の事態を招いた。
(2)「繰り返し」
同じことを何回もすること。「繰り返す」という動詞でも、「繰り返し」
【例文】
・繰り返しお尋ねして恐縮です。
(3)「バッティング」
物事や予定がかち合うことを表します。親しい相手との会話の中でしばしば聞かれる言葉です。
【例文】
・潜在顧客のバッティングを避けるために、営業二課と情報交換をしました。
(4)「ダブルブッキング」
約束・予定を二重に入れてしまうこと。
【例文】
・手違いで出張先のホテルをダブルブッキングしてしまった。
「重複」の対義語はある?
null“重複”と全く逆の意味という対義語はありませんが、対の場面で使われている言葉をご紹介します。
(1)「単一」
1つの種類だけで混じりのないもの。
【例文】
・単位がバラバラなので、単一にそろえてください。
(2)「MECE」(ミーシー)
コンサルティング用語としてしばしば使われる言葉です。「Mutually Exclusive and Collectively Exhaustive」の頭文字を略した言葉で、日本語だと「漏れなく、重複なく」といった意味で使われています。
【例文】
・MECEの原則を活かして、フレームワークを行いました。
以上、国語講師の吉田裕子さんに“重複”の意味を解説していただきました。
先ほどの説明と重複しますが、同じ物事を繰り返して“しまった”ときに使われることが多い言葉です。使い方を覚えておくと便利な言葉です。
【取材協力・監修】
吉田裕子
国語講師。塾やカルチャースクールなどで教える。NHK Eテレ「ニューベンゼミ」に国語の専門家として出演するなど、日本語・言葉遣いに関わる仕事多数。著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)は10万部を突破。他に『正しい日本語の使い方』『大人の文章術』(枻出版社)、『英語にできない日本の美しい言葉』(青春出版社)など。東京大学教養学部卒