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「ご愛顧」を使ってはいけない相手は?意味と使い方【あらためて知りたい頻出ビジネス用語#15】

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よく耳にする「ご愛顧ありがとうございます」という言葉、自分が使う立場になると正しく使う自信がないという方も多いのではないでしょうか。今回は“ご愛顧”の意味や使い方について掘り下げていきます。

解説して頂いたのは『たった一言で印象が変わる大人の日本語100』(ちくま新書)など、多数の著書を持つ国語講師の吉田裕子さんです。

「ご愛顧」の意味は?

“愛顧”は、目下の者をひいきにして引き立てること。

主に“ご愛顧”の形で、ひいきされる立場の人が、ひいきしてくれる相手に対してお礼をするときに使われています。

かつては、商人や芸人が自分たちに特別目をかけて力添えをしてくれる相手にへりくだってお礼を言うときに使うような言葉として“愛顧”が使われていましたが、現在はビジネスシーンでも使われるようになっています。

「ご愛顧」はどんな時に使うといい?「お世話になっております」との違いは?

ビジネスシーンにおいては、いつも依頼・注文をしてくれる取引先や顧客に対して“ご愛顧”を使います。

書簡・メールの冒頭や文末で「平素より格別のご愛顧にあずかり、ありがとうございます」「今後もご愛顧賜りますようお願い申し上げます」といった形で用います。

“ご愛顧”という言葉は、金銭的な取引を連想させる言葉です。プライベートでは自分がひいきにしている店から「ご愛顧ありがとうございます」と言われることはあるかもしれませんが、日常会話の中で使うことはほとんどありません。

「ご愛顧」の使い方の注意点は?目上の人にも使える?

先述したように“ご愛顧”は、自社に依頼・注文を出し、お金を払ってくれる相手に対して使うのが一般的です。

“愛顧”という言葉には経済的な引き立てのニュアンスを含みますので、どんな取引先にも万能に使える「お世話になっております」と同様に使うことはできません。

また、上記の理由から、お世話になっている社内の上司や先輩に向けて「いつもご愛顧ありがとうございます」とは言いませんのでご注意ください。

「ご愛顧」の例文は?

続いて“ご愛顧”の例文を通じて使い方をチェックしていきましょう。

【メール・書簡の冒頭の一文】

・平素より格別のご愛顧にあずかり、ありがとうございます。

・日ごろのご愛顧誠にありがとうございます。

・旧年中はご愛顧をいただき感謝申し上げます。

【文中の一文】

・皆様のご愛顧とご支援によるものと深く感謝しております。

【締めの一文】

・今後ともいっそうのご愛顧を賜りますようよろしくお願い申し上げます。

・長らくのご愛顧、誠にありがとうございました。

・引き続きご愛顧のほどお願い申し上げます。

「ご愛顧」を言い換えると?

続いて“ご愛顧”の言い換え表現をご紹介します。

(1)「ご贔屓」(ごひいき)

“贔屓”(ひいき)は気に入った者を引き立て力添えをすること。“愛顧”の類語なので、同様の場面で使うことができます。

【例文】

・多大なるご贔屓を賜り、御礼申し上げます。

(2)「お引き立て」

“引き立て”は力を添えて助けること。“ご愛顧”や“ご贔屓”と同様に使うことができます。ちなみに“引き立て”にはもう少し広い意味があり「彼は社長の引き立てで昇進した」などという使い方もあります。

【例文】

・いつも格別のお引き立てを賜り、誠にありがとうございます。

(3)「ご高配」

“高配”は相手の配慮を敬っていう表現。仕入先・得意先の立場に限らず、お世話になっている取引先に対して使うことができます。

【例文】

・今後ともご高配を賜りますよう、お願いいたします。

(4)「お力添え」

“力添え”は力を添えて助けること。社外の取引先だけでなく、社内の相手に対しても使うことができる言葉です。

【例文】

・日頃より大変なお力添えを賜りまして、感謝いたします。

・社内の皆様のお力添えにより、無事にプロジェクトを成功させることができました。

(5)「ご厚意」

“厚意”は、相手の深い思いやりのこと。社内外で幅広く使うことができます。同音異義語が多い言葉なので、書き言葉で用いるのが一般的です。

【例文】

ご厚意を感謝いたします。

・皆様のご厚意にあずかり、ここまでやってくることができました。

 

今回は国語講師の吉田裕子さんに“ご愛顧”の意味や使い方について解説していただきました。

日ごろからお世話になっている感謝を表現するための語彙を想定場面別に用意しておくと、良好な関係を維持するのに役立つのではないでしょうか。


 

【取材協力・監修】

吉田裕子

国語講師。塾やカルチャースクールなどで教える。NHK Eテレ「ニューベンゼミ」に国語の専門家として出演するなど、日本語・言葉遣いに関わる仕事多数。著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)は10万部を突破。他に『正しい日本語の使い方』『大人の文章術』(枻出版社)、『英語にできない日本の美しい言葉』(青春出版社)など。東京大学教養学部卒。

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