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「万障お繰り合わせ」を使ってはいけないシーンは?意味と使い方【あらためて知りたい頻出ビジネス用語#7】

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“万障お繰り合わせ”という言葉は、どんな意味があって、どんなシーンで使われているのでしょうか。今回は、“万障お繰り合わせ”という言葉の意味や使い方、NG使用例について解説します。

解説して頂いたのは『たった一言で印象が変わる大人の日本語100』(ちくま新書)など、多数の著書を持つ国語講師の吉田裕子さんです。

「万障お繰り合わせ」の読み方や意味は?

“万障お繰り合わせ”の読み方は“ばんしょう おくりあわせ”です。

“万障”の漢字を直訳すると“よろずの差し障り”。つまり、いろんな不都合な事情、様々な差し障りのことを指します。

“万障お繰り合わせ”は、あらゆる予定を調整し、参加できるよう都合をつけることを意味します。

「万障お繰り合わせのうえご出席ください」という表現がよく使われていますが、単語の意味を踏まえると、送り手から受け手に対してかなり強く参加を促していることがおわかり頂けると思います。

「万障お繰り合わせ」はどんなシーンで使う?目上の相手にも使える?

“万障お繰り合わせ”は、会議や総会などを案内する書類の中で、相手の参加を促すときに使われています。

かしこまった表現なので、電話やメールよりも、社外の取引先や顧客に対して郵送するビジネス文書で使われることが多いです。話し言葉ではほとんど使われていません。

取引先や顧客など、目上の相手に対しても使うことができます。

プライベートにおいては、例えば自治会の総会や防災訓練など、書面で積極的な参加を促すときに使われることがあります。

先述したように、かなり強く参加を促す言葉ですので、恩師を遠方から招いた久しぶりの同窓会の案内状など、どうしても参加して欲しい場面で使うとよいでしょう。

「万障お繰り合わせ」の注意点は?

“万障お繰り合わせの上”は、相手の参加を強く促すニュアンスが込められています。

砕けた言葉で例えるのなら「来られたら来てね」という軽い誘いではなく「絶対に来てね」という表現に近いものがあります。そのため、自由参加の集まりの誘いで使うことは避けましょう。

また、やや硬い表現なので、社内外の親睦会やイベントの誘いにおいては「ぜひ、ご参加ください」など、別の表現を使ったほうがいいでしょう。

【NG使用例】

・今週末、社内の有志によるフットサル大会を実施します。可能であれば、万障お繰り合わせの上ご参加くださいね。

→参加自由の集まりに対しては、強い意味を持つ“万障お繰り合わせ”は適さない。「参加できる方はお待ちしております」など。

「万障お繰り合わせ」の例文は?

続いて、“万障お繰り合わせ”の例文を通じて使い方をチェックしていきましょう。

・今後の方針を決定する重要な会合となりますので、万障お繰り合わせの上、ご参加ください。

・第10回定時株主総会を開催いたします。万障お繰り合わせの上、ご出席いただきますようお願い申し上げます。

・重大な懸案事項が発生したため、急遽マンション管理組合の臨時総会を行います。万障お繰り合わせの上、ご参加のほどお願い申し上げます。

「万障お繰り合わせ」を言い換えると?

続いて、“万障お繰り合わせ”の言い換え表現をご紹介します。

(1)「ぜひ」

“万障お繰り合わせ”と比べて幅広い場面で使われている言葉です。相手の出席を強く望むけれど、「必ずご出席ください」と言うのがはばかられるときにも使うことができます。

【例文】

・本日、会議室にて勉強会を開催します。ぜひご参加ください。

(2)「ふるって」

“ふるって”は、“積極的に”の意味。「絶対に出席して欲しい」というわけではないけど、積極的に参加してほしいという送り手の気持ちが込められた言葉です。ビジネスシーンでも、プライベートでも頻繁に使われています。

【例文】

・お忙しいとは思いますが、どうぞふるってご参加ください。

(3)「伏してお願い申し上げます」

“万障お繰り合わせ”は、「必ず来て欲しい」という強いニュアンスが込められています。同等の意味を別の表現を用いて伝えるのであれば、「伏してお願い申し上げます」という表現もあります。相手の参加を切に願うときに使うことができます。

【例文】
・ご出席いただきますよう、伏してお願い申し上げます

「万障お繰り合わせ」と言われたらどう返す?

先述したように、「万障お繰り合わせの上、ご参加ください」は、「都合をつけてなんとか参加して欲しい」という意味。出席の場合には、「喜んで出席いたします」といった返信をしますが、問題は欠席の場合です。

【欠席の場合】

(1)申し訳ありませんが、どうしても都合がつかないため、欠席致します。

→欠席の具体的な理由を伝えずに、スケジュール調整の努力をしたことを暗示して断る。

(2)大変恐縮ですが、親族の法事のため欠席いたします。

→欠席の理由を伝える場合は、のっぴきならない理由である場合に限る。

 

以上、“万障お繰り合わせ”の使い方について国語講師の吉田裕子さんに解説して頂きました。

“万障お繰り合わせ”の使い方や、返答の仕方に迷う方が多いようです。“万障”という言葉の強さを踏まえておくと、どんな場面で使ったらいいのかクリアになってくるのではないでしょうか。


 

【取材協力・監修】

吉田裕子

国語講師。塾やカルチャースクールなどで教える。NHK Eテレ「ニューベンゼミ」に国語の専門家として出演するなど、日本語・言葉遣いに関わる仕事多数。著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)は10万部を突破。他に『正しい日本語の使い方』『大人の文章術』(枻出版社)、『英語にできない日本の美しい言葉』(青春出版社)など。東京大学教養学部卒。

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