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「齟齬がある」の読み方や正しい使い方は?よくあるNG例も解説【あらためて知りたい頻出ビジネス用語#6】

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“齟齬”は、ビジネスシーンでしばしば使われている言葉。しかるべきシーンで使うことで、人間関係の摩擦を避けるために役立つこともあります。今回は、「齟齬がある」の意味や使い方をお届けします。

解説して頂いたのは、『たった一言で印象が変わる大人の日本語100』(ちくま新書)など、多数の著書を持つ国語講師の吉田裕子さんです。

「齟齬がある」の読み方と意味は?

「齟齬がある」の“齟齬”は“そご”と読みます。2つの漢字をよく見てみると、どちらも左側は、歯の種類や状態を示す部首“はへん”です。“齟齬”は、上下の歯がうまく噛み合わないという意味から生じた言葉。くいちがうこと、物事がうまく噛み合わないことを指します。

「齟齬がある」は、意見が食い違っている状態、物事がうまくかみあっていない状態を意味します。

他にも「齟齬をきたす」という形でも使われています。「齟齬をきたす」は、行き違いを生じた結果、状況や関係が悪くなるというニュアンスが含まれています。

「齟齬がある」はどんなシーンで使う?目上の相手にも使える?

ビジネスシーンにおいて、「齟齬がある」は、相手との認識のずれが見られるときに使われています。「話が違う」「あなたの理解はおかしい」などと、直接的な表現を使うと角が立つときに、客観的で硬質な「齟齬がある」という表現で遠まわしに抗議をする場合もあります。目上の相手に対しても使うことができます。

「齟齬がある」を使うことが想定される場面は以下のようなものがあります。

・自分の認識と実際の状況が異なっていることを伝えるとき

・想定した事態と異なるために、遠回しに抗議をするとき

連絡の行き違いによりトラブルが生じたとき

連絡の行き違いなどにより不都合が生じた際「齟齬がある」という表現を使って、自分だけに非があるわけではないというニュアンスを込めることもあります。

「齟齬がある」は、少々硬い表現ですので、私生活ではあまり使う機会はありません。

あえて例をあげるとすれば、何かを依頼した業者とのやりとりの中で、お互いが認識している納期や値段などに食い違いが生じた場合、「齟齬がある」という言葉を使って抗議や交渉をすることもあるでしょう。

「齟齬」の例文は?

続いて、「齟齬がある」の例文を通じて使い方をチェックしていきましょう。

【認識の食い違い】

・取引先との認識に齟齬があり、トラブルが発生しました。

A社とB社で、担当者の理解に齟齬があるようです。

【遠回しの抗議】

・恐れ入りますが、事前にうかがっていた説明と齟齬があるように思います。

【行き違い】

トラブルが続き、当初の計画との齟齬が生じました。

「齟齬がある」の使い方の注意点は?

先述したように、「齟齬がある」は、“食い違い”や“認識の違い”を表す言葉です。ところが、自分の確認不足や誤解を“齟齬”と表現してしまうケースもしばしば見受けられます。

両者の認識がずれていたことを客観的に表現する言葉なので、自分の非によって生じた相手側の不都合については、“誤解”“確認不足”という言葉とともに謝罪をしましょう。

【NG使用例】

上司:「今日中に書類を提出できる」と君は言っていたよね。

部下:認識の齟齬があり、提出日が今日だとは思っていませんでした。

→この場合、「申し訳ありません。提出日を勘違いしていました」「私の認識が甘く、当初の予定より作成に時間がかかっております。申し訳ありません」などと、素直に謝罪する。

「齟齬がある」を言い換えると?

続いて、「齟齬がある」の言い換え表現をご紹介します。

(1)「不一致」

文字通り、一致しないことを指します。「齟齬がある」と比べて“合わない”という意味合いがより強くなります。

【例文】

・両社の見解の不一致が見られます。

(2)「不協和音」

たくさんの関係者が関わっているところで、違和感やずれが生じ、集団内の空気が不穏な状態になっている関係のことを指します。

【例文】

・関係者間で不協和音が生じています。

(3)「平行線をたどる」

お互いの意見がなかなか一致しないままでいる様子を指します。

【例文】

・会議での話し合いは平行線をたどった

(4)「行き違い」

連絡の順番の食い違いや、意図せず相手に連絡が届くタイミングにずれが生じたときなどに使います。

【例文】

・先方との行き違いがあったようです。

・本状と行き違いで既にお支払いいただいております折は、何卒ご容赦ください。

 

今回は、「齟齬がある」の使い方をご紹介しました。

伝達や意思疎通があまりうまくいかないとき、相手を責めることなく現状認識を促す“齟齬がある”は、ビジネスシーンで役立つことがあります。意味や使い方を覚えておきましょう。


 

【取材協力・監修】

吉田裕子

国語講師。塾やカルチャースクールなどで教える。NHK Eテレ「ニューベンゼミ」に国語の専門家として出演するなど、日本語・言葉遣いに関わる仕事多数。著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)は10万部を突破。他に『正しい日本語の使い方』『大人の文章術』(枻出版社)、『英語にできない日本の美しい言葉』(青春出版社)など。東京大学教養学部卒。

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