「二つ返事」の意味とは?
「二つ返事」の意味とは?“二つ返事”の意味は、ためらうことなくすぐに承諾すること。
依頼や問いかけに対して、快く「はい、はい」と返事する様子から、「すぐに快諾の返事をする」「快く引き受ける」という意味で使われています。
多くの場合「二つ返事で引き受ける」という形で使われています。
「二つ返事」の使い方の注意点は?よく見かける間違った使い方
「二つ返事」の使い方の注意点は?よく見かける間違った使い方“二つ返事”の注意点は2点あります。
(1)「やる気のない返事」ではない
「快く返事して承諾すること」ですが、仕方なく引き受ける際のやる気のない「はい、はい」という返事と勘違いしているケースが見受けられます。
例えば、以下のような使い方は間違いです。
【例文】
・その仕事に乗り気ではなかった彼女は、ため息交じりに二つ返事で引き受けた。
→“二つ返事”は快諾するの意。やる気のない返事ではない。
漢字の“二”が含まれている慣用句には、“二の足を踏む(意味:尻込みする)”“二番煎じ(意味:新鮮味のないもの)”“二の舞”(意味:前の人の失敗をくりかえすこと)など、ネガティブな意味を持つ言葉が目立つため、“二つ返事”の使い方を勘違いするケースもあるのではないでしょうか。
“二つ返事”は「快く引き受けること」と覚えておきましょう。
(2)「一つ返事」という言葉はない
文化庁が過去に行った『国語に関する世論調査』では、「快諾する」の意を表す言葉として“一つ返事”を選択した人が37.4%にのぼっています
1回ですぐに返事をする様子を連想した回答者が多かったのかもしれませんが、“一つ返事”という言葉はありません。
【NG例】
・面倒な案件だが、彼は一つ返事で引き受けてくれた。
→“一つ返事”という言葉はない。正しくは“二つ返事”。
「二つ返事」の例文は?
「二つ返事」の例文は?“二つ返事”を用いた例文をご紹介します。
・同僚は二つ返事で難しい仕事を引き受けてくれた。
・取引先は二つ返事ですぐに対応してくれた。
・彼女は急ぎの案件を二つ返事で引き受けてくれるので、絶大な信頼を得ている。
「二つ返事」を言い換えると?類語は?
「二つ返事」を言い換えると?類語は?“二つ返事”と類似の意味を持つ表現をご紹介します。
(1)「快諾」
“快諾”(読み方:かいだく)は、快く承諾すること。
【例文】
・その作家は、新たなオファーを快諾してくれた。
(2)「即応」
“即応”(読み方:そくおう)は、直ちに対応すること。情勢にぴったりと当てはまること。
【例文】
・緊急の事態に即応していただき、とても助かりました。
(3)「お安い御用です」
この場合の“安い”は、簡単であること。相手からの要望を快諾する際の返答として、使われることがあります。
【例文】
・いつもお世話になっているので、このくらいお安い御用です。
「二つ返事」の対義語は?
null“二つ返事”の対の意味を含む言葉をご紹介します。
(1)「生返事」
“生返事”(読み方:なまへんじ)は、はっきりしない返事。気の乗らないときのいい加減な返事のこと。
【例文】
・打ち合わせのときには生返事だったので、もう一度先方に確認しておいたほうがいいですね。
(2)「空返事」
“空返事”(読み方:からへんじ)は、気持ちの入っていないいい加減な返事のこと。
【例文】
・仕入先の担当者には何を質問しても空返事ばかりなので、上長に尋ねてみましょう。
以上、今回は国語講師の吉田裕子さんに“二つ返事”の意味や使い方について解説していただきました。
“二つ返事”は、前向きな返事だと覚えておきましょう。
取材・文/北川和子
【参考】
国語講師。「大学受験Gnoble」やカルチャースクール、企業研修などで教えるほか、「三鷹古典サロン裕泉堂」を運営。10万部突破の著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)など、言葉や敬語、文章術、古典に関する発信も多い。近著に『大人に必要な読解力が正しく身につく本』(だいわ文庫)、『見るだけ・聴くだけで語彙力アップ デキる大人の話し方』(主婦の友インフォス)。東京大学卒業。