お話をうかがったのは『品良く美しく伝わる「大和言葉」たしなみ帖』(永岡書店)などの著書を持つ国語講師の吉田裕子さんです。“概ね”の使い方や例文、避けた方がよい使い方についてお話をうかがいました。
「概ね」の意味とは?
null“概ね”は “大”+“旨”(根幹、趣意)の“大旨”と表記されることもあり、“おおよそ”という意味があります。“概ね”と同様の意味を持つ“だいたい”
「概ね」の範囲は?程度は?どんな時に使うといい?
nullビジネスシーンでは“全部ではないが、ほとんど”
例えば、提出期限の迫った書類の進捗状況について聞かれ、日づけと署名を入れるだけの段階になっていたなら、「書類の作成は、概ね完了しております」と言っても問題ないでしょう。
続いて、“概ね”を使った例文をご紹介します。
【「概ね」を使った例文】
・プロジェクトの先行きは概ね良好です。
・概ね予定通りに会議は終了した。
・この秋の気温は概ね平年並みと予想されている。
「概ね」の使い方の注意点は?
null“概ね”は、厳密に何%以上なら言える、と決まっておらず、
【NG使用例】
・(トラブルを隠して)クライアントからの評価は、概ね良好です。
→“概ね”でごまかさず、
相手が使ってきたときには、
「概ね」の言い換え表現は?
null“概ね”は、場面に応じて、以下のような表現で言い換えることができます。
・だいたい
・おおよそ
・ほとんど
・ほぼ
など
“だいたい”は、より口語的でカジュアルな印象を与えます。同僚や気心の知れた上司など、親しい間柄であれば使っても問題ありません。
また、「概ね問題なく進んでいます」と言いたいとき、「
今回は、“概ね”の意味や使用方法について解説しました。
“概ね”はとても便利な言葉ですが、使い手の誠意が試されることがあることも覚えておいた方がいいでしょう。
【取材協力・監修】
吉田裕子
国語講師。塾やカルチャースクールなどで教える。NHK Eテレ「ニューベンゼミ」に国語の専門家として出演するなど、日本語・言葉遣いに関わる仕事多数。著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)は10万部を突破。他に『正しい日本語の使い方』『大人の文章術』(枻出版社)、『英語にできない日本の美しい言葉』(青春出版社)など。東京大学教養学部卒。