資格取得よりも、実務経験が重視される
nullさて、この「取っておくといい資格ってありますか?」というご質問に対する答えは「資格取得のための勉強に時間を割くより、実務経験を磨くほうがいい」です。
転職市場においては、資格よりも「実務経験」が重視されます。「ハイレベルな資格を持つ実務未経験者」より「無資格の実務経験者」が選ばれるのが現実なのです。
もちろん、転職の際に効力を発揮する資格もあります。それは、自分の実務経験に関連する資格。例えば、経理職なら「簿記」、人事職なら「社会保険労務士」「キャリアコンサルタント」「産業カウンセラー」など。あるいは、不動産業界で働いてきた人なら「宅建(宅地建物取引士)」、金融業界なら「FP(ファイナンシャル・プランナー)」といったように、その業界の実務で活かせるものです。
応募先の業種と関係がない資格の場合、マイナス印象になることも
nullつまり、経験がない分野だけど、「知名度が高い」「学習期間の相場が半年~1年程度など、少し頑張れば手が届く」という理由だけで資格の勉強を始めるのはお勧めしません。
もちろん、その業界に強い興味があり、資格が活かせる会社に応募するのであれば「基礎知識がある」「意欲が高い」を証明する手段にはなります。
しかし、これまでのキャリアとも応募先の業種とも関係のない資格を履歴書に書いたとしても、評価されるどころか、むしろマイナス印象を抱かれることもあります。「目的が曖昧な資格の勉強をするほどヒマだったのだろうか。前の職場で重要な仕事を任されていなかったのだろうか」と……。
だから、資格取得のための勉強に時間を使うより、その分、実務で経験を深める・広げることに注力することをお勧めします。
課題解決、業務改善に取り組む
null「そうはいっても、今の会社ではルーティンワークが中心で、新しいことを経験する機会はない」という方もいらっしゃるでしょう。
そういう場合は、自分で職場の「課題」を探し、それを「改善」することに取り組んではいかがでしょうか。特に今はどの会社でも「働き方改革」が課題となっていますので、日々の業務を効率化する方法を考え、オペレーションを変えたり、ITツールなどを導入したりする「プロジェクト」を自分から提案し、責任者として推進するのです。
そのように課題意識や主体性を持って解決・改善に取り組んだ経験は、いずれ転職する際、必ずアピール材料となり得ます。同業種に移るにも異業種に移るにも、プラス評価につながります。
なお、そうした課題解決・業務改善の手法を知るために、ビジネスセミナーに参加するのは有効です。
また、ビジネススクールには「クリティカルシンキング」「プレゼンテーション」「ファイナンス」「人材マネジメント」など、業種・職種を問わず活かせるビジネススキルを学ぶ講座がありますので、自分が強化したいと思う分野を学んでもいいでしょう。
「資格」という形よりも、「理論的に学習したこと」+「それを仕事で実践した経験」の方が、転職においてははるかに強力なアピール材料となるのです。
構成/青木典子