子育て世代の「暮らしのくふう」を支えるWEBメディア

「わざわざ」を言い換えるなら?嫌味っぽくなく、感じの良い言い方は?【オトナ女子の言葉選び#3】

“わざわざ”という言葉を使って感謝の気持ちを伝えようとしても、まっすぐに伝わらないケースが想定されます。“わざわざ”の意味を掘り下げると、その理由が見えてきます。今回は“わざわざ”の言い換え表現や、感謝の気持ちがまっすぐに伝わるコツをお届けします!

解説していただいたのは『見るだけ・聴くだけで語彙力アップ デキる大人の話し方』(主婦の友インフォス)など、多数の著書を持つ国語講師の吉田裕子さんです。

「わざわざ」の意味は?言い換えるときの注意点は?

null

“わざわざ”は、2つの意味がある副詞です。

  1.  何かのついでではなく、それ自体を目的として足を運んだり、手間暇をかけたりする様子。ねぎらいや感謝を示す際に「わざわざ来てくれてありがとう」というような形で使います。
  2.  しなくてもいいことをわざと実行すること。行為者を非難するようなトーンで「わざわざみんなの前で注意をするなんて、配慮がない」といった形で使います。

このように、ポジティブな文脈、ネガティブな文脈、いずれのケースでも使われています。

そのため、たとえ感謝の気持ちを示すために「わざわざ来たんですね」と伝えた場合、相手との関係性、場の雰囲気、伝え方によっては、「来なくてもいいのに“わざわざ”来た」というように受け取られる可能性もあります。

こうしたコミュニケーションの齟齬を防ぐために、“わざわざ”の言い換え表現をいくつか用意しておくといいでしょう。

カジュアルな言い換え表現や、かしこまった場面での言い換え表現をご紹介します。

「わざわざ」をカジュアルに、シンプルに言い換えるなら?

「わざわざを」カジュアルに、シンプルに言い換えるなら?

まず日常会話における“わざわざ”の言い換え表現をご紹介します。

【せっかく】

“せっかく”は、相手の行為が大きな価値があるという気持ちをこめて使います。その価値を生かせなかった場合は「せっかく~のに」という逆説の形で用います。

◆例文(1):せっかく来ていただいたので、部長の鈴木も呼んで参ります。

例文(2)せっかく誘ってくださったのに、参加できずすみません。

【お手間をおかけしました】

時間や労力をかけてもらったことに対して、感謝やねぎらいの気持ちをこめて使います。

◆例文:再送していただき、手間をおかけしました

【お手を煩わせて】

“煩わせる”(読み方:わずらわせる)は、相手に面倒をかけること。お礼やお詫びの言葉とともに使います。

◆例文:お忙しい中、お手を煩わせて申し訳ありませんでした。

かしこまった場やビジネスシーンで「わざわざ」を言い換えるなら?

かしこまった場やビジネスシーンで「わざわざ」を言い換えるなら?

続いて、かしこまった場面での“わざわざ”の言い換え表現をご紹介します。

【ご丁寧に】

手厚く親切な行為に感謝を示す際に使います。

◆例文:ご丁寧に郵送してくださり、ありがとうございました。

【ご足労いただき】

“ご足労“(読み方:ごそくろう)は、足を運んでもらうこと。「わざわざ来てくれて」のかしこまった言い方です。

◆例文:本日はお足元の悪い中、ご足労いただきありがとうございます。

【遠路はるばる】

「遠路(読み方:えんろ)はるばる」は、時間や労力をかけて来てもらった相手に対して使います。

◆例文:この度は遠路はるばるおいでいただき、恐れ入ります。

【ご来臨】

“来臨”(読み方:らいりん)ある場所に来ることの尊敬語です。おもに書き言葉の中で使われている表現です。

◆例文:ご来臨を賜り、大変光栄です。

上記以外にも、「○○さんにご連絡いただけるとは光栄です」「弊社のことまで気遣っていただき、恐れ入ります」のように、しっかりお礼を伝えることで、結果として「わざわざ」のニュアンスを伝えることもできるでしょう。

「感謝」を相手にしっかり伝えるコツは?

「感謝」を相手にしっかり伝えるコツは?

感謝を伝えるときには、相手の手間を想像しながら、気持ちを込めて伝えることが大切です。

冒頭で“わざわざ”の2つの意味をお伝えしましたが、“わざわざ”を使うときには、“お忙しい中”“ご多忙の中”などの、ねぎらいの一言を添えることで、相手への感謝が伝わりやすくなります。

また、今回ご紹介したような言い換え表現の熟語に“もらう”の謙譲語である“いただく”“くださる”“賜る(読み:たまわる)”を組み合わせることで、相手の行為に敬意を示し、わざわざやってくれたことへの感動や感謝を強く示すことができます。

「ありがとうございます」という言葉自体が、「めったにない」という意味を含むことをふまえつつ、相手が貴重な時間や手間をかけてくれたことを意識して、語彙力を活用していきましょう。

 

取材・文/北川和子

※この筆者の記事をもっと読む

吉田裕子
吉田裕子

国語講師。「大学受験Gnoble」やカルチャースクール、企業研修などで教えるほか、「三鷹古典サロン裕泉堂」を運営。10万部突破の著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)など、言葉や敬語、文章術、古典に関する発信も多い。近著に『大人に必要な読解力が正しく身につく本』(だいわ文庫)、『見るだけ・聴くだけで語彙力アップ デキる大人の話し方』(主婦の友インフォス)。東京大学卒業。

pin はてなブックマーク facebook Twitter LINE
大特集・連載
大特集・連載