漬ける前に、きゅうりの水分を抜いておくのがポイント
null夏は香味野菜をたっぷり利かせたくなりますよね。そこで沼津さんが考案したのが「刻み薬味の万能漬け」。
「山形の郷土料理“だし”のイメージで、香味野菜ときゅうりをザクザク刻んで漬け込みます。ネバネバしたとろみは、とろろ昆布で出すのがポイント。とろろ昆布の旨味が染み込んで、何にかけてもおいしいので、常備しておくと便利ですよ!」(以下「」内、沼津さん)。
とろろ昆布を使った沼津流・万能漬け。作り方を早速チェックしてみましょう!
【材料】(作りやすい分量)
きゅうり・・・1本
しょうが・・・10g(1片)
みょうが・・・2個
大葉・・・5枚
塩・・・少量
きび砂糖・・・大さじ1
しょうゆ・・・大さじ2
とろろ昆布・・・5g
【用意するもの】
保存容器・・・1個
【作り方】
(1)きゅうりはヘタを取り、半分に切ってから、棒状になるように十字に切る。種の部分を薄くそぎ落としてから、さらに縦3等分くらいに切り、5mm角に細かく刻む
「大きく育った夏のきゅうりは種が多く、種の部分は水分が多いので、万能漬けに一緒に入れてしまうと味が薄まってしまいます。そこで、種の部分を薄くそぎ落としてから、細かく刻みましょう。もちろん種の部分は食べられるので、サラダのトッピングなどに使ってください。
水分が出ないよう種を丁寧に取り除かれたきゅうりは、ちゃんと下ごしらえがされている証拠。フレンチのレストランなどに行った際は、ぜひチェックしてみてくださいね」
(2)バットにペーパーを敷いて、きゅうりをのせる。軽く塩を振ってなじませ、漬ける前に水分を抜いておく
「今回はしょうゆで味付けするので、塩分が入ると野菜からどんどん水分が出て、味が薄まってしまいます。特にきゅうりは水分が多い野菜なので、事前にできるだけ水分を抜いておきましょう。
バットにペーパーを敷いてきゅうりを入れ、味付けにならない程度に塩を少量振り、他の野菜を切っている間に水分が出るようにしておきます。ちょっと面倒ですが、このひと手間でグンとおいしく仕上がりますよ!」
(3)しょうがは薄切りにしてから千切りにし、さらに細かいみじん切りにする
「今回は皮をむいていますが、スプーンで軽く皮をそぐだけでもOK。しょうがは厚切りだと辛味が出てしまうので、できるだけ細かく切りましょう。切っているだけで香りがよく、元気が出ますね。お好みでにんにくを入れてもパワーが出ますよ」
(4)みょうがは根元を少し切り落とし、半分に切る。縦に切り揃えてから、みじん切りにする
「みょうがは好みの切り方でOKです。包丁をたくさん入れて刻むと香りが引き立つので、私は細かいみじん切りにしています」
(5)大葉は茎を切り落として、半分に切って重ねて丸め、5mm幅に切ってからみじん切りにする
「大葉は手でちぎると香りが引き立つと言われているので、手で細かくちぎって入れてもいいですよ」
(6)ボウルにしょうが、みょうが、大葉を入れる
(7)きゅうりをペーパーで包み、水気をよく切って入れる
「きゅうりの水分を抜く時に、手で絞って水気を切ると手にいっぱいくっついてしまって面倒ですが、ペーパーを敷いておけば、包むだけでラクに水気を切ることができます。きゅうりの余計な水分を抜いておくと、味がぴったり決まります」
(8)きび砂糖、しょうゆを入れる
「きび砂糖を使うと、味がまろやかになります。なければ普通の砂糖でもOK。みりんを使う場合はアルコールを飛ばしてから使ってくださいね」
(9)とろろ昆布を手で細かくちぎりながら入れる
「通常は刻み昆布を入れることが多いのですが、とろろ昆布なら手軽に買えて、さらにとろみがすぐにつきやすい。とろろ昆布が絡まないよう、手でちぎって入れましょう。ネバネバ食材は、夏バテ予防にもおすすめです」
(10)全体をよく混ぜ合わせ、清潔な保存容器に入れる
「きゅうりの代わりになすを使ってもおいしいですよ。なすも水分が多い野菜なので、きゅうり同様に塩で水分を抜いてから入れてくださいね。
とろろ昆布が絡まっているところは、ほぐすようにして混ぜてください。ダマになっていても、野菜から水分が出てだんだんなじんできます」
(11)冷蔵室で30分以上置いたら、できあがり!
漬け込むと昆布の旨味が野菜に溶け込んで、おいしい万能漬けになります。保存の目安は、冷蔵で3〜4日。
たっぷり刻んだ野菜と昆布の旨味がひとつに溶け合い、ネバネバしたとろみの中でまろやかに融合。ひと手間ですが、きゅうりの水分を抜く下ごしらえを丁寧に行っているので、漬け込んでも味が薄まらず、濃厚な旨味をしっかり感じることができます。これなら食欲がない時でも、ごはんにかけるだけで、ツルツルっとさっぱり食べられそう!
薬味たっぷりの「万能漬け」はソース代わりに万能!
nullさらに今回の万能漬けは、何にかけても味が決まるのが特徴。
「しょうがや大葉の薬味が利いているので、ソース代わりにも使えてとっても便利。塩を振って焼いたカジキマグロにたっぷりかけるだけでごちそうになりますよ! ゆでた豚肉や鶏肉とも相性抜群です」
「他にも、ごはんや冷奴はもちろん、納豆に混ぜてもっとネバネバを楽しんでもいいし、お刺身と和えたり、カリカリに焼いた油揚げにのせたり、そうめんなど麺と絡めてもGood! オクラやごまを足したり、ラー油をかけたり、お好みで味変しても楽しいですよ」
自由自在な食べ方で、まさに万能! 暑い夏のお助け常備菜として、ぜひ作ってみてはいかがでしょうか。
次回は、夏本番「ゴーヤ」のちょこっと漬けを紹介します。
【取材協力】
沼津りえ
料理研究家、管理栄養士、調理師。料理教室『cook会』主宰。バラエティー豊かなレッスン内容が好評で、東京・阿佐ヶ谷を中心に数多くの料理教室を開催。毎年、梅漬けの教室はリピーターが多く大人気に。手軽でシンプルなアイディア溢れるレシピに定評があり、雑誌などのメディアでも活躍。著書に『いろんな味で少しだけつくる ちょこっとだけ漬けもの』(学研プラス刊)、『低糖質だからおいしい!「おやつ&スイーツ」』(K&M企画室)、『食品保存大全』(主婦の友社)など多数。
取材・文/岸綾香