実はあずきは健康食材!
食物繊維&良質なたんぱく質が豊富
日本で生産されたあずきの7割ほどがあんこなどの和菓子に加工されています。実はあずきには日本人が不足しがちな食物繊維を多く含んでいるのです。以下、100gあたりに含まれる食物繊維の量をご紹介します。
- あずき 24.8g
- 大豆 21.5g
- ひよこ豆 17.4g
- さつまいも 2.8g
さつまいもと比較しても豆類は食物繊維が多いのがわかりますが、その豆類のなかでもあずきは特に食物繊維が豊富な食材です。
また、あずきは100gあたりたんぱく質を20.8g含んでいます。たんぱく質は様々なアミノ酸から構成されている物質ですが、あずきなどの豆類は体に必要なアミノ酸を特にバランスよく含んでいる食材といわれます。
ビタミンB1・カリウムを含む
あずきにはビタミンB1が含まれます。ビタミンB1は、糖質からエネルギーを作り出す働きがあります。ごはんやパン、麺類などの糖質を摂取してもビタミンB1が不足するとエネルギーとして活用できないため、疲れやだるさなどの倦怠感を引き起こします。運動をする人は特に多く摂りたい栄養素です。
また、カリウムは体内の過剰なナトリウムを排出するため、塩分の調整に役立ちます。体内の水分を調整する働きがあるため、むくみ対策にもおすすめです。
ポリフェノール(サポニン)の抗酸化作用に注目!
あずきに含まれるサポニンというポリフェノールには過剰な活性酸素を無害な物質に変える抗酸化作用があり、動脈硬化など生活習慣病の予防に役立ちます。また、サポニンには利尿作用もあるため、むくみ予防に効果が期待できます。あずきの煮汁に含まれるポリフェノールには血糖値の抑制効果が期待できるという報告もあり、研究が進められています。
ポリフェノールは皮の部分に多く含まれており、熱に強いので煮ても損なわれることありません。
気になるあずきのカロリーは?
生のあずき1カップ(160g)を茹でると約2.3倍(368g)ほどになります。茹でたあずきは100gあたり146kcal。ごはん100gは168kcalなのでさほどエネルギーは高くありません。
ちなみに砂糖を加えて煮詰めたつぶあんは100gあたり244kcal、こしあんは261kcalになります。あんこにするとエネルギーが高くなるのでダイエット中は食べすぎに注意してくださいね。
ダイエット中にあんこを食べるならつぶあんがおすすめ。つぶあんはあずきの皮ごとあんこにしているので、食物繊維が多いのが特長です。
あずきの簡単調理方法教えます!
炊飯器・圧力鍋を活用して手軽に!
あずきを煮るときは一度茹でこぼしてから煮るという方法が一般的ですが、あずきに含まれるポリフェノールを充分に摂取したい場合はそのまま煮るのがおすすめです。ただしポリフェノールはえぐみの成分でもあるので、好みや調理法に合わせて茹でこぼすかどうかを選択してくださいね。豆によっても、比較的えぐみが強いものからほとんど感じないものまであります。
あずきの基本的な調理法をご紹介します。あずきは前日から水に漬けておく必要はありません。茹でこぼす場合は水とあずきを鍋に入れて沸騰したらお湯を捨てます。
そのあと水とあずきを中火にかけ、沸騰直前に弱火にします。1時間30分程度弱火で煮るとやわらかくなります。鍋で調理すると時間がかかりますが、炊飯器や圧力鍋で調理することもできます。
炊飯器の場合は、豆の3倍程度の水を加えて、通常の炊飯モードで炊飯します。炊飯器によって加熱時間が異なるので、1度加熱して、芯が残っていたらもう一度炊飯します。
圧力鍋を使う場合は圧がかかってから6~8分程度加熱するとやわらかくなります。
いずれの調理法でも、やわらかくなったあずきに砂糖を入れて10~15分ほど煮詰めるとあんこができます。ここで注意するべきなのは砂糖を加えるタイミング。あずきがやわらかくなってから、が鉄則です。あずきがかたい状態で砂糖を入れるとあずきがやわらかくならないので注意しましょう。
甘いものが苦手でもOK!あずきを料理に活用
null食物繊維やポリフェノールを含むあずきは、和菓子で食べるだけではもったいない! 料理にもぜひ活用してください。あずきを使った料理をご紹介します。
・いとこ煮
いとこ煮とはあずきと野菜を煮たもので茨城県や富山県など各地の郷土料理として食べられています。一般的にかぼちゃとあずきを醤油味で煮たものをいとこ煮と呼びます。かぼちゃは食べやすい大きさに切って醤油、砂糖、塩で煮て、別途下茹でしておいたやわらかいあずきを加えて煮ます。あずきとかぼちゃのほっこりした甘みが魅力です。
・あずき粥
中国では、小正月である1月15日に無病息災を願ってあずきを加えたおかゆを食べる習慣があります。やわらかく煮たあずきをおかゆに加えるとあずきの甘みと香りが楽しめます。
・カレー
インドでは豆を使ったカレーが日常的に食べられています。やわらかく煮たあずきをお肉の代わりに入れてみましょう。煮たあずきが余ったときの活用方法としてもおすすめです。
茹でたあずきは冷凍保存がおすすめ
null茹でたあずきは冷蔵庫で2日間ほど保存できますが、冷凍すれば1カ月程度保存することができます。いっぺんに茹でておき、1食ごとに使いやすい量に小分けにしておくと便利です。自然解凍でも、凍ったまま調理もどちらも可能。あんこにした場合も、同様に食べきれない場合は冷凍してください。
撮影:田中 麻以
【参考】
・農林水産省「aff」2010年12月号 特集1 いろんな豆
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1012/spe1_02.html
・文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
・厚生労働省「e-ヘルスネット」良質なたんぱく質
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-036.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」食物繊維の必要性と健康
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html
・国土交通省北海道開発局「小豆」
https://www.hkd.mlit.go.jp/ky/ki/chousa/foodscatalog_09.pdf
・厚生労働省「e-ヘルスネット」カリウム
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-005.html
・Itoh T et al. Suppressive effect of a hot water extract of adzuki beans (Vigna angularis) on hyperglycemia after sucrose loading in mice and diabetic rats. Biosci Biotechnol Biochem. 2004; 68(12):2421-2426
・厚生労働省「e-ヘルスネット」抗酸化物質
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-009.html
・小嶋 道之他「小豆ポリフェノールの生体内抗酸化活性と肝臓保護作用」日本食品科学工学会誌/53 巻 (2006) 7 号
https://www.jstage.jst.go.jp/article/nskkk/53/7/53_7_386/_article/-char/ja/
・農林水産省「食文化」小豆雑煮
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/azukizouni_shimane.html
・農林水産省「食文化」かぼちゃのいとこ煮
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/kabochanoitokoni_ibaraki.html
・JA東京あおば「農産物詳細」
https://www.ja-tokyoaoba.or.jp/products/vegetable.php
・「新・野菜の便利帳」板木利隆監修 高橋書店
・「調理のためのベーシックデータ 第5版」女子栄養大学出版部
(最終参照日 すべて2020/12/09)