お彼岸に作ろうと思っていたのに、気づけば4月……
nullこの春のお彼岸には絶対におはぎを作りたい!食べたい!と思っていたのに、 忙しさにかまけてずるずると日が過ぎていき、ようやく作ったのは4月に入ってからだった。
もしかしたら今の若い人や都会の人は、お彼岸だからおはぎを食べるという習慣はないかもしれない。
けれどもそれでもきっと、都会のスーパーの片隅にも老舗の和菓子屋さんにも、お彼岸の頃にはおはぎが並ぶだろうし、田舎ではまだまだおはぎを作って食べる家も多いだろうし、SNSのタイムラインは、おはぎ一色だっただろう。SNSの投稿は、さすがに違うか……。
まずは小豆を炊かなくては!
おはぎなら、まずは小豆を炊かなくては!
豆の調理は通常、前の晩から一晩かけて水に漬けておいたり、 長時間かけてコトコト炊いたりとハードルが高いけれど、小豆は浸水の必要がない分、気持ち的に少し楽だ。 その分、渋きりはしっかりと
グラグラ煮立ってきたら刺し水をして、さらに煮立てて水を捨てる。 サッと小豆もお鍋も洗って。 これを面倒がらずに2回。これでびっくりするくらい、すっきりした味わいの餡子になる。
あとは圧力鍋にお任せ。 強火にかけて圧がかかったら、弱火で10分。 火を止めて圧が下がるまで待ってからお湯を切り、小豆と同量の砂糖を入れて煮詰めていく。
作りやすい分量は小豆300g。だから、お砂糖も300g。 今の甘さ控えめ志向の人にはもしかしたら、少し甘いと感じられるかもしれないけれど、 程よい甘さだし保存にも適している。 何より覚えやすい。
程よい硬さ(冷めると硬くなるので柔らかめで丁度いい)になったら、 バットに移して冷ます。 余ったら餡子は冷蔵庫で保管しておいて、餡バタートーストにするのが楽しみ。 食べきれない分は冷凍保存もできる。
手作り餡子で難しいのは、仕上げの塩だけれど……
ちなみに餡子を炊く時、味を引きしめると考えられている仕上げの塩を、 私は入れない。
これが私の母親が繰り返し繰り返し、 子どもの頃の私に何故にそこまで力説するんだろう? と不思議だったコツだ。
塩の加減は本当に難しい。 ほんのり塩の風味を感じてしまうと、もうそれは餡子でなくなってしまう。 入れて味が引きしまる確率は素人の私たちには限りなく低い。 それなら、最初から入れないに限る、と。
もち米が炊けたら、ついて粒を軽く潰して熱いうちに丸める。きな粉の方は中に餡子を入れて。 餡子の方は、もち米を小さめに丸めて。 それでも最終的に餡子で包むと大きくなる。 いつも注意しているのに、やっぱり大きくなってしまうのはご愛敬。
この2色が我が家の定番。 懐かしい実家の母親が作るおはぎだ。
もち米2合で餡子ときな粉10個づつ、合計20個のおはぎができた。 食べきれなかった分はこんな、風合いのある入れ物に包んで友人・知人へ。 喜んでもらえたかな。
娘はいつか、この味を思い出してくれるだろうか
珍しく、娘がお茶を入れてくれた。
3時のおやつに、ちょうど帰ってきた旦那さんも一緒に家族3人でおやつタイム。 幸せな時間だ。
私がおはぎで母親を思い出したように、娘もいつか、私が作ったおはぎを懐かしく思ってくれるだろうか。
もしおはぎを自分で作るようになったら、私や私の母のように餡子に塩を入れないのか、それともしっかり入れるのか。 それもまた娘の好みだろうから強要はしないけれど、入れない派だったらちょっと嬉しいかも。
世界がどんな情勢でも季節は廻り、米作りもまた始まる
null春作業が始まり一気に忙しくなってきた。 世界がどんな情勢でも季節は廻り、米作りもまた始まる。
私たち米農家はただただ、田植えに向けて日々の春作業に精を出すこと、そして日々のお米のご注文にできるだけ応えること、それだけだ。
春は1年の中でも1番忙しく、 田植えに向けての準備が作業所でもビニールハウスでも田んぼでも、同時進行でいろんな作業が行われる。
特に育苗(いくびょう=田植えの際に植える苗を育てる作業)は、 この先田植えが終わるまでの2カ月間、休みなく続く。
これは、小分けした種籾(たねもみ)を水に浸して、発芽のための生理活性を整える作業中。 この地区は北アルプスからの雪解け水が地中を通って、地上に湧き出てくる自噴水が豊富な所。その自噴水を贅沢に使って浸種している。
田んぼではトラクター作業も始まった。
これから田植えまで、1枚の田んぼに3回トラクターが入って、 耕起(土を起こす)→荒くり(土と水を混ぜる)→代かき(次の表面を滑らかにする)を行っていく。
米作りというと、 田植えだ稲刈りだと想像されがちだけれど、 田植えや稲刈りは米作りのごく一部。 1年間の中でも我が家の場合、たったの20日間ほどの作業でしかない。 それ以外の、あまり世間では知られていない日々の作業の積み重ねこそが、米作りの根幹なのかもしれない。
私はできるだけそういう、 世間ではあまり知られていない米作りの様子を、これからもお伝えしていきたいと思います。