意外と栄養豊富!?じゃがいもに含まれる栄養素
null熱に強いビタミンC、血圧が気になる人におすすめのカリウム
炭水化物の比率が多いじゃがいもですが、同時にビタミンC、カリウムも含んでいます。
ビタミンCは熱に弱い性質がありますが、じゃがいもに含まれるビタミンCはでんぷんに守られているため、ほかの食材と比較して加熱に強い特徴があります。
ビタミンCは抗酸化作用があり、体内に発生した過剰な活性酸素から細胞を守る働きがあるほか、コラーゲン生成に関係したり、鉄の吸収を促進するなど様々な役割をもっています。
カリウムは、体内の余分なナトリウムを排出する働きがあるため、高血圧の方は特に多く摂取したい栄養素です。
「ダイエット中だから食べない」はちょっと待って!じゃがいもの気になるカロリー
じゃがいものカロリーは100gあたり76kcalと、実はそれほど高くありません。さつまいもは100gあたり140kcal、ご飯は100gあたり168kcalですから、それらと比較してもだいぶ低め。
ダイエットはカロリー管理だけでなく、食物繊維もうまく利用するのがおすすめです。
食物繊維は、血糖値の急上昇を抑えることで、糖が脂肪に変換されるのを抑える働きをします。100gあたりの食物繊維量を比較すると、じゃがいもは9.8g、さつまいもは2.8gと実はじゃがいものほうが多く含まれているんです。
このように、カロリーが低く、食物繊維が豊富なじゃがいもは実はダイエット向きの食材と言えるんです。
ただし、調理方法には注意して。じゃがいもを使った料理にありがちな油で揚げたメニューはぐっとカロリーが高くなります。例えば、ポテトチップスは1袋(60g)あたり332kcal、フライドポテトは100gあたり168kcalに。ダイエット中にじゃがいもを食べるときは、蒸したり茹でたりしたものがおすすめです。
おいしく安全に食べるためのじゃがいもの下処理
nullじゃがいもの芽はソラニンという毒素を含んでいます。ソラニンは腹痛や吐き気などの中毒症状を起こす危険性があり、しかも茹でても残るので、あらかじめしっかりと芽を取り除くことが大切です。
芽が生えていない場合であっても、皮が緑色になっている部分はソラニンを含んでいます。その場合は全体的に皮を厚めにむき、緑色の部分のまわりもしっかり皮をむいてください。
芽が出たじゃがいもは食べられる?
買ったじゃがいもを放置していて芽がでたとき、もったいないけど……と捨てていませんか? じゃがいもの芽が生えてしまった場合でも、芽と皮を除けば食べることができます。
毒素であるソラニンは芽と皮に多く含まれていますが、しっかり取り除けば芽が出たじゃがいもも安心して食べられますよ。
じゃがいもの定番の切り方4種をマスターしよう
nullじゃがいもは和、洋、中といろいろな味付けで楽しむことができます。切り方も料理に合わせて変えれば、食感の違いも味わえます。
1:四つ割り
大きさを揃えるように4等分にするのが四つ割りです。四つ切りとも言われます。肉じゃがなど煮物やカレーなどに使いやすい切り方です。大きくカットするので、煮崩れしにくいのが特徴。
2:千切り・細切り
1~3㎜程度の輪切りにしたじゃがいもを少しずつずらすように重ねて、端から1~3㎜間隔で切ったものが千切りです。
千切りよりも少し太めの3~5㎜の細さに切ることを細切りと言います。ガレットやサラダに使いやすい切り方です。
3:角切り
角切りはさいの目切りとも呼ばれます。コロコロとしたサイコロのように1cm角に切る方法です。じゃがいもを1cmの厚さに切ったものを、1cm角になるように切ります。スープやサラダに使いやすい切り方です。
4:くし切り
フライドポテトの定番くし切り。縦半分に切ったじゃがいもの断面をまな板側にして、同じ厚さになるように等分に放射状にカットします。
切ったじゃがいもを水にさらす理由
じゃがいもを水にさらす理由は2つ。
1つ目は変色を予防するため。じゃがいもにはアクがあるため、切ってすぐに調理しないと変色を起こします。水にさらすことでアクが抜けるため、変色防止に効果的です。
2つ目は、じゃがいものでんぷんによってじゃがいも同士がくっついたり、でんぷん質が溶け出してとろみがつくのを防ぐため。じゃがいもは片栗粉の原料として使われるほどにでんぷん質が多い食材です。水にさらして余分なでんぷんを取り除くので、料理がさらっとした仕上がりになります。
一方で、じゃがいもを水にさらさないで調理したほうがいい料理も。
例えばガレットは、じゃがいものでんぷんがのりの代わりとなって、くっつきやすくなります。水にさらしてしまうとバラバラになって焼きにくいので、注意してくださいね。粉ふき芋も水にさらさない方が上手にできます。
また味噌汁やカレーは調理するときの水分量が多いため、水にさらさずに使うことができます。水にさらさないで使う場合は変色しやすいので、カットしたら早めに調理してくださいね。
じゃがいもの保存は冷蔵庫or常温、どっちが正解?
nullじゃがいもはスーパーでは常温で販売されていますが、買って帰るとなんとなく冷蔵庫で保存しているという方もいるのではないでしょうか。
じゃがいもは、常温で保存するのが正解です! ビニール袋から取り出して新聞紙に包み、風通しが良い場所で保存してくださいね。
また、りんごと一緒に保存するとりんごの発生するエチレンガスの働きで芽が出にくくなります。基本的に、じゃがいもは芽が出にくいように処理をされて販売されています。りんごを一緒に保存できなくても、常温で保存してすぐに芽は生えないのでご安心を。
ただし、夏の気温が高くなる時期は、野菜室で保存したほうがいいでしょう。
じゃがいもの茹で時間・レンジでの加熱時間は?
null電子レンジでの加熱時間の目安
蒸かしたじゃがいもにバターを添えるだけでも立派な一品! 蒸し器は持っていない、蒸すのは面倒……という方にもおすすめの電子レンジ調理をご紹介します。
じゃがいもを丸ごと電子レンジで加熱する場合は、600wでじゃがいも1個あたり3分30秒ほど加熱するとやわらかくなります。じゃがいも2つを同時に加熱する場合は6分ほどが目安。
じゃがいもはしっかり洗ってから、水がついた状態でラップに包み、加熱します。加熱後、時間があればそのまま乾いた布巾で包んでさらに3分ほどおくと、予熱で加熱ムラがなくなってよりホクホクとした仕上がりになります。
茹で&蒸し時間は15分が基本です
茹でる場合は、お湯ではなく水にじゃがいもを入れて茹で始め、沸騰したら10~15分ほど、竹串がスッと通るまで茹でます。
皮付きで丸ごと茹でたほうがビタミンCの流出を抑えることができるので栄養面からも良い方法です。茹であがりが水っぽくなるのも防げます。
茹でたじゃがいもは冷めると皮をむきにくくなるので、アツアツのうちに皮をむきます。ただしやけどには注意して!
蒸す場合は、茹でる時間と同じく15分程度でOK! 茹でるときと同様に水の状態から蒸かします。水の状態から蒸すことで甘みが出て、加熱ムラもなく仕上がります。
身近な野菜なのに、意外と知らない栄養の知識。じゃがいもがビタミンCと食物繊維が豊富なんて、ちょっと意外ですよね! ぜひ、いろいろな食べ方で楽しんでみてくださいね。
撮影/田中麻以(小学館)
【参考】
・文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)追補2019年」
厚生労働省「e-ヘルスネット」抗酸化ビタミン
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-008.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」コラーゲン
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-011.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」貧血の予防には、まずは普段の食生活を見直そう
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-008.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」カリウム
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-005.html
・農林水産省「広報」ジャガイモによる食中毒を予防するために
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/foodpoisoning/naturaltoxin/potato.html
・JA「とれたて大百科」じゃがいも
https://life.ja-group.jp/food/shun/detail?id=11
・「新・野菜の便利帳」板木利隆監修 高橋書店
・「その調理、9割の栄養捨ててます!」東京慈恵会医科大学附属病院 栄養部監修 世界文化社
(すべて最終参照日 2020/06/12)