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春の味覚、ふきのとうの栄養情報&美味しい食べ方や保存方法をご紹介【管理栄養士監修】

春の訪れとともに店頭に並ぶふきのとう。冬の間に蓄えたさまざまな栄養をぎゅっと詰め込んだ、その時期だけに味わえるおいしさです。食物繊維やカリウムなど、含まれる栄養素とその効能、山菜特有のあくを上手に抜く下処理方法や保存方法について、じっくり解説します。管理栄養士の中村りえさんが解説する、野菜の栄養シリーズです。

春のパワーが詰まった山菜「ふきのとう」

ふきのとうに含まれるおもな栄養素

  • エネルギー:38kcal
  • 炭水化物:10g
  • 食物繊維:6.4g
  • ビタミンE:3.2mg
  • 葉酸:160μg
  • カリウム:740mg

さつまいもやごぼうよりも食物繊維が豊富!

100gあたり6.4gの食物繊維を含むふきのとう。食物繊維が多いイメージのあるごほうやさつまいもよりも多く含まれているんですよ。お腹の調子を整えるだけでなく、血糖値の急上昇を抑えたり、過剰なコレステロールを排出したりする効果が期待できます。

様々な働きがある食物繊維ですが、日本人は不足の傾向にあるため意識してとりたい栄養素です。

抗酸化作用のあるビタミンEを含む

ふきのとうは抗酸化作用があるビタミンEを多く含んでいます。体内にある脂質が酸化しないように守り、動脈硬化を防ぐ働きをします。肌の新陳代謝を促して健康的な肌作りをサポートするので、美容を気にする方にもおすすめの栄養素です。また、ビタミンEは血流を良くして、冷えを改善する効果が期待できます。

そのほかにも、血を造る働きがある葉酸を含んでおり、貧血予防にもおすすめです。

高血圧が気になる人にも!塩分調整に働くカリウム

ふきのとうには過剰な塩分を排出する働きのあるカリウムも含まれています。塩気の多い食事のときにはカリウムも意識してとりたい栄養素です。また、体の水分を調整する働きがあるので、むくみが気になるときにもカリウムはおすすめです。

ふきのとうをおいしく食べる下処理

苦みは花が開く前の方が少ない

左の方が苦みが少ないふきのとう。

つぼみが小さく閉じたふきのとうは苦みが少なく、花が開いてくると苦みを強く感じるようになるため、苦みの苦手な人は早めに食べるとよいでしょう。

つぼみを包んでいる部分はがくと言い、黒く変色したものは取り除いて調理をします。すべて剥いてしまうとつぼみがバラバラになってしまうので剥きすぎには注意してくださいね。茎は硬い部分を取り除いて食べることができます。

天然毒を除く効果も!ふきのとうのあく抜き

ふきのとうにはピロリジジンアルカロイド類という天然毒を含んでいるため、あく抜きをする必要があります。あくは水に溶ける性質があるため、茹でこぼしや水にさらすことで簡単に取り除くことができるのです。茹でこぼした後に水にさらすことでさらにしっかりとあくを除くことができます。基本のあく抜きは以下の方法で。

  1. たっぷりの熱湯でふきのとうを3分ほど茹でる。
  2. 水にさらして、何度か水を取り替えて水気を切る。

「食べ過ぎには注意」は本当?

あくを含むふきのとうは大量に食べると体に負担がかかってしまいますが、ふきのとうは苦みがあるためたくさん食べることはできないこと、旬が短く1年を通して食べるものではないことから、これまでふきのとうによる健康被害の報告はありません。あく抜きをして安心して召し上がってください。

ただし、小さな子どもや妊娠中の方は負担がかかりやすいため、量はごく少なめにするか食べるのを控えたほうがよいでしょう。

天ぷら以外にも!ふきのとうの楽しみ方

ほんのり苦みがあるふきのとうは天ぷらで楽しむという方も多いと思います。天ぷら以外にも実はいろいろな料理に使うことができますよ。

・おひたし
あく抜きをしたふきのとうをだし汁やしょうゆに浸したおひたし。お好みでかつお節をかけて。

・和え物
酢味噌和え、マヨネーズ和えなど和え物にすると苦みがまろやかになり食べやすくなります。箸休めに活躍する1品です。

ふきのとうの保存方法

冷蔵は早めに食べる、冷凍も可能

あまり日持ちしないふきのとうは購入したら早めに食べてください。常温で保存すると黒くなりやすいので冷蔵庫で保存し、3日程度で使ってください。

上記の方法で茹でてあく抜きしたものは冷凍保存もできます。冷凍したふきのとうは1ヵ月以内に使い切るようにしましょう。お浸し、和え物、炒め物など様々な料理に使えます。

「ふきみそ」や「佃煮」などの保存食にしても!

保存食としても重宝するふきみそ。細かく刻んだふきのとうを油で炒めて、みそ、砂糖やみりんを加えて炒めて作ります。油を多めに入れると苦みがマイルドになるので、お好みで油の量を調整してくださいね。できあがったふきみそは冷蔵庫で保存し10日ほどで食べ切るようにしてください。

ふきのとうを細かく刻んでからしょうゆ、みりんなどの調理料と煮た佃煮はごはんが進む1品です。しょうゆの代わりに味噌を使う、白だしを加えるなど味付けを変えるとバリエーションが広がります。

 

撮影:田中 麻以(小学館)

 

【参考】
・文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
・厚生労働省「e-ヘルスネット」食物繊維の必要性と健康
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」カリウム
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-005.html
・農林水産省「報道発表資料」食品中のピロリジジンアルカロイド類の含有実態調査結果について(第2報)
https://www.maff.go.jp/j/press/syouan/nouan/180831.html
・JA会津よつば「スペシャル情報」ばぁばの知恵袋 - 春を感じよう! 編
https://aizuyotuba.jp/balaba/13740/
・農林水産省「食文化」ふきのとう味噌 島根
https://www.maff.go.jp/j/keikaku/syokubunka/k_ryouri/search_menu/menu/fukinotomiso_shimane.html
・「新・野菜の便利帳」板木利隆監修 高橋書店

(最終参照日 すべて2020/02/14)

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