野菜の王様と呼ばれるのも納得!にんじんの栄養パワー
null美肌ビタミンと呼ばれるビタミンAが豊富
にんじんの鮮やかな色はβ-カロテンが豊富な証拠。β‐カロテンは体内でビタミンAに変換されます。ビタミンAは皮膚やのど、鼻、肺、消化管などの粘膜を正常に保つ働きの他、抗酸化ビタミンとして体の酸化を防ぐ働きをしています。また、目の働きに関係しており、不足すると暗闇で物を認識できなくなる夜盲症の原因に。
ビタミンAは油と一緒に摂ることで吸収率がアップする脂溶性のビタミン。バターで煮るにんじんグラッセ、オリーブオイルで和えるキャロットラペなど、油を使ったにんじんのレシピはビタミンAを効率的に摂れるのでおすすめです。
にんじんはビタミンA以外にも食物繊維やカリウムを含んでいます。カリウムは過剰な塩分の排出する働きがあるので、むくみや血圧が気になる方は積極的にとりたい栄養素です。
カロリーは低め。サラダにするときはレモン汁やお酢をプラス
水分を89%も含むにんじんは100gあたり39kcalと比較的エネルギーが低い野菜。また100gあたり2.8gの食物繊維を含んでいます。食物繊維は脂肪の吸収を抑える働きがあるため、減量中の方にとって嬉しい栄養素。
ダイエット中、積極的にサラダを食べるという方も多いのではないでしょうか。実はにんじんに含まれるアスコルビナーゼは、生で食べるとビタミンCの吸収を悪くする原因になってしまう厄介な成分。アスコルビナーゼは酸を加えると失活するため、にんじんをサラダで食べる場合はレモン汁やお酢の入ったドレッシングと一緒にするのがおすすめの食べ方です。
料理に合わせて変えよう!にんじんの切り方
null短冊切り
短冊のように長方形に切ることを短冊切りと呼びます。汁物や炒め物に使われる切り方です。厚さは料理に合わせて変更してください。にんじんは固い野菜なので、薄い方が火の通りがよくなります。
長さを3等分に切り、にんじんの切り口を下にして薄切りにし、それを重ねて1cm幅に切ったものが短冊切りです。にんじんは切り口を下にすることで、まな板に当たる部分が平らになり、安定して切りやすくなります。
千切りと細切り
サラダ、スープ、きんぴらなどに使いやすい切り方です。
好みの長さに切ったにんじんを繊維に沿って薄く切ります。それを少しずつずらし端から3~5mmに切ったものが細切り。千切りは細切りよりも細かく1~2mmに切ったものです。
繊維を断つように切る用法もあります。斜めに輪切りにしたものを少しずつずらして繊維を断つように切ることもできます。繊維を断つ切り方は、火が通りやすくなるので、やわらかく仕上げたいときにおすすめ。
包丁で細かく切るのが苦手な場合は、スライサーを活用してもOKです。
いちょう切り
いちょうの葉に形が似ていることから名付けられたいちょう切り。厚めに切ったものは煮物に、薄く切ったものはポテトサラダやスープにと様々な料理に使えます。
にんじんを縦半分に切り、切り口を下にしてさらに縦半分に切ったものを好みの厚さに切ります。
飾り切り(ねじり梅)
お正月料理や煮物に華を添える飾り切り。立体的に見せる梅の形はねじり梅とも呼ばれます。
切り方は動画でもご紹介しています。
- 皮をむいて輪切りに
まずにんじんを輪切りにします。このとき、厚めに切っておいたほうが、あとで立体感を出すことができます。 - 抜き型で梅の形を抜く
芯の部分を真ん中にもってくると見た目がきれいになります。 - 切り込みを入れる
花びらの、へこんでいるところ(動画中に示した赤いライン)に切り込みを入れます。ここで深く切り込みを入れることで、立体的になり、できあがりがきれいに見えます。下まで切ってしまわないよう注意しましょう。 - 花びらを斜めに落とす
花びらを斜めに落とします。3.で入れた切り込みに向けて斜めに包丁を入れていきます。落とす花びらを手前に向けるとやりやすくなりますよ。
飾り切りをする時間がないときは、梅の形の型抜きを使うだけでも十分華やかになりますよ。
にんじんを長くおいしく食べるための保存方法
null保存の状態によって変わる!?にんじんの保存期間
買ってきたにんじんは、水分が付くと傷みやすくなるため、必ず袋から取り出します。乾燥にも弱いため、キッチンペーパーで1本ずつ包んでからポリ袋に入れて保存してください。4~5日経つとキッチンペーパーが湿ってくるので、取り換えるようにしてくださいね。
また、育った環境と同じように立てて保存することも長く日持ちさせるコツです。
以上の保存方法を守ると野菜室で1カ月ほどはおいしく食べられます! 保存方法によって日持ちが変わるので、ぜひ活用してくださいね。
冷凍保存もおすすめ!切ったものを生のままでOK
一度切ったにんじんは日持ちしないので、すぐ使わない場合は冷凍保存しましょう。いちょう切り、細切り、千切りなど切り方のバリエーションを用意しておくと料理に合わせて使えます。
厚く切ったものを冷凍すると食感が変わってしまうので、冷凍して使う場合は薄く切ったものが◎。冷凍したら1カ月以内に使い切るようにしてくださいね。
また、調理するときは冷凍のまま加熱調理してください。きんぴらなどの炒め物に、味噌汁やスープなどの汁物にと、様々な料理に使えます。
撮影/田中 麻以(小学館)
【参考】
・文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
・厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020年版」各論
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-10901000-Kenkoukyoku-Soumuka/0000042635.pdf
・農林水産省「maff」身近な作物
https://www.maff.go.jp/j/kids/crops/carrot/recipe.html
・井上憲政 栄養学雑誌349 「ビタミンと酵素」https://www.jstage.jst.go.jp/article/eiyogakuzashi1941/4/4/4_4_349/_pdf
・厚生労働省 「e-ヘルスネット」食物繊維の必要性と健康
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html
・厚生労働省「平成30年「国民健康・栄養調査」の結果」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_08789.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」カリウム
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-005.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」ダイエット
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/metabolic/ym-090.html
・「新・野菜の便利帳」板木利隆監修 高橋書店
・「その調理、9割の栄養捨ててます!」東京慈恵会医科大学附属病院 栄養部監修 世界文化社
(最終参照日 全て2020/7/15)