夏の体を整える、なすに含まれる栄養素は?
nullカリウムや食物繊維も!美容に気を使う方にもおすすめ
なすは6~9月が旬の夏野菜。93%が水分と水分の割合が多い野菜なので、なす1個(80g)あたり、18kcalと低カロリーです。
ほとんど栄養がないといわれることが多いなすですが、実はカリウムや食物繊維などをしっかり含んでいます。カリウムはむくみ予防、食物繊維は便秘予防にそれぞれ効果的なことは皆さんご存じの通り。
食物繊維は血糖値の急激な上昇を抑える作用があり、糖尿病や心疾患の予防効果も認められている栄養素。日本人に不足しがちともいわれているので、ぜひ積極的に摂取しましょう。
皮に含まれる「ナスニン」には抗酸化作用が
なすの紫紺色の皮には「ナスニン」という栄養素が含まれています。ナスニンは、ポリフェノールの一種でブルーベリーと同じアントシアニン系の色素です。
かわいい名前のナスニンですが、体にとってはとてもいい働きをしてくれます。ナスニンは抗酸化作用が強く、血管や肌の老化を予防する効果が期待できます。
活性酸素は紫外線、ストレスなど日常生活で増えてしまうものですが、増えすぎると過酸化物質へと変化し動脈硬化や老化、免疫低下の原因となりえます。抗酸化物質であるナスニンは、体にとって有害である過酸化物質の除去に活躍するのです。
白色や緑色のなすにはナスニンは含まれていないので、抗酸化作用を期待するのであれば、紫紺色のなすを選んで皮ごと食べてくださいね。
これで完璧!なすの下処理方法
null水にさらすあく抜きは栄養を逃してしまう!
切り口が空気に触れると酸化して茶色に変色し、渋みが出ます。それを防ぐために、切ったなすを水にさらしてあく抜きをするのが一般的。
でも実は、水にさらすのは栄養面からはもったいないやり方です。
有効成分であるナスニンは水に溶けやすい栄養素なので、水にさらすと減少してしまいます。
切ったなすの断面に少量の塩をまぶし、なすから水分が出たら、キッチンペーパーで拭きとるという方法だと、あくを除去しつつナスニンの損失を防ぐことができます。
水なすなどあくが少ない品種だと、あく抜きをせずにそのまま生で食べられるのでより手軽です。
料理に合わせたなすの切り方
・乱切り
炒め物や素揚げなど様々な料理に合う乱切り。果肉の表面積が大きいので、調味料がよくからみやすいのが特徴です。
1.なすのヘタを右にして横に置き、ヘタを切り落とします。
2.斜め45°に包丁を入れます。ナスを手前に90°回して、切り口を上に向けて、再び斜めに切り落とします。これをなすを回しながら繰り返します。
・くし切り
火の通りが良いくし切りは、麻婆なすや肉巻きなどにおすすめです。
1.なすのヘタを右にして、横に置き、ヘタを切り落とします。
2.なすを縦に置き、縦方向に放射状に切ります。
ほかにも、縦に薄切りにして天ぷらやなすのステーキに。みじん切りや角切りはラタトゥイユやスープにぴったりです。切り方により食感も変わるので、いろいろな切り方を試してみてくださいね。
レンジ加熱で手軽にヘルシー調理ができます
なすの果肉部分は水分が多く、スポンジ状をしており、油をよく吸う性質があります。炒めたり、素揚げをすると油がたくさん必要になりますよね。レンジで調理すると、油を使わずに済むのでぐっとカロリーダウンすることができます。
レンジで調理をするときは、1個ずつラップに包み、なす1個あたり600wで2分ほど加熱。そのまま蒸しなすとして、醤油とかつお節をかけると簡単に1品できあがります。
炒めるときは、レンジで加熱してから炒めると油の吸収が少なくて済みます。好みの大きさに切ってから、ラップで包み、600wで1分ほど加熱してから炒めたり煮たりすれば、加熱時間も短縮できますよ。
おいしさ長持ち!なすの保存方法
null冷蔵庫に入れる?入れない?
ついついほかの野菜と一緒に野菜室に入れてしまいますが、夏野菜であるなすは実は低温に弱いので、冷たい場所に長く保存することは避けます。夏以外であれば、常温での保存がおすすめ。新聞紙で包み、乾燥を防いで2~3日で使い切るようにします。
真夏は常温保存すると傷みやすいので、乾燥しないように、ひとつずつラップか新聞紙に包んでから保存袋に入れ、冷蔵庫の野菜室で保存します。しっかりと乾燥を防いだものはしばらく保存ができますが、むき出しで野菜室に入れた場合は10日後にはしなびて、変色を起こしてしまいます。乾燥を防ぐのが、なすのおいしさをキープするためのポイントです。
切ったなすは変色するので、保存はできません。調理する直前に切って使用するようにしてくださいね。
なすは冷凍も可能。冷凍保存するときの注意点
生のなすを冷凍保存する場合は、使いやすい大きさに切って塩をまぶし、水分を拭いて、あく抜きをしてからの密閉袋に入れて冷凍するのがおすすめ。
輪切り、くし切りなど用途に分けて切り方を変えて保存すると便利です。保存期間の目安は1か月程度。あく抜きのときに水分をしっかりとることで、なす同士がくっつきにくくなり、調理に使いやすくなります。
冷凍したなすは、解凍せずに凍ったままで調理できます。なすを冷凍すると組織が壊れて、火の通りが早くなります。生のなすよりもしんなりして味の絡みがよいので、煮物、炒め物におすすめ。レンジでの調理も可能です。
揚げたり、炒めたものも冷凍保存できます。小分けにして冷凍しておけば、お弁当などにすぐ使えて便利です。
撮影/田中麻以(小学館)
【参考文献】
・文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
・厚生省「e-ヘルスネット」食物繊維の必要性と健康
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html
・厚生省「e-ヘルスネット」カリウム
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-005.html
・厚生省「e-ヘルスネット」 活性酸素
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-041.html
・厚生省「e-ヘルスネット」活性酸素と酸化ストレス
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-04-003.html
・独立行政法人農畜産業振興機構 「野菜情報」 なす(変色・あくの渋み)
https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/yasai/1209/yasai1.html
・独立行政法人農畜産業振興機構 「野菜情報」 なす(水につけての変色防止)
https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/yasai/0709/yasai1.html
・カゴメ「VEGE DAY」こんなに違う!?なすをおいしく、長持ちさせる保存方法とは
https://www.kagome.co.jp/vegeday/store/201708/6836/
・JA「とれたて大百科」
https://life.ja-group.jp/food/shun/detail?id=7
・農林水産省「みんなの食育」
https://www.maff.go.jp/j/kids/crops/eggplant/column01.html
・「新・野菜の便利帳」板木利隆監修 高橋書店
・「その調理、9割の栄養捨ててます!」東京慈恵医科大学付属病院栄養部監修 世界文化社
(すべて最終参照日 2020/04/28)