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「オクラ」にはどんな栄養があるの?茹で時間・下処理方法まで徹底解説【管理栄養士監修】

代表的夏野菜のひとつ、オクラ。和風にも洋風にも、茹でても、炒めても、煮込んでもおいしい万能野菜です。意外と悩むベストな茹で時間や、表面のうぶ毛が気になるときの下処理方法。そしてもちろん栄養についての知識も! 管理栄養士の中村りえさんがオクラの基礎知識を徹底解説します。

ネバネバのオクラは栄養たっぷり!

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β-カロテンとビタミンの宝庫!元気が出る夏野菜

夏野菜の代表格のオクラ。断面は星形でかわいい見た目ですが、栄養パワーはしっかり。

緑黄色野菜であるオクラはβ-カロテンが豊富! 同じ夏野菜であるきゅうりと比較すると、β-カロテンを約2倍含んでいます。β-カロテンは体内でビタミンAに変換され、粘膜の保護、肌や目の健康に関わる栄養素です。ビタミンAには抗酸化作用があり、夏の強い紫外線から肌を守る役割も。夏にぜひ食べたい野菜です。

オクラには、β-カロテンの他にも、ビタミンCや葉酸などを含んでいます。

低カロリーのオクラはダイエットにもぴったり

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オクラは1パック(100g)で30kcal。ダイエット中でも安心して食べられる低カロリーな野菜です。

オクラは100gあたり5gの食物繊維を含んでいます。食物繊維と聞いてすぐに思い浮かぶ便秘の予防以外にも、過剰なコレステロールを排出するなど体にとって嬉しい効果がたくさんあります。

食物繊維には、消化吸収をゆるやかにして血糖値の急上昇を抑えてくれる効果があります。食事で糖質を摂ると血糖値が上がり、その血糖値を下げるためにインスリンが分泌されます。インスリンには血中の糖分を脂肪として体にため込む働きがあるのですが、血糖値が急激に上昇するとインスリンが過剰に分泌され、さらに体に脂肪をため込みやすくなってしまいます。

食物繊維には、この血糖値の急上昇を防ぐ働きがあります。このため、食物繊維はダイエットにとって重要な栄養素と言われるのです。

オクラにはうれしい健康効果がたくさん!

ネバネバ食材が体にいいといわれるのは、食物繊維を豊富に含んでいるため。食物繊維は腸内の善玉菌のエサとなり、腸内環境を整える効果が期待できます。腸内環境は免疫機能にも関係しているので、元気な毎日を過ごすためにも食物繊維はしっかり摂取したい栄養素。

特に現代の食生活において食物繊維は不足しがちですから、オクラやめかぶなどのネバネバ食材はぜひ意識して食べてみてくださいね。

うぶ毛は?茹で時間は?オクラ調理の基本を解説!

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「板ずり」で解消!オクラのうぶ毛の取り方

オクラにはうぶ毛があるので、茹でたり、焼く調理をする前に下処理しましょう。うぶ毛がしっかりしているのはオクラが新鮮な証拠ですが、うぶ毛をきちんと除くことで口当たりがよくなり、小さな子どもでも食べやすくなります。 

塩をまぶしてオクラを転がすようにまな板にこすり合わせると、うぶ毛を取り除くことができます。この工程は「板ずり」と呼ばれます。

また、塩をまぶすことで茹でたときにきれいな緑色に仕上げることができます。

オクラをおいしく食べられる下処理方法と茹で時間

スープや炒め物などにも使えるオクラですが、頻度が多いのは茹でてそのまま食べる方法ではないでしょうか。その際の下処理は以下の要領で。

ヘタの先端を落とし、ヘタと実の境目にあるガクを薄く剥きます。ここからばっさり切り落してしまう方もいるかもしれませんが、硬いガクを除けば、ヘタの部分もちゃんと食べられます。茹でる前のひと手間が栄養を逃さずに食べるコツです。

 

オクラの茹で時間は、1分30秒~2分がおすすめ。歯応えを残したい場合は1分でOK! たっぷりとお湯を沸かして、板ずりしたオクラを洗わずに塩がついたまま茹でます。

うぶ毛が目立たない品種もありますので、板ずりをしないで茹でる場合には、1Lのお湯に対して小さじ1程度の塩を入れて茹でるときれいな色に仕上がります。

注意点は、切らずに茹でること。茹でる前に切ってしまうと、水っぽい食感になってしまいます。

実はオクラは生でも食べられるんです

意外と知られていませんが、オクラは生でも食べられる野菜。

生で食べるオクラを購入する際は、ガクが白いものを選ぶと新鮮で軟らかいのでおすすめです。また、早採りのミニオクラは軟らかく、生食でも食べやすいです。

生で食べる場合には、塩を振って板ずりをしてうぶ毛を落とし、塩をさっと洗い流してから使いましょう。

ヘタの先は苦み成分があるので、ヘタの先端と硬いガクの部分は除いてからお好みの切り方で。生で食べたことがない方はみじん切りや薄切りなどが食べやすくおすすめです。

おいしさ長持ち!オクラの保存方法

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立てて保存が基本!どっちを上にするか分かりますか?

オクラを生で保存する場合は、乾燥に弱いので、キッチンペーパーや新聞紙に包み、ポリ袋に入れて乾燥を防いでから野菜室に。4~5日保存ができます。

5℃以下で低温障害を起こすので、野菜室がない場合は、夏以外は常温で保存するのがおすすめです。

一般的に、野菜は育った環境で保存すると日持ちが良くなります。オクラはこのようにヘタを下にして育つ野菜。

ですので、グラスやペットボトルの上部を切ったものなどに、ヘタを下に向けて立てて入れ、保存するのがおすすめです。

茹でたオクラは、早めに使い切ってください。茹でて残ってしまった場合は、使いやすいように食べやすい大きさに切って保存容器に入れ、冷蔵庫に入れて翌日までに食べ切ります。

使い切れないものは、冷蔵庫保存ではなく冷凍保存しても。

1カ月おいしく食べられる冷凍術

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オクラは冷凍保存もできます。生のまま冷凍する場合は、板ずりして、ヘタの先端とガクを取り除いてから、使いやすいように1回で使う量に分けて、密閉袋に入れて冷凍庫で保存してください。

重なってしまうと調理に時間がかかるので、オクラ同士が重ならないようにするのがコツ。調理するときは解凍せずに凍ったまま茹でたり、炒め物に直接入れて使ってください。

 

生だけでなく、茹でたオクラも冷凍することができます。茹でたオクラは食べやすい大きさに切ってから冷凍すれば、冷蔵庫で自然解凍して使うことができます。

炒め物や汁物に使うときは凍ったままの茹でオクラを直接入れて調理できます。

生でも加熱した後でも保存の目安は1カ月です。

撮影/田中麻以(小学館)

 

【参考文献】

・文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
・厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020年版」各論 脂溶性ビタミン
・JA「とれたて大百科」オクラ
https://life.ja-group.jp/food/shun/detail?id=47
・厚生労働省「e-ヘルスネット」抗酸化ビタミン
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-008.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」活性酸素と酸化ストレス
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-04-003.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」食物繊維
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-016.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」腸内細菌と健康
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-003.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」食物繊維の必要性と健康
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html
・厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
・農林水産省「aff20138月号」特集1 夏野菜を 食べよう!(2)
https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/1308/spe1_02.html
・「新・野菜の便利帳」板木利隆監修 高橋書店
・「その調理、9割の栄養捨ててます!」東京慈恵会医科大学附属病院 栄養部監修 世界文化社
・「腸を鍛える -腸内細菌と腸内フローラ」光岡知足 祥伝社

(すべて最終参照日 2020/05/29)

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