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「よろしくお伝えください」と言われたらなんと返す?実際にはどう伝える?【あらためて知りたい頻出ビジネス用語#12】

「~さんにもよろしくお伝えください」という表現は、どのような場面で使ったらいいのでしょうか。また、実際に「よろしくお伝えください」と言われたら、当事者にどうやって伝えたらいいのでしょうか。今回はそんな疑問を解明していきます!

解説して頂いたのは『たった一言で印象が変わる大人の日本語100』(ちくま新書)など、多数の著書を持つ国語講師の吉田裕子さんです。

「よろしくお伝えください」の意味とは?

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「よろしくお伝えください」は、今この場にいない人に対して自分の好意を伝えてもらうための挨拶の言葉です。

“よろしく”には複数の意味がありますが、「よろしくお伝えください」の“よろしく”には、「空気や流れに合わせて相手が適切に対処することに期待する」「今後の良好な関係を願う」という意味があります。

「よろしくお伝えください」はどんなシーンで使う?目上の相手に使える?

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ビジネスシーンにおいて「よろしくお伝えください」は会合や会議が終わるときなどに、その場にいない関係者への気遣いを示すための挨拶として使われています。

「皆さんによろしくお伝えください」「御社の部長によろしくお伝えください」というように、その場にいない相手側の関係者がどのような立場であっても使うことができます。

プライベートにおいては、その場にいない相手の家族や、相手が属するコミュニティのメンバーなどに向けて使われています。

「よろしくお伝えください」の例文は?

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続いて「よろしくお伝えください」の例文を通じて使い方を把握していきましょう。

・本日はご足労いただき、誠にありがとうございました。御社の皆様にもよろしくお伝えください

・以前、◯◯様には大変お世話になりました。くれぐれもよろしくお伝えください

・本日は遅くまで失礼いたしました。お母様にもよろしくお伝えください

「よろしくお伝えください」の使い方の注意点は?

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「よろしくお伝えください」は、社交上の儀礼的な言葉として受け取られることもあります。「Aさんによろしくお伝えください」と言ったとき、相手が律儀にAさんに伝えてくれるとは限らないことも想定しておきましょう。

不在の相手に対して確実に挨拶や伝言を届けたいのであれば、もう少し具体的な表現を使ったほうがいいかもしれません。

「よろしくお伝えください」と言われたどう返す?実際にどう伝える?

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例えば、取引先に訪問して別れ際に「〇〇部長によろしくお伝えください」と言われたら、どのように返事して、帰社後、部長にどう伝えたらいいのでしょうか。

順を追って解説していきます。

【「よろしくお伝えください」と言われた時の返答例】

・承知いたしました。〇〇に申し伝えます。

・かしこまりました。〇〇に確かに伝えます。

その後、実際に本人に伝えるときには以下のような言い方があります。

【「よろしくお伝えください」と言われたことを本人に伝える場合】

・B社の△△さんが、よろしくとのことでした。/よろしくとおっしゃっていました。

・△△さんが、〇〇部長のことを気にかけていらっしゃいました。

単に文字通り「よろしくって言っていました」と言えばいいというのではなく、先方からの気持ちを届ける仲介役を担っているとの意識を持って伝えます。

前後の会話の内容を踏まえて「△△さんが会いたがっていらっしゃいました」「『次回はぜひ一緒に』とおっしゃっていました」いうふうに、相手の意図をくんだうえで、状況に応じて適宜言い換えをしても良いでしょう。

「よろしくお伝えください」を言い換えると?

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続いて「よろしくお伝えください」の言い換え表現をご紹介します。

(1)「どうぞよしなにお伝えください」

“よしなに”は、“よろしく”と同義語ですが、少々古風な印象を与える言葉です。打ち合わせ後のメールの文末や、目上の相手への別れ際のあいさつの中で使うことができます。

【例文】

・本日お会いできませんでしたが、部長にもどうぞよしなにお伝えくださいませ

(2)「~様にも今度はぜひお目にかかりたいです」

その場にいない相手に直接的な表現で好意を示すことができる表現です。「よろしくお伝えください」よりも先方の耳に伝わりやすいかもしれませんね。

【例文】

・本日はありがとうございました。〇〇様にも今度はぜひお目にかかりたいです

 

今回は国語講師の吉田裕子さんに「よろしくお伝えください」の使い方について解説して頂きました。

しばらく会っていない相手との関係を保つため、そして人と人との縁をつなぐためにも使い方を覚えておきましょう。


 

【取材協力・監修】

吉田裕子

国語講師。塾やカルチャースクールなどで教える。NHK Eテレ「ニューベンゼミ」に国語の専門家として出演するなど、日本語・言葉遣いに関わる仕事多数。著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)は10万部を突破。他に『正しい日本語の使い方』『大人の文章術』(枻出版社)、『英語にできない日本の美しい言葉』(青春出版社)など。東京大学教養学部卒。

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