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長芋のネバネバに隠された栄養とは?上手な保存方法や手のカユカユ回避の方法も【管理栄養士監修】

生でシャキシャキ、おろしてトロトロ、焼いてホクホクといろいろな味わいが楽しめる長芋。ネバネバの食品には健康によい成分が含まれているといいますが、具体的にはどういう効果があるのでしょう。
また、気になるカロリーや糖質量、調理のときに手がかゆくなる問題への対処法など、これを読むと長芋がもっと食べたくなる基本情報を、管理栄養士の中村りえさんにじっくり解説してもらいました!

長芋に含まれる栄養素

便秘予防におすすめの食物繊維

長芋は、お腹の調子を整える食物繊維を含んでいます。食物繊維は糖の吸収を穏やかにしたり、不要なコレステロールを排出したりする役割があり、第6の栄養素とも呼ばれます。便秘になりやすい方、減量したい方にもおすすめの食材です。

消化を助けるジアスターゼを含む

同じ芋類であるじゃがいもやさつまいもなどは加熱する必要がありますが、長芋はジアスターゼという消化酵素を含んでいるため生で食べることができます。消化も良いので、胃腸が弱っているときにもおすすめです。

山芋と長芋の違い

同じようにネバネバの芋の仲間ですが、山芋と長芋の違いを知っていますか?

実は、山芋という品種の芋はありません。大和芋、自然薯、いちょう芋などヤマイモ科ヤマノイモ属ヤマノイモに分類される芋類がまとめて「山芋」としてスーパーなどで販売されています。長芋はヤマイモ科ヤマノイモ属ナガイモという分類です。

左:長芋、右:大和芋

食感、味わいも少し異なり、山芋は粘り気が強く甘みが強いのが特長。一方、長芋は粘り気が少なく、癖のないさっぱりした味わいでいろいろな料理に使えます。

100gあたりのエネルギーを比較してみましょう。

  • 長芋 65kcal
  • 大和芋 123kcal
  • 自然薯 121kcal

長芋は山芋と呼ばれる品種と比較してエネルギーが低めです。料理や好みに合わせて使い分けるとよいでしょう。

ダイエット中の人にもおすすめの理由

食物繊維を含んでいてお腹にたまりやすい長芋はダイエット中にもぜひ活用したい食材です。ただ、ダイエット中はエネルギーが気になりますよね。100gあたりのエネルギーをほかの芋類と比較してみましょう。

  • 長芋 65kcal
  • さつまいも 140kcal
  • じゃがいも 70kcal

さつまいもやじゃがいもと比較すると長芋はエネルギーが低いことがわかります。

また、100gあたりの糖質量で比べると、さつまいも33.1gに対して長芋は12.9gと、半分以下の量です。

長芋をおいしく保存する秘訣

常温?野菜室?保存方法と保存期間

切られていない丸ごとの長芋は、涼しい季節であれば新聞紙に包んで風通しのよい場所で常温保存ができます。暑い季節は野菜室へ入れてください。おがくずがついている場合は、乾燥を防ぐ働きをしているので使う直前まで落とさないで保存します。

カットされた長芋は切り口から傷みやすくなります。切り口をキッチンペーパーで包んでからラップをして野菜室で保存すると傷みを防ぐことができます。ただし、2-3日で変色してしまうので早めに使い切ってください。

スーパーなどでカットされた長芋を購入するときは真空パックになっているものを選ぶとより長持ちします。いったん開封したら残りは上記の方法で保存してください。

使い切れない長芋は冷凍保存がおすすめ

長芋は冷凍保存をすると1カ月ほど保存できます。

輪切り、千切り、乱切りなど使いたい料理に合わせて切ってから冷凍をするとすぐに使えて便利です。調理するときは自然解凍、凍ったままの調理のいずれも可能です。

すりおろした長芋も冷凍ができるので、まとめてすりおろしたものを小分けにして密閉袋にいれておくと使いやすいですよ。

長芋のおいしい食べ方とした処理方法

皮はむかなくてもOK!

長芋は芋類のなかでもアクが少なく、皮をむかなくても食べることができます。輪切りにして焼くなどの料理では皮つきのままで、口当たりをよくしたいときや見た目をきれいにしたいときは皮をむいてと使い分けてください。

皮のヒゲが気になるときは火であぶったり、タワシでこすったりすると簡単に落とすことができます。

手がかゆくなる原因は?

長芋をすりおろしたり、切ったりしたときに手がかゆくなったことはありませんか? これは皮の近くに含まれるシュウ酸カルシウムが原因です。シュウ酸カルシウムは針状の形をしているため、肌に付着するとかゆみや赤みといった刺激を感じます。かゆみを和らげる対策方法を2つご紹介します。

1.酢水で洗う

シュウ酸カルシウムはアルカリ性の物質なので、酸性であるお酢を使うと中和することができます。調理する前に手を酢水につけて予防するのもよいでしょう。

2.お湯で洗う

シュウ酸カルシウムは熱に弱いという特徴があるので、お湯で手を洗うのもおすすめ。ぬめりも落ちやすくなります。
いずれの方法も個人差があるので、自分に合った方法を探してみてくださいね。

撮影/田中麻以(小学館)

【参考】

・文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
・厚生労働省「e-ヘルスネット」食物繊維の必要性と健康
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」食物繊維
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-016.html
・農林水産省「政策情報」今月の園芸特産作物:12月 山芋(ながいも・加賀丸いも等)
https://www.maff.go.jp/hokuriku/seisan/engei/tokusan201912.html
・「新・野菜の便利帳」板木利隆監修 高橋書店

(最終参照日 すべて2021/01/06)

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