ズボラさんこそ「冷凍豆腐」!
null冷凍室を活用した肉や魚の下味冷凍が大人気ですが、「冷凍豆腐」はその上をいく簡単&手軽さ。なんと、市販の豆腐を冷凍室で凍らせるだけ。解凍すれば、いつもの料理に肉や魚のように使えるのだとか。
「パックごとはもちろん、たとえば1/2丁余ったら、ラップして保存袋などに入れて冷凍室に入れるだけです。冷凍する前にさいの目にカットするひと手間を加えれば、そのままお味噌汁やスープにも使えます。私も冷凍室に常備していますよ」(以下「」内、島本美由紀さん)
凍らせて作るという点では高野豆腐と似ていますが、干して保存食にする高野豆腐とは違い、水で戻す必要がありません。また、やわらかさやジューシーさは冷凍豆腐に軍配アリ。
「高野豆腐は弾力が強く、ちぎったりそぼろ風にしたりしづらく、肉と合わせたときに仲良くなりづらいんです。その点、冷凍豆腐は肉に近い食感になり、風味のクセも少なく、大人も子どもも食べやすいのも特徴です」
「冷凍豆腐」の3大魅力
その魅力は作り方が簡単なことに加え、大きく3つ。
- 魅力1 食費の「節約」になる
安い日にまとめ買いして、冷凍室に入れるだけ。もしくは、使いかけをラップして冷凍しておくだけでもOK。足のはやい豆腐のフードロス削減にもなります。「リーズナブルな豆腐が、肉や魚と同じように料理できます。また、カサ増しにもなり、おかずのボリュームアップにも」
- 魅力2 「ヘルシー」な日本ならではの大豆ミート
大豆製品なので、タンパク質豊富。なおかつ、油分も含まないためヘルシーです。「いま大豆ミートが人気ですが、冷凍豆腐はまさに日本ならではの大豆ミート。豆腐をそのまま食べるより冷凍することで噛みごたえも増すので、満足感も高まります」
- 魅力3 凍らせることで「おいしい」
「肉や魚の代わりに使っても、気がつかない人も多いほど。何よりおいしい!」。凍らせることで味がよくしみて、ふっくらジューシーに。また、肉の代わりに使えば、「肉の脂のこってり感がなくさっぱりしているけれど、食感もあって満足度のいく」味わいになるそうです。
冷凍豆腐の作り方と使い方
null作り方
<使う豆腐>
絹でも木綿でも、どちらでもOK。「向いているのは、水が一緒に入った安価な豆腐。専門店の高価な豆腐や、なめらかさが自慢の充填タイプや寄せ豆腐はそのまま食べるほうがおすすめです」
凍らせたときの違いは……?
- 絹・・・よりなめらかな舌触りになり、握って成形しやすくなる。
- 木綿・・・食感が豊かになり、噛みごたえが出る。
<凍らせ方>
丸ごと冷凍(冷凍時間24〜48時間)
未開封のまま冷凍室へ。熱伝導の良い金属トレーに置くとより短時間で凍りますが、金属トレーはなくてもOK。「時間に余裕があれば2日間放っておきましょう」
8等分冷凍(冷凍時間12〜24時間)
水気を切り、包丁で8等分したら2個ずつラップで包んでから保存袋へ。「少量ずつ使えて便利です」
さいの目冷凍(冷凍時間12時間)
包丁で2〜3cm角に切ったら、金属バットにラップをしいて間隔をあけて並べ、上からラップをして冷凍室へ。凍ったら保存袋に入れます。
<ルール>
- かならず消費・賞味期限内の豆腐を冷凍しましょう。
「旅行に出る前など、長期間家をあけるときに豆腐が余っていたら、冷凍するのも手!」 - 冷凍したものは、丸ごとなら3カ月以内、切ったものは1カ月以内に使い切ります。
- 解凍は、冷蔵室か水につけて。
「解凍したら冷蔵室に保管して、2日以内に使い切ってください」 - 冷凍豆腐で作った料理は3日以内、しっかり味付けした作り置きも5日以内に食べ切ります。
「作り置きを小分けして食べる場合は、乾いた清潔なスプーンなどで取り分けてください」
使い方
解凍したら水気を軽く絞ります。「調理過程でも水分は飛ぶので、絞るのは多少水気が残ってもOKです」
そのあとは、かたまりで使いたい場合は、切ったりちぎったりして料理に加えるだけ。また、ボウルなどで細かくほぐせば、ひき肉のようにも使えます。
「調味料も、肉や魚と同じ感覚で使えば大丈夫」
たとえば絹の冷凍豆腐なら、シンプルに塩とオリーブ油でソテーするだけでもばっちり。冷奴とはまた違う、なめらかさと食べごたえが生まれるとか。
冷凍豆腐のおすすめレシピ
null島本さんのレシピ本には、和洋中からエスニック、お弁当のおかずにもおもてなし料理にもなるさまざまなメニューがあり、そのバリエーションに驚きます。今回は冷凍豆腐ビギナーにおすすめの、簡単でアレンジがきく作り置きレシピを教えていただきました。
「和風鶏そぼろ風」と「ミートソース風」の作り方
「唐揚げがイチオシですが、揚げ物をしない人にもおすすめなのは、シンプルな調味料で作れる鶏そぼろ風とミートソース風です。冷蔵庫で5日間くらい保存でき、お弁当に入れたり、食べたいときに食べたいぶんだけちょこっとアレンジも楽しめますよ」
作り方はシンプル。水気を切った冷凍豆腐をしっかりほぐし、味をしみ込ませると、まるでひき肉料理のような食感と味わいに。「ひき肉で作るよりも、さっぱりとしておなかにもたれません。冷蔵室での保存時の脂浮きもありません」
【1人分約29円「和風鶏そぼろ風」】
「野菜を切る手間がかからないので、解凍した冷凍豆腐が余ったときに作るのもおすすめです。個人的には絹豆腐で作るのが、しっとりしておすすめです」
材料(作りやすい分量2人分)
- 解凍した冷凍豆腐(丸ごと)・・・1丁
- サラダ油・・・大さじ1
<A>
- 醤油、砂糖、酒・・・各小さじ2
- おろししょうが・・・1/3片分
作り方
- 冷凍豆腐は水気を絞って細かくほぐす。
- フライパンにサラダ油を入れ中火で熱し、1を入れ炒める。
- 水分が飛んだらAを加え炒め合わせる。
【1人分約71円「ミートソース風」】
「水分が飛んだ後の豆腐は、トマトや野菜の旨みを吸っています。お好みでハーブやスパイスを加えても。そぼろと同じく、絹豆腐で作るとしっとり。木綿だとしっかり噛みごたえが出ます」
材料(作りやすい分量4人分)
- 解凍した冷凍豆腐(丸ごと)・・・1丁
- 玉ねぎ・・・1/2個
- にんじん・・・1/3本(50g)
- にんにく・・・1片
- オリーブ油・・・大さじ1
<A>
- トマト缶(カット)・・・1缶(400g)
- ケチャップ・・・大さじ3
- コンソメスープの素(顆粒)・・・小さじ1
- 塩・・・小さじ1/2
作り方
- 玉ねぎ、にんじん、にんにくはみじん切りにする。
- 冷凍豆腐は水気を絞って細かくほぐす。
- 鍋にオリーブ油と1を入れ弱火で炒め、玉ねぎが透き通ってきたら2を加えて軽く炒める。
- Aを入れ、沸騰したら弱めの中火にして途中かき混ぜながら20分ほど煮る。
水切りいらずで手間いらず。まずは食べてみて!
null節約と聞くと、ともすると切ない料理……?と思いきや、そんなことは全くナシ。むしろヘルシーでおいしく、しかも扱いやすいなど、メリットがたくさんある=冷凍豆腐のようです。
「上手に節約したいけれど、何からすればよい?と思っている人は、まず豆腐を冷凍して、そぼろなど簡単なものから作ってみてください。まるで肉のような食感に驚いていただけるはずです。
イチオシの唐揚げも、普段鶏もも肉がよいけれど節約を考えて鶏むね肉を選んでいるという方は、冷凍豆腐で試していただきたいですね。しっとりジューシーで、硬くならないのも魅力ですよ。
あとは豆腐ハンバーグも冷凍豆腐で作るのが圧倒的におすすめ。豆腐の水切りは、時間もかかりコツがいりますが、冷凍豆腐は解凍してギュッと絞るだけ。時短になり、噛みごたえも生まれるので肉肉しさもバッチリです!」
島本さんから続々とあふれ出る冷凍豆腐の魅力。まずは試してみてください!
撮影/キッチンミノル
【取材協力】
料理研究家・ラク家事アドバイザー
島本美由紀さん
旅先で得たさまざまな感覚を料理や家事のアイデアに活かし、身近な食材で誰もが手軽においしく作れる料理レシピを考案。冷蔵庫収納や食品保存のスペシャリストとしても活動し、テレビ『あさイチ』(NHK)や『中居正広のキャスターな会』(テレビ朝日)などに出演。雑誌へのレシピ提供も多く、著書は80冊以上と多数。公式YouTube「島本美由紀のラク家事CH」では家事がラクになるアイディアを発信している。
朝ランが日課の編集者・ライター、女児の母。目標は「走れるおばあちゃん」。料理・暮らし・アウトドアなどの企画を編集・執筆しています。インスタグラム→@yuknote