お金と時間は同時に節約できる!
null21歳のころから節約生活を続ける丸山さん。「疲れる気持ちはよくわかります。以前の私もそうでした」(以下「」内、丸山晴美さん)。
丸山さんは、中学生のお子さんを育てるシングルマザーであり、学生でもあります。だからお金はもちろん時間も上手に節約し、日々にゆとりを産む「時産(じさん)」を大切にしているそうです。
「工夫次第で、手間ひまをかけなくても節約はできます! しかも同時に時間も節約できるので、生まれた時間はご自分のために使いましょう」
食費節約の基本は「お米+旬の食材で自炊」
null丸山さんが実践する食費節約術はシンプルです。お米+旬の食材で自炊をし、ファストフードを子どもが食べたがったらアプリやクーポンを活用します。
「さまざまな食材が値上がりしていますが、お米は大きく値上がりしてはいません。また、旬の食材は、お得なうえに栄養価も高くておいしい。昔ながらの食生活が、実は節約にもつながるんです」
また、日々の買いものは予算を決め、優先順位の高い必要な食材から購入。
「たとえ半額でも買う予定のないものは買いません。嗜好品は値上がりも激しいうえに、余計な脂肪のもと(笑)! まずは体を作るために、本当に必要な食材から買いましょう」
食費の優先順位のつけ方
1:メインディッシュに使う食材
旬の野菜+お肉(鶏むね肉、豚こま、ひき肉などその時に安いもの)。
2:サブの一品に使う食材
豆腐などの大豆製品、乳製品、卵、果物など、栄養バランスを考えてプラス。
3:嗜好品
お菓子、菓子パン、ジュース、お酒は予算があまったら必要な分だけ買う。
毎日の自炊をラクにする5つの節約テクニック
null1:ネットスーパーでまとめ買いし、買いものをレジャーにしない
買いものに行く時間は、案外、負担になるものです。丸山さんは税込み5,500円購入すれば配送料無料になる「Rakuten SEIYU」のネットスーパーを、3日に一度活用しているそうです。
「ネットスーパーは使いやすいところでOKですが、かならず配送料が無料になる購入額をチェックしましょう。重いものやかさばるものを買うにも便利ですし、家にいながらにして配送してくれるので時産になります」
また、「買いものをレジャーにしないで!」とも。
「お金がないからレジャーへは行けないけれど、せっかくの休日だからスーパーや複合施設にでも行こう……これはやめましょう! “おいしそう”と本来なら不要なものを買ったり、複合施設の場合はゲームセンターやフードコートでお金を使いすぎたり。結局、いつまでも本当のレジャーへ行けませんよ」
2:冷凍室をフル活用する
まとめ買いの味方が冷凍室。丸山さんは、食材やおかずをストックしておく“冷凍貯金”と、お肉に下味をつけて冷凍する“下味冷凍”を実践。冷凍貯金により、1カ月で9,570円、年間で約11万円も節約し、仕事や学業で忙しい日も自炊を貫いています。
「家族には栄養バランスのとれた食事を毎回作るのはプレッシャーですし、だんだん疲れてきますよね。そんなときに冷凍貯金や下味冷凍をしておくと、心が穏やかになります。ちなみに冷蔵室は7割程度、冷凍室は食材がある程度詰まっているほうが消費電力のカットにもつながります」
【冷凍貯金】お米はまとめ炊きで手間も光熱費もカット
まとめ炊きしたお米は、おいしく冷凍できるパックで一食分ずつストック。
「炊飯器の保温機能は電気代がかかるので、私はお鍋でまとめ炊きしてガス代も手間も節約しています。わが家では『Ziplock』のごはん用コンテナーを愛用しているのですが、ふっくらおいしく解凍できますよ」
【冷凍貯金】野菜は冷凍してフードロスも削減
小ネギ、小松菜など冷凍できる野菜は洗ってカットし、ジッパー付き冷凍用保存袋に入れて冷凍室へ。
「オクラ、揚げなす、ブロッコリー、インゲンなど市販の冷凍野菜も、業務スーパーでお得に購入して活用しています」
また、冷凍貯金を活用することで、なんと年間70トンものフードロス削減につながる可能性があると続けます。
「野菜高騰のいまだからこそ、フードロスは少しでも減らしたいですね」
【下味冷凍】鶏むね肉がぐっとおいしくなる!
まとめ買いのほうがお得なお肉はもちろん、足がはやいお魚も下味冷凍。おいしくなるうえに食事の準備もラクになり、一石二鳥です。
「節約の王道ともいえる鶏むね肉や豚こま肉は、大量買いしたら小分けして冷凍貯金にするか下味をつけて下味冷凍します。とくに、そのまま冷凍するとパサつきがちな鶏むね肉は、下味冷凍をしたほうがお肉に味もしみてふっくら柔らかくなります。
簡単なのは、焼肉のタレや照り焼きのタレなどの市販のタレを入れたり、料理酒と塩を少し入れたりする方法。料理酒をかけるだけでもふっくらしますよ。ほかに、生姜焼きや唐揚げの下味もおすすめです」
3:インスタントスープや「手軽に本格的な料理ができる調味料」を活用
お味噌汁やスープが好きなお子さんは多いですよね。ただ、毎回作るのは手間です。
「1〜2人分をわざわざ小鍋で作るなら、お味噌汁は一杯ずつ作れるインスタントや顆粒みそを活用するのも手。わが家では、そこに乾燥ワカメ、冷凍貯金の小ネギをプラスしています。お椀しか使わないので、洗い物も減ります」
自炊を貫きつつも、時には本格的なメニューも楽しみたい(しかも気軽に!)。そんな日には、『KALDI』や業務スーパーなどで手に入る、混ぜるだけやかけるだけで簡単に本格的な料理が出来上がる調味料を活用。
「『KALDI』の“ガパオライスの素”や“回鍋肉の素”などは、一つ100〜200円程度で、外食よりお得かつ本格的。また、業務スーパーのパスタソースも、リーズナブルだけれど本場の味わいですよ」
4:ふるさと納税やアプリで食材をゲット
ふるさと納税は、食費を節約しつつ、おいしく節税にもなるので「やらない手はありません!」。
「選ぶのは、お米、野菜、お肉です。お米は雪深い地域のものがやはりおいしいですが、お得なのは茨城県境町のお米。野菜は、お好きな地方のものを選べばOK。その中でも“訳あり”や“規格外”とついたものなら、もっとお得です。味に変わりはないので、おうちで召し上がるならアリですよね。お肉はおいしさと量を兼ねるなら、国産牛の味付けなどがされていない切り落とし肉が狙い目です」
また、お得に食材を買えるアプリにも、さまざまなものがあるそうです。
「私も活用しているのは、複数人で共同購入することでお得に買える『KAUCHE(カウシェ)』。訳あり品のレスキューにも貢献できる『Kuradashi(クラダシ)』や『Let(レット)』。これらではお肉やお魚といった食材と、レトルトカレーなど使いやすいものを選んでいます」
ふるさと納税もアプリも、お菓子やお酒、ジュースといった嗜好品は買わないこと。そして、質や量、1食あたりの価格などをしっかり吟味しましょう。
5:野菜は旬のもの+冷凍野菜+家庭菜園の合わせ技
低価格の王様・もやしまでも値上がりしていますが、野菜を食べないわけにはいきません。
「旬の野菜を中心に、冷凍貯金の冷凍野菜、そして家庭菜園もあなどれません。わが家では、昨年の秋に『DAISO』で種を買って植えた小ネギが、この夏に大豊作! 使いきれない分はカットして冷凍保存しました。今は冬場に向けてほうれん草の種も植えています」
小ネギやちょっとした葉野菜ならベランダ菜園でも可能です。「『DAISO』では、2袋100円(税別)で野菜の種が買えますよ」
自分の大事にしたいことは何?メリハリを意識しましょう
null丸山さんは日ごろから水筒を持ち歩き、外でペットボトル飲料を買わないそうです。
「私は以前コンビニ店長もしていたのですが、日々ちょこちょこ使う200円、300円のコンビニ費もばかにならないんですよね。節約はチリツモの見直しから始まります。といっても、ただケチになったり、気持ちまで貧しくなったりしては毎日が楽しくありませんよね。節約するところと使うところはメリハリをつけると、本当に自分が大事にしたいことが見えてきますよ」
生活は続くからこそ、節約が苦痛にならないように楽しんで取り組んでみませんか?
撮影/五十嵐美弥(小学館)
【取材協力】
丸山晴美さん
節約アドバイザー、ファイナンシャルプランナー、「ゆとりうむプロジェクト」理事。1974年、新潟県生まれ。東京でフリーターをしていた21歳のときに「家を買おう」と思い立ち、会社員となり、頭金を貯め始める。5年後、コンビニエンスストアで店長をしていた26歳のときにマンションを購入。少ない収入で一人暮らしをしながら貯蓄してきた経験をいかし、2001年に節約アドバイザーになる。同年、ファイナンシャルプランナー(AFP)に合格。その後もお金にまつわる心理を学ぶために認定心理士の資格を取るなど、日々お金周りの勉強を欠かさない。プライベートでは、2016年からシングルマザーに。近著に『知識ゼロでもまるっとわかるお金の基本』(宝島社)、『節約家計ノート2024』(東京新聞出版)など、著書多数。
朝ランが日課の編集者・ライター、女児の母。目標は「走れるおばあちゃん」。料理・暮らし・アウトドアなどの企画を編集・執筆しています。インスタグラム→@yuknote