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「好きや個性をぐーんと伸ばす」子育てをもっと楽しむ佐藤家のアイディア【5才~小学生編】

4才と12才の息子さんの成長とともに生まれた「なるほど!」な子育てアイディアを、Twitterなどで発信する佐藤ねじさん・蕗さんご夫婦。この8月には『子育てブレスト』として、一冊の本にまとめるまでに。そのモットーは「こうあるべき」という前提に縛られすぎないこと。無理なくサスティナブルであること。そして、大人も子どもも楽しいことです。今回は、5才〜小学生の子育てをもっと楽しく、何気ない毎日に思い出を増やすアイディアを紹介していただきました。

5才からは「ゼロをプラスにする」ステージへ!

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「0〜4才まではどちらかといえば困りごとが多く、『子育てブレスト』でいかに親の負荷を減らすか。そして、マイナスな状態をゼロ、もしくは+1にするかがテーマでした。でも5才からは、ゼロの状態をプラスにしていく時期に入ります」(ねじさん)

5〜6才になると、ひらがなや数字もわかるようになり、ちょっと複雑なルールやゲームもできるように。そのため、子育てに“新たな視点”を持ち込んで、もっと楽しむ『子育てブレスト』がますます楽しくなるそう。

「既存の遊びに変なルールを加えてアレンジしてみると、新鮮に楽しめます」(ねじさん)

佐藤家のアイディア「移動中は、街にあるちょっと珍しい文字探しゲーム」

文字や数字を読む練習にもなります。

外出先や旅行中など、移動中に子どもが飽きてしまうことがあります。そんな、一見つまらない行為を楽しくするのは『子育てブレスト』の得意ジャンルなのだとか。

「街にある看板やポスターなどから、特定の文字を早く見つけたほうが勝ちというゲームがあります。おすすめは“ぬ”探し。文字の中でも『ぬ』は街中で目にすることが少ないので、ゲームとしてもなかなかおもしろいですよ」(ねじさん)

記者もある日のお出かけで、5才の娘に実践してみたところ、確かに「ぬ」はなかなか見つかりません。だからいち早く見つけると、子どもも大人も大喜び! さらに娘から「じゃあ、次は“に”を見つけよう」「次は“お花”の看板を見つけよう」などと新たなルールが追加され、ゲームはどんどん盛り上がりました。

ポイントは、ちょっと珍しいけど、探せばあるものに設定することです」(ねじさん)

日々の「小さな頑張り」を、よい思い出に変える

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小学校入学は、親にとっても子どもにとっても大きな節目です。

通学、宿題、テスト、お留守番など。小学校に入学すると、日々の“小さな頑張り”が、ぐんと増えます。そばで見守る大人も、ハラハラしたりドキドキしたり……。一所懸命な子どもたちの頑張りに「よくできたね」「頑張ったね」と言葉をかけるのも素敵ですが、ここでひと工夫するのが蕗さんです。

佐藤家のアイディア「何気ない毎日の頑張りをくす玉でお祝いして特別に」

くす玉の作り方は蕗さんの著書『ふきさんのアイデアおもちゃ大百科』(偕成社刊)にも載っています。

「長男が小学校1年生になり、一人で歩いて帰ってくるようになりました。それまで保育園に通っていた息子にとって、自分一人での帰宅は初めての体験です。私も家で待っている間、無事に帰ってくるか不安でドキドキして……。息子の小さな“初めて”を頑張ったお祝いをしたい。そして、自分自身の不安もよい思い出として残したいと思いました」(蕗さん)

そして生まれたのが「おかえりのくす玉」というアイディアです。蕗さんは、くす玉を手作り。作るのが大変なら市販品でもOKです。帰宅した息子さんが紐を引っ張ると、いろいろな飾りとともに「おかえり」という垂れ幕が登場!

普通の日だけど、何か子どもが頑張ったことがある日に、帯を別の言葉に変えてお祝いしてみると、ちょっと特別な思い出になりますよ」(蕗さん)

大人と子どもが対等に楽しめる、活きるアイディア

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こちらはポチ袋の新しい形を考えて生まれた「お年玉契約書」。お年玉をきっかけに、今年の目標を立てる習慣をつけてもらいます。

佐藤家では、育児にあえて仕事っぽいモチーフを取り入れることもよくやるそうです。また、小学校3年生くらいになると、子どもを大人扱い。大人と同じ用語で説明したり、本物を体験させることも大事に。

「本番体験を先にさせると、そのジャンルに興味を持ちやすくなるかもしれません」(ねじさん)

佐藤家のアイディア「家庭内セミナーで、生きるために必要な知識を伝える」

「小1起業家」で行ったセミナーの様子。ホワイトボードを使うなど、大人顔負けです。

「『子育てブレスト』では“小1企業家”というアイディアを掲載しているのですが、わが家では子どもに向けてセミナーを開催します」と、ねじさん。それは勉強を教えるのではなく、生きていくために必要な知識や、子どもの興味関心があるジャンルを大人に向けて開くセミナーのように教えるというもの

子どもは、親から教わるという非日常にワクワク。大人は「こうしてほしい」を叱ったり注意したりするのではなく、セミナーという体で伝えられる。お互いに楽しめるアイディアです。

教える内容は、親が得意な内容です。佐藤家の場合、料理は蕗さんが担当。

「パンとトンカツと千切りキャベツを買ってカツサンドをつくるっていうふうに。大人になって、一人でも食べてゆける術を教えています。別に、お料理好きになってほしいわけではないので、みじん切りならみじん切りチョッパーを使うし、煮込みにはホットクックも使います。包丁の使い方は、家庭科で教わればよいと思っています」(蕗さん)

子どもが興味を持っていることを応援できるのもよさ。

一方でねじさんは、自身が得意とするパソコン周りのセミナーを、よく開催するそう。時間管理にGoogleカレンダーを活用する方法、パソコンアプリの整理整頓など、大人も教わりたいような内容です。

セミナーは、自宅ではない場所で行うと、緊張感が保てておすすめ。僕は休みの日に、自分の職場で開催したりもします。会議室を借りてみたり、コワーキングスペースをドロップインで利用してみてもよいかもしれませんね。わが家では、セミナーが終わると修了証を渡しています」(ねじさん)

困りごとも“新しい視点”で眺めてみればプラスになる

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「そうそう、思い出した」と蕗さん。小学校でお弁当を作らなければならなかった日、大変だから、どんなふうに大変じゃないお弁当を作るか?という『子育てブレスト』が、ねじさんと蕗さんの間で開催されたそうです。

「『コンビニで買ってくるのは?』と(ねじさんから)言われて。私には、その選択肢がなかったので驚いたけれど、自分がやりたいから手作りしているのか? 手作りじゃなきゃって思い込んでいないか? 手作りがいいっていう思い込み自体がどうなんだろうって、改めて考えるきっかけになりました」(蕗さん)

「コンビニのおかずをメインにするなら、食育ではないけれど、子どもに選んでもらうとか、お金を渡して自分で買ってみるとか。栄養ではマイナス10点でも、経済学ならプラス10点で、プラマイゼロです!」(ねじさん)

「大変!」「困った!」と思っていた物事も、視点を変えればプラスになり、さらには子どもが興味関心を抱くきっかけになるかもしれない。家族みんなで楽しんでゆく佐藤家のアイディアを取り入れて、続く毎日に、笑顔や思い出を増やしませんか?


 

【取材協力】
佐藤ねじさん
プランナー/クリエイティブディレクター。面白法人カヤックを独立後、2016年『ブルーパドル』を設立。WEB・アプリ・商品やお店などの企画とデザインを行う。

佐藤 蕗さん
手作りおもちゃ作家。建築設計事務所勤務を経て、第一子の出産を機にフリーランスに。著書に『ひらめいた!遊びのレシピ ふきさんのアイデアおもちゃ大百科』(偕成社)など。

『子育てブレスト その手があったか!67のなるほど育児アイデア集』
2023年8月2日発売/小学館刊/1,650円(税込)

SNSで話題! 育児の悩みの“意外な解決策”。クリエイティブディレクターの佐藤ねじ、手づくりおもちゃ作家の佐藤蕗夫妻が実践してきた子育てアイデア集。

https://www.shogakukan.co.jp/books/09389123

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ニイミユカ
ニイミユカ

兵庫県出身、浅草在住。一児の母。主に食や体のことなど、生活にまつわる地に足のついた企画を、雑誌や書籍、WEBメディアなどで編集・執筆する

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