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インターネットを使う子どもを守ろう!親が知っておきたいことを情報セキュリティの専門家に聞きました

夏休み真っ只中の子どもたち。スマートフォン(以下スマホ)やタブレット、パソコンなどに触れる時間が長くなるので心配というママパパも多いのではないでしょうか。

漠然とした不安がありつつも「具体的にどんな対策をするべきかわからない」という人に向けて、情報セキュリティの専門家に「親が学ぶべきこと」「気を付けておくべきこと」などについて教えていただきました。後半は、より管理が難しくなるパソコンの場合や、子どもがインターネットに触れる際の親の責任とは?などについてです。

パソコンではウイルスや詐欺サイトに注意が必要

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―前回は主にスマホを使用する際の注意点などについて伺いました。パソコンの場合はどうでしょう。

扇さん「パソコンを使用してゲームをする子どもも多いと思いますが、ゲーム関連のサイトはちょっと危険なことが多いんです。アイテムなどをダウンロードする際にウイルスが紛れ込んでいたり、フィッシングサイトを踏んでしまったりという被害が発生しています。まずはパソコンにウイルス対策ソフトを。

また、子どもには突然見慣れないポップアップ画面などが表示された場合はとにかく触らないということを徹底してもらいたいですね。『キャンセル』と書かれたボタンを押しても動き出すプログラムなどもあるので、基本的にはただウィンドウをクローズすればOKです(スマホならアプリを再起動します)。

また、アダルトサイトなど有害なサイトでは、詐欺被害に通じる画面が出ることが多いです。

好奇心でそういうサイトを見に行ってしまうこともあるかもしれませんが、特に登録などしていないのに“ご登録ありがとうございました。支払はXX日以内に……”などのメッセージが出てきた場合は、その画面に出てきた文言を検索してみます。詐欺サイトであれば同様の報告や対処方法がすぐに見つかります。

普段から、“怪しいページが出てきたら何も押さずに検索!”と伝えておきましょう」(以下「」内、扇さん)

―慌ててしまいそうですが、おや?と思ったらまず調べるというのは大切なことですね。

親子で話し合える関係作りを

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「ここまで具体的な対策について考えてきましたが、実は一番大切なことは、何か問題が起きたときに子どもがきちんと親に相談できるということなんです。

“何かあったらすぐに報告してね”と普段から伝えてあれば、先ほどのような詐欺サイトに子どもが触れてしまったときなど、すぐに親に報告して、被害を最小限にすることができます。

子どもが一人で悩んでしまわないよう、普段からコミュニケーションを。

SNSでの友達同士での仲間外れやいじめなども同様です。初期に相談できれば状況が悪化する前に手を打つことができます。

そのためには、普段から親が子どものインターネットの使用状況などに関心を持ち、様子を把握しておくこと。インターネットの使い方などについて話し合い、親子で共通の認識を持っておくことが必要です

―中学生くらいになると、親にすぐに相談してくれるということは減ってしまうかもしれませんが、いざという時はいつでも助けになるよ、というメッセージは常に伝えておきたいですね。

「いじめなど、親に相談しにくい場合もあると思います。『こどもの人権110番』などの相談窓口があることも、子どもに伝えておけると良いですね」

「持たせて終わり」ではない!親も学ぼう

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―“子どもたちのほうがスキルやリテラシーが高いので、放っておいている、何も対策はしていない”という親が案外いますが、そうはいってもやはり子ども。

知識が偏っていたり、危険性をきちんと認識していないことも多くあると思います。親はどんなことに気をつけるべきでしょうか。

子どもにスマホを持たせることと親の責任は必ずセットです。親もきちんとそのリスクなどを把握し、子ども任せにしないことです。それが、子ども、ひいては家族を守ることにつながります。

スマホ、インターネットの安全な使い方については、公的機関や各携帯電話キャリアなどからもさまざまな情報提供がされています。以下に代表的なものを挙げます。

子ども向け、中高生向け、親向けなど幅広いケーススタディが揃ったサイト。

■政府広報オンライン:ネットの危険からこどもを守るために保護者が知っておきたいこと

■ソフトバンク:お子さまのスマホデビューサポートガイド

■NTT docomo:子どもにスマートフォンを持たせる前に保護者が知っておきたいこと

こうして得た知識を子どもにもシェアし、話し合いましょう。

子どもがインターネットにつながるということは、もちろん悪いことばかりではありません。子どもの世界が変わるタイミングであり、チャンスでもあります。

親も知識をつけて、子どもをサポートしていってほしいと思います」

―スマホを持った子どもがしていることは、持たせた親の責任の内だというのが改めて胸にずっしりきました。

 

親が“当然こんなことは知っているだろう”と思っていたことが案外全然分かっていなかったり、逆に“なんでそんなこと知っているの!?”とびっくりしたり。特に小学生のうちは親もインターネットの便利さ・危険性などをしっかり勉強し、子どもに伝えていく必要があります。

子どもを常に監視するということではなく、彼らがスマホやパソコンでどんなことをしているのか、興味を持って話を聞いたり、問題がありそうなら話し合ったりと、コミュニケーションをしっかり取ることが大切だということを学びました。

“ITは苦手だから”と逃げずに、責任感を持って家族で取り組んでいけたらと思います。


【お話を伺ったのは】扇 健一さん

株式会社日立ソリューションズ セキュリティソリューション本部 セキュリティマーケティング推進部/シニアエバンジェリスト/Security CoE センタ長

セキュリティ関連の研究開発およびインフラ構築業務を経て、セキュリティ全般の拡販業務・ソリューション提案・コンサルティングなどを担当。セキュリティ分野における社会貢献や早稲田大学グローバルエデュケーションセンター非常勤講師としても活動する。

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