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子どもにスマホを持たせるとき、親子で話し合うべきことは?情報セキュリティの専門家に聞きました

夏休み真っ只中の子どもたち。スマートフォン(以下スマホ)やタブレット、パソコンなどに触れる時間が長くなるので心配というママパパも多いのではないでしょうか。

漠然とした不安がありつつも「具体的にどんな対策をするべきかわからない」という人に向けて、情報セキュリティの専門家に「親が学ぶべきこと」「気を付けておくべきこと」などについてお話を伺いました。前半は、子どもに最初にスマホを持たせる際に、親は何をすべきかについてです。

スマホの所有率は小学生で6割、中学生で9割

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お話を伺ったのは、(株)日立ソリューションズの扇健一さん。情報セキュリティの専門家としての業務とともに、全国の小学校で、インターネットを使用する子どもたちに向けての啓蒙活動なども積極的に行っています。

今回は、自分のスマホを所有したり、SNSなどで自分専用のアカウントを作ったりするようになる小学校高学年から中学生くらいの子どもに関わるセキュリティについてのお話を伺います。

専用のスマホを利用している割合は、小学生で64%、中学生で91%というデータもあり(※)、子どもがインターネットを通じてどんどん外の世界とつながりを持つようになる年齢です。親から見えないところで起こるトラブルが急激に増え、親の側もセキュリティに関しての知識が足りないと感じ、不安に思うことが多いという声をよく聞きます。

※内閣府「青少年のインターネット利用環境実態調査

取材に先立って、扇さんが全国の小学校で実施されている「セキュリティ出前授業」に筆者も参加させてもらいました。

―5年生を対象に、「セキュリティってどうして大切なの?」「SNSを使う上で気を付けるべきこと」「情報セキュリティを守るホワイトハッカーってどんな仕事?」「安全なパスワードはどんな風に作ればいい?」などのお話をされていましたね。身近な話題だけに、子どもたちも興味津々の様子でした。

扇さん「セキュリティに関する指導は必要不可欠になっているにもかかわらず、学校の先生方も、専門的な知識が不足していると感じていらっしゃることが多いんです。

私たちは、ほとんどの学校で行われている交通安全教室と同じくらい、専門家が行う“セキュリティ教室”も学校で日常的に行われるようになればと考えています」(以下「」内、扇さん)

学校でのお話の中で出ていた、インターネットを使う上でのチェックリストはこちら。

  • パソコンにセキュリティソフトウェアは入っていますか?
  • スマホやタブレットにパスワード設定していますか?
  • 知らない人からのメッセージに反応していませんか?
  • SNS上で知り合った人にあなたの写真などを送っていませんか?
  • お家の人に内緒で、SNSで知り合った人と会ったりしていませんか?
  • トラブルにあったとき、相談できる身近な人はいますか?

親としても、学校でこういったお話を聞く機会があるというのはすごくありがたいなと感じました。子ども同士でも共通の認識があれば、お互いに「OK/NG」の線引きがしやすくなるのではないでしょうか。

フィルタリングは義務です!

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―スマホを子どもに与えるとき、最初にやっておくべきことは何でしょうか。

「まず最初に、18歳未満の子どもに携帯電話を持たせるときには、有害な情報やトラブルから守るためにフィルタリングサービスに加入し、設定を完了させることが義務付けられています(※)」

青少年が安全に安心してインターネットを利用できる環境の整備等に関する法律

―これが義務だということを知らない方もいるかもしれません。

「携帯キャリア各社で子ども用として契約する際はあらかじめ無料で利用できるようになっていますが、親の名義で契約してそのまま子どもに使わせるといった場合はそうではないので、別途自分で必ずフィルタリングサービスを設定してください。

また、家族で共有しているタブレットなどがあれば同様にフィルタリングを。こちらは忘れがちなので注意が必要です。

Google ファミリーリンク(アプリ)、iPhone同士ならファミリー共有機能など、子どもの使用状況をモニタリングできるサービスもいろいろあります。

大切なのは、“親は子どものスマホの使用状況をチェックできるよ”と子ども本人にもしっかり伝えておくことです。プライバシーの点はもちろん、親にチェックされていると思えば子どもも無茶な使い方はしなくなるでしょう」

親子でスマホ使用についての約束事を決めておく

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いざスマホを購入して持たせる際、どんなことを決めておくかは悩む点です。ここで、扇さんの同僚の方が5年生のお子さんにスマホを与える際、親子で決めたという約束事を紹介してくれました。

  • 知らない人と電話番号やアドレス、LINEを交換しない(友達の友達でもダメ)
  • 歩きながら(自転車も)スマホを使わない
  • 勉強中・ご飯中はスマホを使わない
  • 自分や友達の個人情報を人に送らない(友達にもダメ)
  • パスワードを人に教えない
  • 友達の悪口や嘘は送らない
  • パパやママに見せられない内容はやり取りしない

「最低限守ってほしいこと、この約束を破ったらどうするか、などを“最初に”しっかり話し合って家族で共有することが大切です。

状況や年齢により内容は変化することもありますが、とにかくただスマホをポンと渡すということのないようにしましょう」

 

次回は、パソコンを子どもに使わせる際に注意したい点、子どもにスマホなどを持たせることで問われる親の責任とは?といった点について伺います。


【お話を伺ったのは】扇 健一さん

株式会社日立ソリューションズ セキュリティソリューション本部 セキュリティマーケティング推進部/シニアエバンジェリスト/Security CoE センタ長

セキュリティ関連の研究開発およびインフラ構築業務を経て、セキュリティ全般の拡販業務・ソリューション提案・コンサルティングなどを担当。セキュリティ分野における社会貢献や早稲田大学グローバルエデュケーションセンター非常勤講師としても活動する。

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