お話をうかがったのは『品良く美しく伝わる「大和言葉」たしなみ帖』(永岡書店)などの著書を持つ国語講師の吉田裕子さんです。“つまるところ”の意味や使い方、避けた方がよい使い方についてお話をうかがいました。
「つまるところ」の意味は?
null“つまるところ”は、“つまり”の類義語。いずれも物事の終わりや行き止まりを示す“詰まる”から派生した言葉です。同じようなニュアンスを持つ言葉としては、“結局”などがありますが、“つまるところ”を用いる方が重みを感じさせますので、
「つまるところ」はどんな時に使うといい?
nullビジネスシーンにおいては、以下のような場面で使われています。
・話の核心に迫るとき
・相手の言葉を別の言葉で言い換えるとき
・それまでの話を受け、まとめるとき
・提案や営業の核心に迫るとき
「つまるところ」の例文は?
続いて、“つまるところ”の例文をご紹介します。
【例文1】物事の核心に迫るとき
・そのプロジェクトの失敗の原因にはいろいろありますが、つまるところ、予算の不足が大きな原因だと思われます。
・つまるところ、参加するんですか、しないんですか。
【例文2】相手の言葉を別の表現で言いかえるとき
社員A:C社の製品は、品質低下が著しく、トラブルも多い。別の仕入れ先を検討しようと思う。
社員B:つまるところ、C社とは取引きをやめるということですか?
【例文3】それまでの話を受け、まとめるとき
社員A:原料価格が高騰して、非常にまずい状況だ。
社員B:つまるところ、利益率が下がっているということですよね。
「つまるところ」の使い方の注意点は?
null“つまるところ”は、話の核心に迫る場面で使われることがあるので、1度の会話の中で何度も使うことで大げさな印象をあたえる可能性があります。多用には注意が必要です。
「つまるところ」を言い換えると?
“つまるところ”は、場面に応じて以下のような言葉で言い換えることができます。
・すなわち
・結局
・要するに
・言い換えると
いずれも、日常会話の中やビジネスメールの中で使うことができます。
今回は、“つまるところ”の使い方について掘り下げてみました。
大切な言葉の前置きとして使われる“つまるところ”は、シーンを選んで使うことで、会話にメリハリが生まれてきます。ぜひ、参考にしてみてくださいね。
【取材協力・監修】
吉田裕子
国語講師。塾やカルチャースクールなどで教える。NHK Eテレ「ニューベンゼミ」に国語の専門家として出演するなど、日本語・言葉遣いに関わる仕事多数。著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)は10万部を突破。他に『正しい日本語の使い方』『大人の文章術』(枻出版社)、『英語にできない日本の美しい言葉』(青春出版社)など。東京大学教養学部卒。