これで二重敬語を防ぐ!敬語ルールをおさらい
null敬語の間違いでよく聞かれるのが、尊敬語の“二重敬語”です。二重敬語とは、1つの動詞に対して、尊敬語、もしくは謙譲語を2つ重ねたもの。
一部例外もありますが、1つの動詞を敬語化する場合、同じ種類の敬語を2つ以上使わないのが基本です。
「ご覧になられる」は二重敬語?よくある間違いは?
null1つ例をあげると「ご覧になられますか?」というのは、よくある二重敬語です。
“見る”を尊敬語化した“ご覧になる”と、尊敬語の“れる・られる”が重なっています。
【よくある二重敬語】
・「ご覧になられる」×/「ご覧になる」○
・「召し上がられる」×/「召し上がる」○
・「おっしゃられる」×/「おっしゃる」○
・「おいでになられる」×/「おいでになる」○
「お~になる」+「れる・られる」の二重敬語NG例
null“お帰りになられる”のように、“お~になる”と“れる・られる”の二重敬語もよく聞かれます。「お帰りになる」だけで敬語として成立します。
【よくある二重敬語】
・「お話しになられる」×/「お話しになる」○
・「お見えになられる」×/「お見えになる」○
「お召しあがりになる」は二重敬語でもOK?
null言葉というのは、たとえ文法が間違っていても、世の中で広く使われることで、定着してしまうことがあります。
“召し上がる”と“お~になる”の2つの尊敬語がミックスした“お召し上がりになる”という言葉が、その例。二重敬語ですが、かしこまった場面でもよく使われています。
【ステップアップ編】「拝見致します」は間違い?二重敬語だけど使える?
nullここまで尊敬語の二重敬語について説明してきましたが、“拝見する”+“致す”の「拝見致します」は、2つの謙譲語が使われていますが、必ずしも間違いではありません。
先ほど、1つの動詞を敬語化する場合、同じ種類の敬語を2つ以上使わないと説明しましたが、謙譲語は2種類に分類することができます。その、
謙譲語1・・・「伺う」「拝見する」「頂く」「差し上げる」「お~申し上げる」など、目的語を高める
謙譲語2(丁重語)・・・「参る」「おる」「申す」「いたす」など、聞き手への丁重さを示す
“拝見します”でも十分に気遣った話し方ですが、謙譲語1と、
今回は、国語講師の吉田裕子さんに、よくある二重敬語の例について解説して頂きました。
敬語表現は時代とともに変わっていきます。業種、職種によっては、過剰な敬語が使われている場合があり、吉田さんはこの現象を“敬語のインフレーション”と呼んでいました。相手に敬意を表す心はとても大切ですが、二重敬語は仰々しい印象を与える場合がありますので、注意が必要です。
取材・文/北川和子
国語講師。「大学受験Gnoble」やカルチャースクール、企業研修などで教えるほか、「三鷹古典サロン裕泉堂」を運営。10万部突破の著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)など、言葉や敬語、文章術、古典に関する発信も多い。近著に『大人に必要な読解力が正しく身につく本』(だいわ文庫)、『見るだけ・聴くだけで語彙力アップ デキる大人の話し方』(主婦の友インフォス)。東京大学卒業。