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「すべからく」は「全て」という意味ではない!本来の意味は?【間違いやすい日本語#29】

“すべからく”は、非常に間違いやすい言葉です。正しい使い方を覚えておきましょう。

“すべからく”について解説していただいたのは『見るだけ・聴くだけで語彙力アップ デキる大人の話し方』(主婦の友インフォス)など、多数の著書を持つ国語講師の吉田裕子さんです。

「すべからく」の意味は?

「すべからく」の意味は?

すべからく”(漢字表記:須らく/須く)は“当然なすべきこととして”“ぜひとも”という意味。

漢文の“須”の訓読から生じた副詞で、多くの場合「すべからく~べき」という形で用いられています。

【例文】

・若者は、すべからく多様な経験をすべきである。

漢語由来の硬い言葉なので、かしこまったスピーチや文章の中で使われることの多い言葉です。漢字表記の際には、“須らく”“須く”と表記されます。

「すべからく」の注意点は?「全て」「おしなべて」との混同に注意

「すべからく」の注意点は?「全て」「おしなべて」との混同に注意

“すべからく”の使い方の注意点は、以下の2つ。

(1)「全て」「おしなべて」という意味ではない

“すべからく”は、“全て”“おしなべて”と混同しやすい言葉です。過去に行われた文化庁の「国語にまつわる世論調査」では、32.1%の回答者が“すべからく”の意味を“全て・皆”と回答していました。

また、“全て・皆”の意味を持つ“おしなべて”とも混同しやすいようです。“すべからく”は、「当然~すべき」という意味ですので、注意しましょう。

【NG使用例】

・彼の試みは、すべからく失敗に終わってしまった。

・当社の商品は、すべからく高品質です。

→“全て”“一様に”の意で使うのは、間違い。

(2)語尾に注意

“すべからく”は、漢文に訓点をつけて、日本語の語順にした副詞です。多くの場合「すべからく~べき」という形で用いられています。すべからく〜と呼応した語尾を用いましょう。

【要注意例文】

・学生は、すべからく勉強するのかもしれない

“当然”の意味を持つ“すべからく”と呼応する語尾を用いる。この場合は「学生は、すべからく勉強すべきだ」など。

「すべからく」の例文は?

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“すべからく”を含む例文を通じて、使い方をイメージしていきましょう。

・わが校では、学生はすべからく学業を第一とすべきだと考えています。

すべからく問題解決をはかるべきだ。

・機会に恵まれたら、すべからく力を尽くすべきだ。

「すべからく」を言い換えると?類語は?

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“すべからく”と類似の意味を持つ言葉をご紹介します。

(1)「当然」

当たり前であること。そうあるべきこと。

【例文】

当然、責任を取るべきだ。

(2)「必須」

どうしても必要であること。

【例文】

・この数式は、受験生にとっては必須の知識です。

(3)「ぜひ」

副詞の“ぜひ”は、あることの実現を強く希望するときの言葉。

【例文】

ぜひ参加していただきたいと思います。

 

以上、国語講師の吉田裕子さんに“すべからく”について解説していただきました。

スピーチや演説で使われることもある言葉です。正しい意味を覚えておきましょう。

 

取材・文/北川和子

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【参考】

令和2年度「国語に関する世論調査」の結果の概要 – 文化庁

吉田裕子
吉田裕子

国語講師。「大学受験Gnoble」やカルチャースクール、企業研修などで教えるほか、「三鷹古典サロン裕泉堂」を運営。10万部突破の著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)など、言葉や敬語、文章術、古典に関する発信も多い。近著に『大人に必要な読解力が正しく身につく本』(だいわ文庫)、『見るだけ・聴くだけで語彙力アップ デキる大人の話し方』(主婦の友インフォス)。東京大学卒業。

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