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トマト缶で作る「鶏手羽元のトマト煮込み」コンソメなしでも味が決まる!【プロが教えるおうちイタリアン#1】

kufuraの動画『プロが教える本格パスタレシピ』が人気の、東京都神宮前にある隠れ家的な洋食店『Bistro Coco 路地裏』のオーナーシェフ・小野宗隆さんに、おうちで楽しむイタリア料理を教えてもらう連載をスタート!

いつもの料理をグンとおいしく格上げするプロの技をkufura読者に特別に伝授。第一回目は、鶏手羽元とトマト缶を使った「鶏手羽元のトマト煮込み」に挑戦! 野菜もたっぷり食べられて、これ一皿で満腹&豪華なごちそうになります。

鶏手羽元はこんがり焼いて、玉ねぎは甘味が出るまで炒める

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トマト煮込みって、おうちで作るとなんとなく味がぼんやりしたり、酸味が強かったり……お店で食べると濃厚なのに、自分で作るとなんだかイマイチ……。そんな風に感じている人も多いのではないでしょうか?

小野さんのトマト煮込みは旨味がぎゅ〜っと濃縮されていて、超濃厚。しっかりとコクがあって、メインを張る立派なごちそうになります。「何か特別なトマト缶を使っているの?」と聞いてみたら、スーパーで手頃な価格で買える普通のトマト缶とのこと。

「チキンのトマト煮込みは、イタリア人もトマト缶で作ると聞いたことがありますトマト缶は濃厚な味わいのトマトを缶詰にしているので、味も安定していて使いやすい。おいしく仕上げるコツは、骨付きの鶏肉をしっかり焼きつけてから煮込むこと。鶏肉の焦げが旨味となってソースに溶け出し、さらに骨からいいだしも出ます。さらにじっくり炒めた玉ねぎでベースを作ることで、甘味がしっかりトマトソースに入るんです。Wの旨味でトマトソースが濃厚になるので、今回はあえてコンソメは入れずに仕上げます!」(以下「」内、小野さん)。

どうせ煮込むのだからと思い、鶏肉はさっと火を通していましたが、煮込む前にこんがり焼きつけるとは! 早速、作り方を見てみましょう。

【材料】(2人分)

鶏手羽元・・・8本(約400g)

キャベツ・・・1/4個

玉ねぎ・・・1個

にんにく・・・2片

アスパラガス・・・1束(3〜4本)

ローリエ・・・1枚

ローズマリー・・・1本

オリーブオイル・・・大さじ2

トマト缶(ダイスカット)・・・1缶(400g)

水・・・400ml

塩・・・適量

粗挽き黒こしょう・・・適量

粉チーズ・・・適量

【作り方】

(1)野菜を切る

キャベツ1/4個はくし形に2つに切ります。今回は大きなままゴロッと入れるのがポイント。バラバラにならないよう芯は取らず、そのままでOK。

玉ねぎは薄切り、にんにくは厚めの薄切りに。アスパラガスは根元の硬い所は切り落とし、皮が厚い部分をピーラーでむいてから、斜めに切って4等分にします。

(2)鶏手羽元を焼きつける

鶏手羽元は両面に塩と粗挽き黒こしょうを少量ずつ振って下味を付けます。フライパンにオリーブオイルを熱し、温まったら鶏手羽元を入れ、強めの中火でこんがりと焼きつけましょう。

煮込む前に焼きつけた“焦げ”が、煮込むとトマトソースに溶け出ておいしい旨味になります。フライパンに入れたらあまりいじらず、しっかり焼き色をつけるのがポイント。両面こんがりときつね色になるまで焼いてください」

きつね色になったらひっくり返し、両面がこんがり焼けたら、バットに鶏手羽元を一度取り出しましょう。

(3)玉ねぎをじっくり炒める

鶏の脂をフライパンに残したまま、にんにくを入れて炒め、香りが立ったら玉ねぎを入れ、塩を振ります。玉ねぎがしんなりしたら中火にして、軽く色づくまでじっくり炒めてください。

玉ねぎは加熱すると甘味が出るのでじっくり炒めてから煮込み、玉ねぎの甘味をトマトソースに溶け込ませます。炒めた玉ねぎが甘味と旨味のベースになります」

(4)フライパンに材料を入れる

玉ねぎが色づいてしんなりしたら火を止め、玉ねぎを端に寄せて、空いたスペースにキャベツを置きます。玉ねぎを広げて、ローリエとローズマリーを中央にのせ、玉ねぎの上にバットに取り出しておいた鶏手羽元を並べます。キャベツに塩を少量振り、トマト缶を全体にかけ、水を入れましょう。

「この時、中身をあけた後のトマト缶に水を入れ、軽く箸やスプーンなどで缶の中についたトマトを洗い、その水を1杯分、鶏手羽元と野菜にかけます。こうすると缶の中に残ったトマトもムダなく使えます」

(5)30分煮込む

材料を入れたフライパンを強火で煮込み、沸騰したらふたをして弱火にし、そのまま30分煮込みましょう。途中でキャベツにソースをかけ、30分経ったらアスパラガスを投入。さらにふたをして2分煮たらOKです。

(6)盛りつける

皿にキャベツと鶏手羽元を盛りつけ、トマトソースは味見をして、必要なら塩・こしょうで味を調えてください。ローリエとローズマリーを取り出し、トマトソースをかけ、粉チーズをたっぷり振ったら完成です!

(7) できあがり!

食べてみるとトマトの味が濃いっ! コンソメを入れなくても奥深い旨味があって、特に野菜の甘味を強く感じます。この甘味の秘密は、じっくり炒めた玉ねぎ。玉ねぎの甘味がベースとなって、トマトソースにしっかり溶け込み、煮詰まって濃厚な味に。さらに骨つきの鶏手羽元を使っているので、鶏のだしもたっぷり。鶏手羽元は一度こんがり焼いているので、骨からスルッと身が離れて食べやすい。ゴロッと入れたキャベツは蒸し焼きになって、甘〜くトロトロに。キャベツをナイフで切り分けながら食べるので、いつもとひと味違ったおいしさです。

鶏手羽元がない時は、鶏もも肉で作ってもよいとのことで、実際に家で鶏もも肉で作ってみたところ、失敗なくおいしくできました!(鶏もも肉の場合は煮込み時間は20分でよいそうです)。冷蔵庫にズッキーニがあったので、ズッキーニも一緒に入れてみたのですが、こちらも相性抜群。フライパンは深さのある大きめのものを使うのがおすすめ。我が家のフライパンは普通の深さでしたが、ふたに高さがあったので、かさが増してもふたができました。

次回は、おうちで失敗なく作れる「チーズリゾット」の作り方を教えてもらいます。

【取材協力】

小野宗隆

軽井沢高原野菜、提携農家の産直有機野菜、無農薬野菜などを中心に使用する洋食店『Bistro Coco 路地裏』のオーナーシェフ。イタリア料理、フランス料理を中心に料理長としてのキャリアを積み上げ、店舗立ち上げやメニュー開発などを多数経験。ソムリエの資格も持つ。kufuraの動画『プロが教える本格パスタレシピ』も人気。

 

取材・文/岸綾香

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