今日から今すぐにできる片づけメソッド
null基本に立ちかえり、1ステップずつ取り組んでみましょう。既に出来ている部分は、飛ばしてOKです。
ステップ1:まずは意見を聞いてみる
片づけは、ものを元に戻すだけにあらず。初心にかえり、子どもなりの理由を聞くところから始めましょう。
「そもそも片づけに苦手意識があるのかもしれませんし、親子で相談して決めたものの、実行できない理由があるのかもしれません。
たとえば、リビング学習をするのでランドセル用ワゴンをつくったものの、そこには置かず、必ず玄関にランドセルを置く男の子がいました。そこでお母さんが理由を聞くと、ランドセルが重いから、とにかく早く玄関で解放されたい!と……。
お母さんのやってくれていることはちゃんと理解していたんです。でも、自分としては玄関にランドセル置き場があり、そこから教科書をリビングへ運ぶほうがいいということでした」(以下「」内、清水幸子さん)
できないからだめと決めつけるのではなく、その型で本当に片づけられるのかを一緒に考えてみる。子どもの意見に耳を傾けることは、今日から、今すぐにできますね。
ステップ2:一緒にゴールを設定する
片づけが苦手と感じる理由に、そもそもやり方がわからない場合もあれば、ゴールが見えていない場合もあるそうです。
「まず、自分がどうなりたいかのゴール設定が大事です。たとえば『すっきり』という言葉にどういうイメージを持ちますか? ものがないホテルのような感じ、趣味のものはいっぱいあっても床になにもないなど、大人でも、ましてや家族でも人によって違うと思います。
だから、お子さんのゴールを一緒に考えてみましょう。おもちゃですぐに遊べる、友達と遊びやすい、きょうだいでおもちゃを取り合わないなど。お子さんが“こうなりたい!”という姿が見えたときに、整理・収納・片づけへの一歩は踏み出せます」
ステップ3:一緒にものを持つ基準を決める
「いつか使うかもしれない」「何かで使うかもしれない」というふうに考えてしまうのは、ものをもつ基準が曖昧だからだそうです。
「服は1年着ないなら手放す、教科書は学年が上がったら処分するなど、親子でものをもつ基準を決めてみましょう。
そのうえで、収納する場所に対して、ものの量が適正かどうかもチェック。ぎゅうぎゅうだと片づけにくいので、空間に対して2〜3割ほど余裕がある状態をキープするのがおすすめです」
ステップ4:簡単に片づけられる「仕組み」をつくる
清水さん曰く、子どもの集中力は15分。「とはいっても、経験上、5分がリミットかな(笑)」とのこと。だからこそ、簡単に片づけられる仕組みづくり=収納が大事。
「ボックスに投げ込むだけ、同じラベルの場所に戻すだけなど、工程を簡単にします」
また、1日に何度も片づけるのは大人でも面倒です。忙しいと散らかったり、家事や仕事で途中のものは、出しているほうが効率がよかったりもしますよね。そこで1日に一度のリセットタイムを設けるのもおすすめ。
「ごはんの前や寝る前など、その都度片づけたい親御さんの気持ちはわかります。でも、何度も『片づけよう』と言われると、お子さんは片づけそのものをイヤになってしまうかもしれません。
ですから、ここだけは片づけるというタイミングを話し合ってみてください。一緒に親御さんの気持ちも伝えると、4才以降なら理解してくれるはず。わが家も『ごはんはおいしく食べてほしいから』と、食卓付近では遊ばせないようにしていました」
片づけに役立つ便利グッズ
null子ども用の絵本棚や収納ラックなど、専用で便利な商品もあり、ついほしくなります。でも清水さん曰く「ある一定の時期しか使えないものは、その時期をすぎると使えなくなり、ムダになることも多いです」。グッズ選びで大事なのは、長く使えるかどうかという視点をもつこと。また、子ども自身が使いやすく、片づけやすいことも忘れずに。
その上で、おすすめをいくつか教えていただきました。
成長に合わせて身支度グッズを収納できる「可動式ワゴン」
「『イケア』の「ロースコグ ワゴン」はおすすめです。乳児期は赤ちゃんのお世話グッズ一式をしまっておけば、可動式なのでおむつ替えもラク。幼稚園や保育園に入園したら、登園グッズを収納するワゴンに。ハンガーをかけたり、マグネットもとまります。
そして、小学生になったら、ランドセルや体操服などの学用品を収納します。教科書やノートなどの勉強道具もまとまりますよ」
身支度ワゴンが必要なくなる思春期以降は、自由に好きなものを収納できます。「家の中で移動して持ち運びたいものの収納にもってこいですよ」
色分け出来る「丸シール」「マスキングテープ」
ものの定位置を決めると片づけやすくなります。その時に活躍するのが、100円均一でも手に入る「丸シール」や「マスキングテープ」です。
「丸シールはパズル収納や、きょうだいのものを色分けする時に活躍します。マスキングテープも、きょうだいや家族のものを色分けしたり、作品を壁に貼ったりする時にも役立ちます」
ものの定位置をわかりやすく表示「ラベルプリンター」
丸シールやマスキングテープと同じように、ラベリングもおすすめ。ラベルプリンターで出力するもよし、市販のインデックスシールでも代用できます。ただし、◯◯はここ!と、ぱっと見れば分かるように。6才くらいまでは、とくに簡単にしてあげるのがよいそうです。
「文字が少しずつ読めるようになってきたら、ラベリングをすると分けやすいです。ただ、お子さんにとっては、文字より色のほうがやりやすいという場合も。
本を戻しやすくするにはどの方法がいい?と、お子さんと相談してみるのも手。『ほん』と書くのか、丸シールやマスキングテープで色分けをするのか、親子で決めましょう」
ちなみに清水家では、ラベリングしていたことで、家に遊びにきたお子さんの親御さんも片づけに協力してくれるなど、よい効果があったそうですよ。
片づけは家族の楽しいイベントです!
null大掃除を家族みんなで行うように、日々の片づけも、遊びやイベントのように一緒に楽しむのがおすすめだと清水さん。
「わが家は衣替えはしないのですが、いわゆる衣替えの時期に娘から“お母さん、服の整理しよう”って声をかけてくるんですね。整理しながら“これ、私着ると思う?”“お母さんが着ないなら、それちょうだい”っていうふうにおしゃべりするのが楽しくって。お互いにイベントのような感覚なのだと思います」
また、清水家では反抗期も片づけで乗り切ったのだとか!
「私たちの共通の話題が整理・収納・片づけです。無理に近づくのではなく、“これ、どうしよう?”“こういうのはどうかな?”などと、必要に応じてコミュニケーションをとることで、いつの間にか距離が縮まっていたことも。娘も片づけを好きになってくれてよかったなという思い出です」
片づけへの道は1日にしてならず。でも、片づけたいと思ったときが始めどきです。
苦手意識をもつお子さんの場合も「すっきりして気持ちいいね」などというプラスの声がけをしながら、今日から、今すぐ片づけを始めてみませんか?
清水幸子さん
整理収納アドバイザー1級、整理収納アドバイザー1級・2級認定講師、ファイリングアドバイザー認定講師。最年少整理収納アドバイザーである清水麻帆さんの母。元銀行員の経験を活かした住まいとオフィスの整理収納を提案。著書に『片づけを楽しむ、好きになる。』、『子どもと楽しく学ぶ片づけの教科書』(ともに学研出版)。Instagram
清水麻帆さん
2007年生まれ。小学6年生の時に、整理収納アドバイザー1級の資格を史上最年少で取得。「子どもの目線でわかりやすい」整理収納の実践を日々心掛けている。
親子でDCM DIY placeにてワークショップなどのイベントに登場するなど、活躍中。次回のイベントは12月9日(土)に開催予定。
『子どもと楽しく学ぶ片づけの教科書』
(株式会社Gakken)
史上最年少で整理収納アドバイザー1級を取得した娘・清水麻帆さんと、同じ資格をもって活躍中の母・清水幸子さん。二人が学んだ整理収納~片づけメソッドと、日々の親子のコミュニケーションノウハウを書籍化した著者最新刊。この一冊であなたもあなたの家族も片づけ上手に変身!
取材協力/DCM
朝ランが日課の編集者・ライター、女児の母。目標は「走れるおばあちゃん」。料理・暮らし・アウトドアなどの企画を編集・執筆しています。インスタグラム→@yuknote