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子どもに身につけさせたい!整理・収納・片づけで育まれる3つの力

自分にとって必要なものを取捨選択する「整理」。ものの定位置を決める「収納」。そして、ものを元の場所に戻す「片づけ」という3つは、気持ちよく暮らす基本です。16才の娘さんをもつ子育て世代の整理収納アドバイザー・清水幸子さんに聞く、整理・収納・片づけを通して養われる“力”とは?

「片づけ」は0才児からできる

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0才からお片づけはできる!(『子どもと楽しく学ぶ片づけの教科書』より、イラスト:ばばめぐみ 画像提供:株式会社Gakken)

整理・収納・片づけは、ある程度物事の分別がつく年齢にならなければできないと思っていませんか? しかし「ものを元の場所に戻す片づけは、0才の赤ちゃんからできます」と清水幸子さんはいいます。

母娘で整理収納アドバイザー1級をもち、活躍する清水幸子さん(写真左)と、その娘の麻帆さん(写真右)。(『子どもと楽しく学ぶ片づけの教科書』より、画像提供:株式会社Gakken)

「赤ちゃんに片づけてもらうには、触っていい場所だけオープンに。そのほかは、勝手に開けられないようロックをかけるなどして安全な状態にしたうえで、次の5つを意識して整理・収納します」(以下「」内、清水幸子さん)

片づけやすい収納のポイント

  1. 収納スペースに2〜3割の余白ができるよう、ぎゅうぎゅうに詰めない。
  2. 使う場所の近くに収納場所をつくる。
  3. よく使うものは取り出しやすい場所、使用頻度の低いものは高い場所など、使用頻度に合わせて収納場所をつくる。
  4. 一緒に使うものはひとまとめにする。
  5. ものの定位置をつくり、戻す場所を決める。

「整理・収納ができていれば、片づけるのは簡単です。本を読んだらここに置く、ぬいぐるみを使ったらあそこに置く、というふうに、片づけまでが遊びの一環になるよう習慣づけてゆきます。片づけられたら『よくできたね!』としっかり褒めてくださいね。少しずつ覚えて、片づけられるようになりますよ」

0〜3才は大人が整理・収納のしくみをつくり、「もとに戻す」という片づけの基本を覚える。4〜6才は遊びの一環として一緒に片づけに取り組んだり、「いる?」「いらない?」という整理に挑戦する。学用品の収納も必要な7〜9才は、適正量を意識して、収納に挑戦してみる……などというふうに、3年ずつを目安に区切ってステップアップ。

「小学校3年生くらいまでは、しっかりサポートしてあげるとよいですね。成長とともに少しずつサポートを減らし、13才ごろには自立できるよう応援してあげるのがおすすめです」

片づけ習慣で育まれる「力」

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『子どもと楽しく学ぶ片づけの教科書』(株式会社Gakken)

清水さんの最新著書『子どもと楽しく学ぶ片づけの教科書』には、幼児から親子で一緒に片づけを楽しめる工夫が詰め込まれています。小さなころから学ぶことで片づけ上手になり、それ以上に身につくものがあるそう。

「片付け以外にも、成長や発達に嬉しい効果がたくさん期待できます!」

1:判断力(決断力)

子どもに整理・収納を教える講座ももつ清水さんが実感することの一つが、子どものころから整理・収納をやっている子どもは意思が強く、いらないものは「いらない!」とハッキリ言えるということ。

「きれいな部屋を保つためには、日常的に必要なものとそうでないものに分け、必要ではないものを手放す必要があります。この取捨選択の繰り返しにより、判断力や決断力が身につくと感じます。

いる、いらないという整理は3〜4才くらいからできるので、少しずつ声かけするところから始めてみるのがおすすめ」

「整理」の始め方

  1. 「いる」「いらない」、「使う」「使わない」、「好き」「嫌い」など、子どもが選びやすい言葉を見つける。「『好き』『使わない』というお子さんもいるので、焦らずいろいろ聞いてあげましょう」。
  2. 子どもが選びやすい言葉がわかったら、親御さんがそれぞれ紙に書き、部屋に置く。そして、紙の間にマスキングテープなどで線を引き、仕分けスペースをつくる。「箱を2つ用意して、紙をそれぞれに貼って仕分けしてもよいです」。
  3. まずは分けやすいものに一つ取り組んでみる。「おもちゃ箱一つからなど、少しずつやってみましょう。大事なのは、お子さんが自分の中で基準を決めることです」。

2:応用力

親子で整理収納アドバイザー1級の資格をもつ清水家では、娘の麻帆さんから学ぶことも多いそうです。

「“ブックエンドは本を仕切るためのものだけれど、本以外を仕切るのにも使えそう”など、既存の使い方にとらわれない収納アイディアを考える中で、応用力も磨かれます。

その中で一つハッとしたのが、娘の“うちはなぜ毎日使っている食器より、あまり使わない来客用の食器のほうが高級なの?”という言葉。経験上で考えてしまう私に対して、娘の柔軟で新しい考え方は気づきをくれます。

以来、来客用食器をふだん使いに。また、それまでは夫、私、娘とそれぞれ別の食器やカトラリーを使っていたけれど、全部共有にして、スタッキングしやすく収納もラクになりました。結果的に家の中のものの数も減ったし、“いつか使う”が一つ手放せたのはよかったですね」

3:自己肯定力

片づけをして部屋がきれいになると、達成感が生まれ、“やればできる”という自信につながり、自己肯定力もアップ!

「片付けは日々、小さな範囲からできるので、スモールステップで達成感が得られます」

また、子どものありのままを認めてあげることでも自己肯定力は高まる、と清水さん。

「子どものものを勝手に捨てない、もその一つ。その人にしかわからない価値やストーリーがあるので、整理する場合は“これはどうする?”と一言声をかけてあげましょう」

経験や価値観を押しつけていない?

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「子どもたちは素直でどんどん吸収しますし、ちゃんと自分の価値観ももっています」と清水さん。もし、片づけがどうもうまくいかないと悩んでいるのなら、大人の経験や、自分の基準を押しつけていないか振り返ってみてはいかがでしょうか。

「まずは“なぜ?”“どうして?”と聞いてみると、お子さんが何を大切にしているか。どうしたいのかが見えるかもしれませんよ」

清水幸子さん
整理収納アドバイザー1級、整理収納アドバイザー1級・2級認定講師、ファイリングアドバイザー認定講師。最年少整理収納アドバイザーである清水麻帆さんの母。元銀行員の経験を活かした住まいとオフィスの整理収納を提案。著書に『片づけを楽しむ、好きになる。』、『子どもと楽しく学ぶ片づけの教科書』(ともに学研出版)。Instagram

清水麻帆さん
2007年生まれ。小学6年生の時に、整理収納アドバイザー1級の資格を史上最年少で取得。「子どもの目線でわかりやすい」整理収納の実践を日々心掛けている。

親子でDCM DIY placeにてワークショップなどのイベントに登場するなど、活躍中。次回のイベントは12月9日(土)に開催予定。

取材協力/DCM

ニイミユカ
ニイミユカ

朝ランが日課の編集者・ライター、女児の母。目標は「走れるおばあちゃん」。料理・暮らし・アウトドアなどの企画を編集・執筆しています。インスタグラム→@yuknote

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