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「片づけなさい」は禁句!? 子どもを片づけ上手に育てるために、やってはいけない3つのこと

「片づけなさい!」って何度言えばいいの?と、頭を悩ませている親御さんは少なくありません。そこで、最年少で「整理収納アドバイザー1級」を取得した16才の長女・麻帆さんと親子で活動する、整理収納アドバイザー・清水幸子さんのもとへ!

子どもが片づけを好きになるために大事なことを教えていただきました。

コミュニケーションがいちばん大事

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娘の麻帆さんと母娘で活動することも多い清水幸子さん(『子どもと楽しく学ぶ片づけの教科書』より、画像提供:株式会社Gakken)

最新著書『子どもと楽しく学ぶ片づけの教科書』で、子どもの年齢別のお悩みに応えている清水幸子さん。曰く片づけには、コミュニケーションがいちばん大事です!。これは成長にかかわらず、どの世代の子どもにも、そして大人にも言えることなのだとか。

「わが家では、片づけ方を決めるのは娘の麻帆と私です。一度、2人の間で“このバーに使用済みのバスタオルをかけよう”と相談したことを夫に伝えそびれ、私が勝手にイライラしたケースがありました。

お風呂あがりの濡れたタオルを夫が違う場所に置くので、たまりかねて“なぜそこに置くの?”と尋ねたら“だってここって言っていたでしょう”と。それで、変えたことを伝えていなかったと気づいたんですけれど(笑)。コミュニケーション不足が招く片づけ問題はあると思います」(以下「」内、清水幸子さん)

片づけができない3つの理由

そもそも、なぜ片づけができないのか? それには、3つの理由が挙げられるそうです。

  1. 必要なものが選ばれていない
  2. 区別して収納されていない
  3. どこに片づけるか把握できていない
『子どもと楽しく学ぶ片づけの教科書』より。持ち物を整理・収納・片づけするには、こんなふうに考えていけばOK。(画像提供:株式会社Gakken)

「混同されがちなんですが、『片づけ』と『整理・収納』は違います。『整理・収納』は、必要なものを選んだり処分したり、取捨選択して、そのうえで区別して収納。取り出しやすくすることです。『片づけ』は、そのあと。使ったら戻す、これが『片づけ』です」

だからたとえば、おもちゃを片づけてほしい場合。まずは、子どもと一緒に整理してみるところから始めます。この時に“これはどう?いる?いらない?”と、一つひとつ意見を聞くコミュニケーションが大事、と幸子さん。

「最初から、なかなか自分の意見が言えなかったり、自分でも何が必要かわからないお子さんもいると思います。だから、日常的に声をかけてみるといいですよ。お子さんがおもちゃで遊んでいる時に“それはなぜ好きなの?”というのもおすすめ。大好きなお母さん・お父さんから聞かれることで、子どもの思考の整理につながります」

片づける場合も「◯◯の棚へ戻そうね」「これは◯◯に片づけてね」などと声をかけて、収納する場所を伝えること。そして、ちゃんと片づけられたら褒めるのも忘れずに。

「余裕がないとイライラすることもあるかもしれませんが、会話して、コミュニケーションを楽しみましょう!」

絶対にやってはいけない3つのこと

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さて、コミュニケーションが何より大事な片づけ。子どもが片づけを好きになるために、しないほうがよいこととは?

1:「片づけなさい」は禁句

「片づけなさい!」と言ってやらせるよりは、片づけのゴールを提示するとわかりやすい。

散らかっているとついつい口にしてしまう「片づけなさい」は言わないほうがよい、と幸子さん。それはご自身の、子ども時代の体験から。

「私自身、親が転勤族だったため3年に一度は引越していたので、片づけのベースは子どもの頃にできました。加えて、きれい好きな母から“片づけなさい”と言われて育ってきたんです。

今も記憶に残っているのですが……小学3年生のころ、母から“片づけなさい”と言われたときに、私の中では片づいている。でも、学校から帰ったら、机の上や引き出しの中に入れておいた大事なものがなくなっていて。片づけているのに何が違うんだろう?と、悲しくなったんですね。

子育て世代の今ならわかります。母と子ども時代の私とでは、片づけのゴールが違ったんだと。私も片づけが好きだからこそ、娘にも楽しいと感じてほしい。だから“片づけなさい”と命令するのではなく、片づけの方法を教えようと決めました」

2:「勝手に捨てる」のはNG

親から見たらゴミかもしれませんが、子どもにとっては宝物ということも。

絶対にだめなのは、子どもの許可もなく勝手に捨てること。

「これは子どもにとどまらず、ご家族など大人同士でも絶対にしてはだめ。ものには、その人にしかわからない価値やストーリーがあります。私も、机にしまっていた拾い集めたBB弾、大好きな友達からもらったメモ帳の1枚、溶けた飴玉などが、学校に行っている間になくなっていた時、母からゴミと思われたのがショックでした。

おもちゃを整理するときも、高価なものより、お菓子のオマケをお子さんは大切に思っているかもしれません。まずはなぜそれが必要なのかをちゃんと聞いて、相手の価値観を認めましょう」

3:ひとりでは一生片づかない

子どもに片づけるところを見せて共有していきましょう。

子どもや家族の外出中に片づける方も多いでしょう。しかし幸子さんは「片づけている背中をちゃんと見せて!」とキッパリ。

「わが家では、誰が見てもわかるようにラベリングしたり、収納した場所を家族にもきちんと共有する“家族にやさしい収納”を心がけています。

というのも、娘が幼稚園の年少の時に、私が知人の家で倒れ、救急車で運ばれたことがあったんです。この時、夫にもわかるように家中を整理しているはずが、幼稚園の送り迎えも娘のケアも、夫は何もできなくて……。

お母さんが整理・収納や片づけの中心になっていると、お母さんが不在の時に家族が困るケースがあります。だからこそ、片づけている様子や手順を見せたり、一緒に楽しんで片づけることが大事です」

まずは楽しむことから始めましょう!

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一緒に片づけると「これはどうする?」などと、会話も生まれるはず。清水さん親子の片づけの様子。(『片づけを楽しむ、好きになる。』より、画像提供:株式会社Gakken)

麻帆さんは「お母さんが楽しそうにしていたから」という理由で、物心ついた時から片づけ好きに。最年少の小学6年生で整理収納アドバイザー1級を取得。親子で活動するまでになりました。

「やはり人に好きになってほしい、上手になってほしい場合は、楽しそうな姿を見せることが大事ですよね。おうちの方が楽しそうだと、お子さんも思わず真似したくなるはず」と、麻帆さん。

片づけは、状況やタイミングによっては大変だとか、面倒などと思うこともあります。でも、きちんと整理・収納されて片づいた状態は、誰にとっても気持ちがよいはず。色鉛筆ケース一つ、おもちゃ箱一つなど、小さな世界からでかまいません。まずは片づけを楽しむことから始めてみませんか?

清水幸子さん
整理収納アドバイザー1級、整理収納アドバイザー1級・2級認定講師、ファイリングアドバイザー認定講師。最年少整理収納アドバイザーである清水麻帆さんの母。元銀行員の経験を活かした住まいとオフィスの整理収納を提案。著書に『片づけを楽しむ、好きになる。』、『子どもと楽しく学ぶ片づけの教科書』(ともに学研出版)。Instagram

清水麻帆さん
2007年生まれ。小学6年生の時に、整理収納アドバイザー1級の資格を史上最年少で取得。「子どもの目線でわかりやすい」整理収納の実践を日々心掛けている。

親子でDCM DIY placeにてワークショップなどのイベントに登場するなど、活躍中。次回のイベントは12月9日(土)に開催予定。

『子どもと楽しく学ぶ片づけの教科書』
株式会社Gakken

史上最年少で整理収納アドバイザー1級を取得した娘・清水麻帆さんと、同じ資格をもって活躍中の母・清水幸子さん。二人が学んだ整理収納~片づけメソッドと、日々の親子のコミュニケーションノウハウを書籍化した著者最新刊。この一冊であなたもあなたの家族も片づけ上手に変身!

取材協力/DCM

ニイミユカ
ニイミユカ

兵庫県出身、浅草在住。一児の母。主に食や体のことなど、生活にまつわる地に足のついた企画を、雑誌や書籍、WEBメディアなどで編集・執筆する

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