面倒でも食べなきゃいけない毎日の料理は、おいしくて「時短」がいい
null「料理には“趣味の料理”と“毎日の料理”があると思うんです」という、もあいかすみさんが提案するのはあくまでも「毎日の料理」。だからこそ、誰もが苦なく作れるよう「時短」を意識しているそうです。
「私はもともと食べるのが好きで、栄養を学べる大学に通い、食品開発の仕事をしていました。だから料理は好きだけど、同じくらい眠ることも好きで、毎日9時間は寝たい(笑)。
でも、会社員のころは片道1時間もかけて通勤していたので、料理にかけられる時間は限られていました。ただ、お金もそんなになかったし、出来合いより自分で作りたい。とはいえ手間をかけるのはしんどいし、なにより『作りたい』って思ったときが食べたい気持ちも一番強いので、時間がかかる料理は待てないんです。
だから毎日の料理は、手間は抜いても手は抜かない“時短”を大切にするようになりました」(以下、「」内もあいかすみさん)
また、「極度の面倒くさがり」とも。レシピを考えるときは、「洗い物を増やしたくない」「調味料をたくさん揃えたくない」など、自身が「面倒」と感じる工程をカット。ただし、おいしさを左右するポイントはおさえて、料理初心者にも作りやすくアレンジします。
「誰かの日常に寄り添うレシピにしたいから、特殊なことはしない。その分なるべく簡単にしています」
「時短」できる「調理道具」で手間ひまをカット
nullもあいさん曰く、“時短”に役立つ調理道具は面倒な手間も省いてくれるそうです。
その代表が「電子レンジ」。自動で加熱調理してくれるから、火加減を気にすることもなく、暑さが厳しい夏場にもありがたい存在ですよね。
「下ゆで、蒸し料理、簡単な煮込みなど、私はもはや使わない日はないというレベルで活躍しています。鍋やフライパンなどの洗い物も減るし、加熱中に目が離せるからお子さんのいる家庭でも便利ですよね。電子レンジで加熱している間に、サラダや簡単な和物など、もう1品作ったりもできます」
毎日活躍!3つの調理道具
もあいさんの毎日の料理に欠かせない調理道具はこちら。
1:お肉も野菜もお任せ「キッチンバサミ」
「大根やにんじんなど、硬い野菜以外のななめ切りにはキッチンバサミを活用しています。まな板を洗う手間もなくなり、鍋やフライパンの上でカットしてそのまま料理できるから便利。
ただ、みじん切りとか、切る量が増えてきたりとかすると、包丁とまな板のほうが速い場合もあるんですが……。一人分などちょっとした量なら、キッチンバサミでパパッとすませます」
2:手も道具も汚さずにすむ「ポリ袋」
「私が使っているのは、冷凍保存にも使用できるポリ袋です。食材の保存はもちろん、調味料と食材を入れて混ぜるボウルのように使うことも。手も道具も汚れないので、洗い物が減ります」
3:電子レンジと合わせて使う「耐熱ボウル」「耐熱素材のお皿」
「お鍋を洗ったりお湯を沸かしたりするのが面倒なので、下ゆでは電子レンジ。それに欠かせないのが耐熱ボウルです。
私が愛用しているのは『iwaki』のボウル。900mlと1.5L。900mlは副菜を作るのに便利で、1.5Lのものは煮物の電子レンジ調理にも使います。どちらも2人暮らしに便利なサイズなので、大人数の料理をする場合は、もう一回り大きいものがいいと思います」
「電子レンジで加熱して、そのままテーブルに出せる耐熱素材のお皿もあると重宝しますよ。調理道具と食べる道具を兼任することで、洗い物を減らします」
【レシピ】レンチン&便利道具で「主役レシピ」
null電子レンジと先ほどご紹介した調理道具があれば、15分ほどで今夜の主役ができあがり!
「食材もリーズナブルで、身近なものばかりです」
材料4つ!? だしが決め手のチキンキーマカレー
食材と調味料を全て入れたら電子レンジで加熱するだけ。だしの風味がいきた優しい味わいで、お子さんから大人まで誰もが笑顔になるカレーのできあがり。
〈材料(2人分)〉
- 鶏ひき肉・・・160g
- 玉ねぎ・・・1/4個
- ごはん・・・2杯分
- 温泉卵・・・2個
A:
- ほんだし・・・小さじ2
- ケチャップ・・・大さじ2
- カレー粉・・・大さじ2
- はちみつ・・・大さじ1
- おろしにんにく・・・小さじ1
- 塩・・・ひとつまみ
- 水・・・130ml
- パセリ・・・お好みで
〈作り方〉
- 玉ねぎはみじん切りにする。
- 耐熱ガラスボウルに1、ひき肉、Aを入れてよく混ぜる。
- ふんわりラップをして電子レンジ600Wで6分加熱したら、取り出して混ぜる。
- ごはんに3を盛り付け、温泉卵、パセリをのせる。
レンジで地味ウマ! 豚ともやしのレモン重ね蒸し
「お肉は、レンチンしても硬くなりにくい豚バラ肉がおすすめ」
もやしにお肉の脂がからんで、食べ応えもあります。コショウが程よいアクセントになり、レモン汁で後味はさっぱり。
〈材料(2人分)〉
- 豚バラ肉・・・100g
- もやし・・・1袋
- レモン・・・1/2個
- 青ネギ・・・少々
A:
- コンソメ・・・小さじ1
- 塩コショウ・・・小さじ1/2
〈作り方〉
- 耐熱皿に、もやし、豚肉、Aを重ねる(全ての材料の半量をまず重ね、残りもう半分を重ねる)。
- ふんわりラップをして電子レンジ600Wで5分加熱する。
- レモン汁をかけ、青ネギをのせる。
全人類の味方を上手に使って人生を有意義に
null「時短できる調理道具は、全人類の味方だと思います。
毎日の料理は、苦手とか忙しいとかいろいろな理由から『料理したくないけど、作らなきゃいけない』って、義務感で頑張っている人も結構いると思うんです。そういう人たちにとったら、なるべく早く、手間をかけずに料理を終わらせたいはず。
それなら便利な調理道具にたよって、早く終わらせればいい。そして、残りの時間を自分の人生に使えたらしあわせですよね」
料理が苦手な人でも失敗しづらく、忙しい人も時短になる。時短できる調理道具はもちろん、もあいさんが発信する簡単レシピも全人類の味方です!
撮影/小倉雄一郎(小学館)
【教えてくれた人】
もあいかすみさん
料理研究家・管理栄養士。栄養系の大学を卒業後、食品メーカーに就職。全国チェーンのレストランや量販店など、幅広い業態のメニュー開発を手がけた後、食品領域の広告プランナーとして勤務。忙しく働きながら自炊してきた経験と、管理栄養士の資格を生かして、料理研究家として独立。Instagramで紹介している“働く女性の為の簡単時短レシピ”が大好評。キッチンブランド「moai」もプロデュースする。
朝ランが日課の編集者・ライター、女児の母。目標は「走れるおばあちゃん」。料理・暮らし・アウトドアなどの企画を編集・執筆しています。インスタグラム→@yuknote