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「その水やり、間違ってます!」ベランダ菜園で野菜がスクスク育つ秘訣をプロに聞いたら、目から鱗が落ちた

さんさんと注ぐ日差しが気持ちいい5月は、夏野菜を植え始めるベストタイミングです。物価高のいま、家庭菜園で野菜がつくれたら家計も助かりますよね。

「コツさえおさえれば、園芸初心者でもちゃんと収穫が期待できます」とは、園芸歴20年、培養土メーカーで直営ガーデンセンターも運営している『プロトリーフ』の佐藤健太さん。なんて頼もしい! 佐藤さんサポートのもと、さっそく苗や道具を買いに走れ〜!……と思いきや? 

野菜は「土」「太陽」「水」の3つが育ててくれる

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“植物が喜ぶ”を大切にする「プロトリーフ」の佐藤健太さんは、園芸高校卒業後、この道へ。

そもそも、どのような野菜も果実も、育つには「土」「太陽」「水」が必須。どれか一つが足りなくてもうまく育たない、と佐藤さん。

「ちょっとお勉強のようですが、まずはこの3つの役目を知っておくことが、よりたくさん収穫できる家庭菜園の第一歩です」(以下「」内、佐藤健太さん)

上手に育てたいなら、知っておくべき基本のき

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根をはる「土」は、フカフカなものを1苗あたり10〜15L用意する

育てたい品種、鉢のサイズに合わせて土を用意しましょう。

大前提として、野菜や果実=地面(畑)で育つもの。つまり、植える土壌が広いと根がしっかりはれるため、広いほど収量も増えるそうです。

「狭い土壌や小さな鉢でも一応育ちますが、収穫はあまり期待できません。ベランダ菜園の場合、どのような種類でも1苗あたり、土は10〜15L用意しましょう。鉢の大きさでいうと8〜10号です」

また、よい土の証はフカフカなこと。

「里山に行ったことがある方なら、イメージしやすいかもしれません。落葉が微生物などの力で自然に還った土はフカフカしています。これは、栄養たっぷりで、空気の通りがよく、水もち・水はけ・肥もちもよい土の証。フカフカなほうが根も伸びやすいんです。ホームセンターや園芸店で見かける、野菜や花用の培養土を選んでください。

一方で、栄養不足で痩せてしまった土はカチカチになります。これでは根がはれないので、新しい土に入れ替えましょう」

光合成に欠かせない「太陽」は、1日5時間以上あてる

「園芸を楽しいと感じる方が一人でも増えて欲しい!」と佐藤さん。

日照時間と日照量も、収穫量に比例するそうです。

「太陽不足だと、味が落ちる場合もあります。日光にあたっている時間は長ければ長いほどよく、少なくとも5時間はあててあげましょう」

ちなみに、近年の酷暑も心配……太陽にあて続けて大丈夫ですか?

「暑い日も、水さえしっかり与えていれば大丈夫です。むしろ暑すぎると、水不足のほうが問題です」

1日2回、様子を見ながらたっぷりと「水」をあげる

土の表面と苗の様子を見てから水をあげましょう。

野菜たちが、真夏を乗り切るためにも大切な水やり。基本は、1日2回。土の表面が乾いたら、鉢底から水が出てくるまでたっぷりと。このとき、いくつか気を付けるポイントがあります。

1.必ず鉢(土の表面と苗)の様子を見る

「たとえば雨の日で土の表面が乾いていないのなら、やらなくてもいいです。欲しがっていないのにあげすぎると、根腐れの原因になりますよ」

2.水をあげるのは朝夕

「苗のときは1日1回、できれば朝に。遅くとも午前中にはあげてください。そこから収穫時期に入ると、どんどん水を欲しがります。そうなったら1日2回、朝夕に水をあげましょう。どうしても難しいときは朝1回、たっぷりあげてくださいね」

3.土全体が湿るように水やりをする

「一度にあげる水が少なすぎるのもよくありません。というのも根も呼吸するので、土の中に酸素が必要です。鉢の底から水が抜けるまで、土全体が湿るように水やりをすることで、土中の空気を入れ替えることができます」

4.枝葉にはなるべく水をかけない

「植え付けた直後は、幹の根本(株元)を中心に。それ以降は、土全体に満遍なくかけてください。

このとき、雨が降るように枝葉全体にかけると、とくにバジルやシソなどの葉野菜は水の重さで倒れたり葉が重なったりしてしまいます。すると土がついたり、葉どうしが重なったままになってしまうので、腐って傷んでしまう原因になります」

真夏や1泊2日で旅行などの緊急対策として、受け皿に水を張っておくのもアリ!

5.真夏や不在時の対策「腰水(こしみず)」

実は、編集部スタッフが陥っていた間違いが「腰水(こしみず)」のやり方。これはあくまでも緊急時の対策なのだとか。

「とくに真夏、11回しか水やりができない。出張や旅行で1日不在にする、などといった場合は、“腰水(こしみず)”をしましょう。これは、深めの受け皿に水を溜め、鉢をつけておく方法です。ただしあくまでも非常時の備え。ずっと腰水をしていると、根腐れの原因になります」

野菜や果物も生きています

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ベランダ菜園で失敗せず、スクスク育てるために知っておきたい「土」「太陽」「水」のこと。基本的なこととはいえ、筆者は知らず知らずに間違えていた!なんてことがたくさん。目から鱗がボロボロと落ちました。

次回は、始めるにあたり必ずそろえるものを教えていただきます。

撮影/田中麻以(小学館)

【取材協力】
プロトリーフ

ニイミユカ
ニイミユカ

朝ランが日課の編集者・ライター、女児の母。目標は「走れるおばあちゃん」。料理・暮らし・アウトドアなどの企画を編集・執筆しています。インスタグラム→@yuknote

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