里芋に含まれる栄養素解説
null食物繊維やカリウムをたっぷり含む健康野菜
煮ても、焼いてもおいしい里芋。意外に思われるかもしれませんが、食物繊維やカリウムが豊富な野菜です。里芋100gあたりの食物繊維は2.3g、カリウムは640mg。ちなみに同じ芋類のさつまいもに含まれる食物繊維は2.8g、カリウムが380mgです。
食物繊維は便秘の予防をはじめとする整腸作用だけでなく、血糖値上昇の抑制や血液中のコレステロールの低下など体にとって大事な働きをする栄養素です。カリウムはナトリウムを身体の外に出すのを助ける働きがあるため、塩分の摂り過ぎの調節に役立ちます。
ダイエット中に気になるカロリーや糖質は?
ダイエット中は「芋類はカロリーが高いのかな?」と気になります。里芋は100gあたり58kcal、同じ芋類で比較するとじゃがいもは70kcal、さつまいもは140kcal、長芋は65kcal。里芋のカロリーは低めと言えます。
糖質を比較すると100gあたり里芋は10.8g、じゃがいもは3.1g、さつまいもは15.2g、長芋は6.5g、ごはんは35.6g。じゃがいもは芋類の中でも糖質が低い食品なのでそれよりは高いですが、さつまいもに比べれば低いといったところ。糖質が多い食品は避けるという人も多いですが、糖質はエネルギー源として体に必要な栄養素。バランスよく取り入れて、上手に活用しましょう。
里芋の特有のぬめりは水に溶ける水溶性食物繊維であるガラクタンです。実は、水溶性食物繊維はコンビニやスーパーで見かける「脂肪をつきにくくする」と表記されているトクホマークのお茶に入っている成分。水溶性食物繊維は食後の血糖値の急激な上昇を抑え、脂肪をつきにくくする効果が期待できるので、ダイエット中の食事にもおすすめです!
これならできる!里芋の下処理方法
nullヌルヌルしない!簡単皮むきのワザ
ヌルヌルな里芋の皮むきは手が滑ってしまって困ったことはありませんか? 里芋の皮をツルッとむく簡単ワザがあるんです!
加熱前に包丁で里芋のまわりをグルッと一周、浅く切れ目を入れます。跡をつけるように里芋の皮だけに切れ目を入れるようにしてくださいね。
切れ目を入れた里芋を水から茹でて、温かいうちにふきんで里芋の両端を押し出すようにするだけです。
ツルッと気持ちよく里芋の皮がむけます。冷めるとむきにくくなるので、やけどに注意しながら温かいうちにむきましょう。
生の里芋をむく場合は、里芋に含まれるシュウ酸カルシウムの作用で手が痒くなることがあります。手が痒くなってしまう方は、痒みの原因であるシュウ酸カルシウムは酸で分解されるので、レモン汁や酢を水で薄めて洗い流してむくようにしてください。
ぬめりを減らしてから調理したい場合は下茹でを
里芋は、下茹ですることによってぬめりを和らげることができます。ぬめりがあるまま煮物にすると煮汁が白濁したり、味の染み込みが悪くなりますが、下茹ですることによってよりおいしく、美しく仕上げることができます。
ぬめりを取り除くには、加熱する前に皮をむき、里芋に塩をまぶしてして少し手でもむようにします。塩の作用でぬめりや汚れが取れるので、そのあと水に入れて火にかけます。沸騰してから2-3分ほど茹でたら流水で洗います。
一方でみそ汁や炒め物、グラタンなどはぬめりの気にならない料理なので、下茹でなしで大丈夫。料理に合わせて下茹でするかどうかを決めてくださいね。
レンジ調理ならさらに手軽に下処理完了!
里芋は電子レンジ調理もできます! よく洗った里芋に、包丁でぐるっと一周浅く切れ目を入れます。耐熱皿に里芋を入れ、水を少量かけてふんわりとラップをし、里芋5個に対して600Wで5分ほど加熱。水をかけることによって火の通りがよくなります。
あとは茹でた時と同様に、ふきんで包んで皮をむきます。切れ目を入れるのをお忘れなく!
このように、里芋の皮むきと下茹では電子レンジでもができますが、ぬめりの成分は取り除けないので、煮物などにする場合は茹でる方がおすすめです。電子レンジで下茹でした里芋は、炒め物などのぬめりが気にならない料理に活用してください。
里芋の上手な保存方法
null切ったら緑や赤に変色、食べても大丈夫?
里芋を切ると、中にこんなぽつぽつが見られることがあります。里芋の赤色や緑色に変色した部分は色素成分であるアントシアニンの変化によるものです。ポリフェノールの一種であるアントシアニンは酸性、アルカリ性などの環境変化で色が変化するため、緑色や赤色になります。
アントシアニンはブルーベリーや紫芋にも含まれる成分で、もちろん食べても問題はありません。ただし、変色しているということは酸化が進んでいるというサインなので、早めに食べるようにしましょう。
里芋の保存は常温or野菜室?
里芋は涼しい場所であれば常温保存ができます。購入した際ビニール袋に入っていた場合は、キッチンペーパーか新聞紙で包み、風通しのいいところで保存します。
また、暑い季節は野菜室で保存するのがおすすめ。その場合はキッチンペーパーまたは新聞紙で包み、ビニール袋に入れて野菜室へ。包んでいる紙が湿ってきた場合は取り替えるようにしましょう。
泥がついた里芋であっても、保存のときは洗わずに保存が正解です。洗うとカビやすくなるので、洗った里芋はなるべく早めに使いきるようにしてくださいね。
まとめて下処理し、冷凍しておけばすぐに食べられる!
里芋の下処理はまとめてしたいけど使うときは少量ずつがいい! そんなときは冷凍保存がおすすめです。生のままでも、下茹でしたものでも冷凍保存が可能です。どちらで冷凍する場合でも皮を剥いてから保存袋に入れて冷凍しましょう。
解凍は電子レンジでもできますが、凍ったまま調理もできます。煮物などに使う場合は、凍ったまま一度茹でこぼすとぬめりが取り除けます。
撮影/田中 麻以(小学館)
【参考】
・文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
・厚生労働省「e-ヘルスネット」食物繊維の必要性と健康
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」カリウム
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-005.html
・JAグループ「とれたて大百科」サトイモ
https://life.ja-group.jp/food/shun/detail?id=3
・JA東京おおば「農産物詳細」
https://www.ja-tokyoaoba.or.jp/products/vegetable.php
・「新・野菜の便利帳」板木利隆監修 高橋書店
(すべて最終参照日 2020/09/18)