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「ゴーヤー」の豊富な栄養、保存方法、苦みをおさえておいしく食べる方法まで徹底解説【管理栄養士監修】

独特の苦みがクセになるゴーヤー。特徴的なイボイボの中には暑い夏を乗り切るために必要な栄養素がたっぷり詰まっています。栄養についての知識に加え、苦みが出にくいように調理する方法、上手な保存方法まで。ゴーヤーのパワーを味方につける知識を、管理栄養士の中村りえさんがじっくり解説します!

ゴーヤーには夏を元気に乗り切るための栄養がたっぷり

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紫外線が強い季節に摂りたいビタミンCが豊富!

夏になると食べたくなるゴーヤーは実はビタミンCを多く含んでいる食材です。ちなみに、ビタミンCの1日の推奨量は100mg。ビタミンCが豊富なイメージのレモンには、100gに100mgのビタミンC(レモン果実全体での数値)が含まれていますが、レモン100gはおよそレモン1と1/4個分。これを実際に食べるのは難しいですよね。

でも、ゴーヤー1/2本で摂取できるビタミンC量は76mg。ゴーヤーなら1/2本程度で1日に必要なビタミンCの70%以上を摂ることができます! ぜひ、夏野菜のゴーヤーでビタミンCを効率的に摂取してくださいね。

ビタミンCはコラーゲン生成に関わる栄養素であり、体内に発生した過剰な活性酸素が細胞を傷つけるのを防ぐ役割があります。紫外線によっても活性酸素は増加するので、夏にぜひしっかり摂りたい栄養素です。

またビタミンCは抗ストレスホルモンと言われる副腎皮質ホルモンの合成に関わっており、ストレスが強い環境下ではより多くの量が必要になります。

ゴーヤーを食べることで期待できる、体にうれしい効果

ゴーヤーが苦いのは、モモルデシンという成分が含まれているため。この苦味成分が胃腸を刺激して、食欲を増進します。夏バテしがちな時期にはうれしい効果です。またモモルデシンには血糖値の上昇を抑える効果があるとの研究結果もあります。

100gあたり食物繊維を2.1g含んでいるゴーヤー。食物繊維は日本人にとって不足しがちな栄養素。食物繊維は腸内環境を整えるだけでなく、脂質と糖の吸収を抑える働きがあります。便秘予防だけでなく、血糖値やコレステロールの値が気になる方にも積極的に摂ってほしい栄養素です。

ゴーヤーは、DNA合成に関係する葉酸を含んでいます。妊娠中の女性はより多くの葉酸が必要ですが、年代に関係なく必要な栄養素です。不足すると貧血の原因にもなります。

ゴーヤーをおいしく食べる下処理方法を解説!

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苦みを減らして食べやすくするワザ

ゴーヤーはその苦さがおいしさの大切な要素ですが、苦みが苦手という方もいるでしょう。下処理次第でゴーヤーの苦みは変わります。

ゴーヤーを食べやすくするひとつの方法が塩もみ。薄切りにしたゴーヤーに塩を振って、10分ほど置いてから軽く絞ると苦みが和らぎます。下茹でしたり、水にさらすとゴーヤーに含まれるビタミンCが流れてしまうので、できれば下茹では避けたほうがベター。

それでも苦みが残って苦手という方は、塩もみするときに砂糖も小さじ1/2程度加えて、10分ほどおいて、沸騰したお湯でさっと下茹でをするとさらに効果的。下茹ではできるだけ短時間にするのがよいでしょう。

ゴーヤーをおいしく食べる切り方&ワタの活用方法

サラダやチャンプルーに使われる半分の輪切り。端を除いて、長さを半分に切ってからゴーヤーを立てて、縦に半分に切るとゴーヤーを潰さずに切ることができます。

スプーンで種とワタを除いてから、用途に合わせた厚みに薄切りにしていきます。

実は、ゴーヤーのワタにもビタミンCが含まれており、食べることができます。くり抜いたワタに卵を絡めてフライパンで焼けば、立派な1品に。手軽に使うのであれば、みそ汁の具として使って。ナスのような食感で苦みはなく、意外と食べやすいです。ゴーヤーが熟すと種が赤くなり硬さが増すので、使う場合は、種が白いものを使ってください。

ゴーヤーの天ぷら

ゴーヤーは輪切りでも、いろんなレシピに使えます。丸い形をそのまま使うとかわいい見た目に仕上がります。輪切りにする場合は、5㎜ほどの厚さにスライスしてからワタと種を除いてください。真ん中にお肉を詰めて焼くとゴーヤの肉詰めとしても楽しむことができます。また、輪切りにしたものは、天ぷらやゴーヤーチップスなどに使えます。

鮮度をキープするゴーヤーの保存方法

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夏野菜であるゴーヤーは冷蔵庫で保存すると低温障害を起こすため、野菜室での保存がおすすめ。そして、ゴーヤーはワタと種が熟すと傷む原因になるので、丸ごとよりもワタと種を除いてから保存したほうが長持ちします。

種とワタをきれいに取り除き、ゴーヤーをキッチンペーパーで包み、保存袋に入れると1週間程度保存が可能です。すぐ食べる場合はゴーヤーを丸ごと保存すればいいですが、数日置く場合はこのひと手間をかけるのがおすすめです。

2日以内に使い切る場合は、カットしなければ常温でも保存ができます。ただし、温度が高い場合はゴーヤーが熟して傷みやすくなるので野菜室がおすすめです。

長く楽しむなら冷凍保存がおすすめ

ゴーヤーを冷凍すると1カ月ほど保存ができます。冷凍する場合は、ワタと種を除いて、好みの厚さにスライスして、塩を振って苦みをとる下処理をしてから保存袋へ。かたまりにならないように平らにならすことをお忘れなく。苦味が気になる方は茹でてから保存してもOKです。茹でる場合は、解凍するときに調理することを考慮して、短時間にしましょう。

スライスしてあるとすぐに火が通るので、調理する場合は解凍せずにそのまま調理できます。

撮影/田中麻以(小学館)

 

【参考】

文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)追補2019年」
・厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020年版」各論 脂溶性ビタミン
・厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020年版」各論 水溶性ビタミン
・厚生労働省「e-ヘルスネット」抗酸化ビタミン
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-008.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」活性酸素と酸化ストレス
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-04-003.html
・厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
Nafisa P C Fernandes. An Experimental Evaluation of the Antidiabetic and Antilipidemic Properties of a Standardized Momordica Charantia Fruit Extract. 2007 Sep 24
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/?term=Fernandes+NP&cauthor_id=17892543
・カゴメ「野菜を選ぶ・保存する」
https://www.kagome.co.jp/vegeday/store/201707/6805/
・「新・野菜の便利帳」板木利隆監修 高橋書店
・「その調理、9割の栄養捨ててます!」東京慈恵会医科大学附属病院 栄養部監修 世界文化社

すべて最終参照日 2020/06/08)

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