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「ピーマン」にはビタミンたっぷり!栄養・苦くない切り方から保存方法まで徹底解説【管理栄養士監修】

ツヤツヤ緑は栄養たっぷりの証拠! 苦みと独特の風味がおいしいピーマンは子どもが苦手な野菜に常にランクインしていますが、苦みを感じにくくする切り方もあるんです! そのほかにもおいしく食べるための上手な保存方法などを、管理栄養士の中村りえさんに教えてもらいました。

ピーマンの鮮やかなグリーンは栄養のかたまり!

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ビタミンCが豊富!その効能は?

ピーマンとビタミンCはあまり結びつかないかもしれませんが、実はピーマンはビタミンCが豊富な野菜。ピーマン100gに対して、ビタミンCは76㎎、同量のトマトは15㎎、きゅうりは14㎎とトマトの約5倍のビタミンCが。

ビタミンCはコラーゲンの合成に使われるビタミンで、皮膚の健康維持に関係する栄養素です。また抗酸化ビタミンでもあり、体をさびつかせる余分な活性酸素から細胞を守る働きがあります。過剰な活性酸素は老化、免疫力低下の原因となりますが、抗酸化ビタミンは過剰な活性酸素を体内から除去する役割があります。抗酸化ビタミンは肌の老化を防ぐビタミンとも呼ばれます。

ビタミンCのほかにも、肌や髪の健康に関係するβ-カロテン、タンパク質の代謝に関係するビタミンB6も豊富に含んでいます。

色によって栄養成分に違いはある?

赤ピーマンは緑ピーマンが完熟したもので、栄養価が緑の物よりもアップします。100g中のビタミンCは、緑ピーマンは76㎎、赤ピーマンは170㎎! 赤ピーマンのほうが約2.2倍も多くなります。100gあたりのβ-カロテン量も、緑ピーマンは400μg、赤ピーマンは940μgと約2.4倍。

赤ピーマンは完熟して栄養価が高くなるだけでなく、苦みが消えて甘みが出るので、ピーマンの苦みが苦手な方にもおすすめです。赤ピーマン以外にも、黄色、オレンジ色、白色、紫色など品種の違いによってさまざまな色があります。

パプリカは、大型ピーマンの品種です。緑ピーマンは1個おおよそ35gに対して、パプリカは1個おおよそ150gと大きさが違います。色ごとに栄養面を比較すると、ビタミンC、β-カロテンともに黄色パプリカより赤パプリカのほうが多く含まれています。

料理に合わせて選ぶ、ピーマンの上手な切り方

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種が飛び散らないように切るには?

粒が細かくてきれいに取り除くのが案外大変なピーマンの種。種はヘタにくっついているので、縦半分に切ってから、ヘタを上下に動かすようにしてヘタを取ると種も一緒に取り除くことができます。

輪切りで使いたい場合は、ヘタの部分をぎゅっと指で押し込んでからひねると、ヘタと一緒に種を取り除くことができます。

中に種が残ってしまっても、ピーマンをひっくり返して、後ろから軽くたたくと種を取り除くことができます。

また、小さめのナイフを手に持って実の部分をそぐように切り取っていくと、最後に種とヘタの部分だけが残ります。

切った部分は炒め物などにそのまま使ったり、さらに縦に細切りにしたりして使います。

ピーマンの切り方によって種の取り方も変えてみてくださいね。

種にも栄養あります!調理法によっては種つきのままで

ピーマンを半分に切ったときに見える白いフワフワの部分をワタと呼びますが、このワタや種は取り除いて使うものだと思っていませんか? 実はこのワタや種にはピラジンという栄養が含まれており、血液をサラサラにして、血栓を予防する効果が期待できるんです。

ピーマンの肉詰めにするときは、ワタがあると肉がはがれにくくなるので一石二鳥。じっくり加熱すると種やワタの食感が気にならなくなるので、一度試してみてくださいね。

切り方によって味が変わるって本当?

切り方でも味わいが変わるのがピーマンの面白いところ。

繊維を断って切る輪切りは苦みをより感じやすくなる切り方です。縦切りにした方が苦みや青臭さを和らげることができます。ピーマンが苦手なお子さんには縦に切ってから調理するほうが食べやすくなるかもしれません。

また縦に切ったピーマンは繊維がしっかりしているため、炒めてもシャキッとした食感が楽しめ、ビタミンCの流失が少ないというのも覚えておいてくださいね。

熱に弱いビタミンCですが、ピーマンはビタミンCを熱から守るビタミンPを含むため、熱による損出が少ないんです。炒め物にもどんどん使ってたくさん食べましょう。

ピーマンの上手な保存方法

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ちょっとの工夫で日持ちが違う!冷蔵庫での保存方法

 保存方法によって日持ちが大きく変わるピーマン。鮮度とおいしさをキープするためには、ピーマンの表面の水気をよく拭きとって、1個ずつキッチンペーパーや新聞紙に包んでから保存袋に入れて、冷蔵庫の野菜室へ。

カットしたものは傷みやすいので、ラップに包んで冷蔵庫で保存し、早めに使い切ってくださいね。

ピーマンは冷凍保存もできます!

ピーマンは冷凍保存ができます。洗ってからヘタと種を取り除き、キッチンペーパーで水気をよく拭きとり、重ならないように保存袋に入れて冷凍庫へ。1か月以内に使い切ります。細切り、輪切りなど用途に合わせて数種類作っておくと便利です。

冷凍したピーマンを使うときは、凍ったままの状態で加熱調理できます。電子レンジでの調理も可能です。冷凍したピーマンが大きければ、凍った状態のものを手でポキッと折って炒め物などに入れてもOKです。

撮影/田中麻衣(小学館)

 

【参考文献】

・文部科学省「日本食品標準成分表2015年版(七訂)」
・厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020年版」各論 脂溶性ビタミン
・厚生労働省「日本人の食事摂取基準2020年版」各論 水溶性ビタミン
・厚生労働省「e-ヘルスネット」抗酸化ビタミン
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-008.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」活性酸素と酸化ストレス
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-04-003.html
・JA「とれたて大百科」ピーマン
https://life.ja-group.jp/food/shun/detail?id=12
・農林水産省「消費者の部屋」最近パプリカを店頭でよく見かけますが、ピーマンとは違うのですか。
https://www.maff.go.jp/j/heya/sodan/1908/02.html
・独立行政法人農畜産業振興機構「今月の野菜 ピーマン」
https://vegetable.alic.go.jp/yasaijoho/yasai/1010/yasai1.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」カロテノイド
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-007.html
・「新・野菜の便利帳」板木利隆監修 高橋書店
・「その調理、9割の栄養捨ててます!」東京慈恵会医科大学附属病院 栄養部監修 株式会社世界文化社

(すべて最終参照日2020/05/24)

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