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子ども、老親を扶養するときの「扶養控除」について知ろう【働く主婦が知っておきたいお金の知識3】

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扶養する家族がいる場合に受けられる所得控除には「配偶者控除」と、そのほかの家族を養うための「扶養控除」があります。今回は、そのうちの「扶養控除」について解説します。子どもがアルバイトをする際や老親を扶養に加えて節税対策をする際などに関わってくるので、配偶者控除とあわせて覚えておきましょう。社会保険労務士の井戸美枝さん監修、お金の知識シリーズです。

扶養控除の基礎知識~仕組みから控除額まで~

扶養親族がいる場合に受けられる「扶養控除」

「扶養控除」とは、納税者に所得税法上の控除対象扶養親族がいる場合、一定の金額の所得控除が受けられる制度です。扶養親族とは、その年の12月31日時点で、以下のすべての要件に当てはまる人を指します(一緒に暮らしていても、内縁関係にある者は該当しません)。

扶養親族の要件は?

  • 配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族)、または都道府県知事から養育を委託された児童(いわゆる里子)や、市町村長から養護を委託された老人。
  • 納税者と生計を一にしている。
  • 年間の合計所得金額が48万円以下(令和元年分以前は38万円以下。給与のみの場合は給与収入が103万円以下)。
  • 青色申告者の事業専従者として、その年を通じて一度も給与の支払いを受けていない。または白色申告者の事業専従者ではない。

控除対象扶養親族とは?

上の4条件に当てはまる扶養親族で、その年の12月31日現在の年齢が16歳以上である人をいいます。

別居している家族も扶養控除の対象にできる

では、控除対象扶養親族について、もう少し詳しく解説します。実は「生計を一」にしていれば、地方に住む両親や一人暮らしをする子どもなど、国内で別居している親族を扶養控除の対象にすることもできます。

ただし、定期的に生活費や療養費等の送金が行われているなど、「生計を一」にしていることを証明する必要があります。法令として証拠書類を提出しなければならないという義務はありませんが、振り込みの際の利用明細や現金書留の写しなどを証拠書類として提出するよう求められるケースもあります。いざ、提出を求められたときに証明できるよう、書類を保管しておくことをおすすめします。

海外で別居している家族も扶養控除の対象にできる

「生計を一」にしているが別居している親族が、留学などで日本国外で生活している場合も扶養控除の対象にできますが、手続きが少し異なります。

平成28年分から所得税の確定申告において、非居住者である親族(国外居住親族)にかかわる扶養控除、配偶者控除、障害者控除または配偶者特別控除の適用を受ける場合、親族関係書類および送金関係書類を確定申告書に添付するか、確定申告書の提出のときに提示しなければならなくなりました。

サラリーマンなど給与所得者は、年末調整の際、国外居住親族にかかわる「親族関係書類」や「送金関係書類」を源泉徴収義務者に提出するか、提示する必要があります。

「親族関係書類」とは、以下2つのいずれかの書類で、その国外居住親族がその納税者の親族であることを証明するものをさします。外国語で作成されている場合、その翻訳文も必要となります。

親族関係書類とは

  1. 戸籍の附票の写し、その他の国または地方公共団体が発行した書類および、その国外居住親族の旅券の写し
  2. 外国政府または外国の地方公共団体が発行した書類(その国外居住親族の氏名、生年月日、住所の記載があるもの)

一方、「送金関係書類」とは、その年における、以下の2つのいずれかの書類で、その国外居住親族の生活費または教育費に充てるための支払いを、必要の都度、各人に行ったことを明らかにするものをさします。「親族関係書類」同様、外国語で作成されている場合、その翻訳文も必要となります。

送金関係書類とは

  1. 金融機関の書類またはその写しで、その金融機関が行う為替取引により、その納税者から国外居住親族に支払いをしたことを明らかにする書類
  2. クレジットカード発行会社の書類またはその写しで、クレジットカード発行会社が交付したカードを提示して、国外居住親族が商品などを購入した等により、商品の購入代金に相当する額の金銭をその納税者から受領した、または受領したことになることを明らかにする書類

「生計を一」にしているものの別居している親族の場合、国内在住か海外在住かで証拠書類の提出について、若干ルールが違うので注意しましょう。

扶養控除の節税効果とは?親を扶養に加えるメリット

扶養控除は、扶養している親兄弟や子どもがアルバイトやパートをし、年間の合計所得金額が48万円以上になると(令和元年分以前は38万円以下で適用。給与のみの場合は給与収入が103万円以下)適用されなくなるので、それぞれがどれくらい稼ぐかを、家族で相談しておく必要があります。

また、仕事を引退した親を所得税法上の扶養に入れると節税になるので、夫婦二人暮らしの家庭や、節税したい家庭は、家族や親族と相談してみるのも手です。下記で詳述しますが、老親の方が控除額が大きいので、その分、節税効果も期待できます。

所得税法上の扶養に親を入れるときの手続きは簡単で、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」という書類に記入をして会社に提出するだけです。

用紙は会社の経理担当者からもらえます。「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」の提出時、扶養に入れる親の収入の状況が分かる課税証明書や非課税証明書、源泉徴収票、さらに、親族であると証明するための戸籍謄本や住民票などを提出するケースもあります。

これらに加え、別居している親の場合は、前述したとおり、「生計を一」にしていることがわかるよう、仕送り証明や仕送り額の確認ができるものも必要になってくる場合もあります。なお、これらの手続きは納税義務者が行うもので、親側の手続きはありません。

控除額は扶養親族の年齢、同居の有無で変わる

さて、気になる控除額ですが、これは、納税者の合計所得金額、および扶養親族の年齢、同居の有無などにより変わります。詳しくは、以下の表を参考にしてください。

※1 特定扶養親族とは、控除対象扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が19歳以上23歳未満の人をいいます。

※2 老人扶養親族とは、控除対象扶養親族のうち、その年12月31日現在の年齢が70歳以上の人をいいます。

※3 同居老親等とは、老人扶養親族のうち、納税者またはその配偶者の直系の尊属(父母・祖父母など)で、納税者又はその配偶者と普段同居している人をいいます。同居老親等の場合、病気の治療などで入院し、納税者等と長期間別居していても、同居に該当します。ただし、老人ホーム等へ入所している場合は、その老人ホームが居所となり、同居しているとはいえなくなりますのでご注意ください。

「扶養控除」を受けるための手続き

「扶養控除」を受けるためには、納税義務者が手続きを行う必要があります。サラリーマンなどの給与所得者の場合、年末調整の時期になると、勤務先から年末調整を行うための各種書類が配布されますが、このうち、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出する必要があります。

申告書には、対象となる親族の個人番号(マイナンバー)の記載が必要となります。あとは必要事項を記入するだけ。それらの情報が認められれば控除が受けられます。このとき、特に生年月日の記載を誤らないことが重要。これは、年齢によって扶養親族の区分や控除額が変わるからです。

申告したはずの控除が適用されていなかった場合は、訂正事項を勤務先担当者に伝えて年末調整の再調整(再年調)を依頼しましょう。また、年末調整後に控除対象となる親族が増えた場合も、再年調によって控除を受けられます。控除を適用されると節税になりますから、できるだけ申請することをおすすめします。

 

いかがでしたか? 家族や親族・配偶者を扶養すると、所得控除が適用され節税できます。配偶者が扶養を外れるほど稼いで控除が受けられなくても、老親を扶養に入れて節税する方法もあります。各ご家庭の働き方や家族構成を踏まえて、上手に活用しましょう。

 

文・構成/嶋田久美子


 

【取材協力・監修】

井戸美枝

CFP(R)、社会保険労務士、社会保障審議会企業年金・個人年金部会委員。

講演や執筆、テレビ、ラジオ出演などを通じ、生活に身近な経済問題をはじめ、年金・社会保障問題を専門とする。経済エッセイストとしても活動。「難しいことでもわかりやすく」をモットーに、数々の雑誌や新聞に連載をもつ。

近著に『届け出だけでもらえるお金』(プレジデント社)、『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください!』(日経BP社)など。

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