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まずは「配偶者控除」「配偶者特別控除」について知ろう!【働く主婦が知っておきたいお金の知識1】

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働く人に養う家族がいる場合、その分の負担を減らすために所得控除が受けられます。この所得控除には、配偶者を養うための控除と、そのほか家族を養うための控除などがありますが、今回は「配偶者控除」について2回に分けて解説します。主婦がパートをする際などに大きく関わってくるので、しっかりと覚えておきましょう。社会保険労務士監修の、お金の知識シリーズです。

「配偶者控除」の基礎知識~仕組みから控除額まで~

よく聞く「扶養」という言葉、実際はどういう意味なの?

扶養とは、未成年や老人、定職のない人など、自力での生活が難しい家族などを養い、面倒を見ることをいいます。その場合子どもや専業主婦といった扶養される人のことを「扶養家族(被扶養者)」といいます。

収入があって扶養家族をもつ人は、養うための負担を減らすため、所得税や社会保険(健康保険、公的年金など)で、課税所得の軽減や、家族分の保険料の負担がなくなる仕組みになっています。つまり、養う家族がいる分、税金や保険料がお得になるというわけです。

このような家族に関する所得控除には、配偶者が対象になる「配偶者控除」「配偶者特別控除」、そして、配偶者以外の親族(16才以上の子どもなど)が対象になる「扶養控除」などがあります。

簡単に言うと、主婦がパートなどで収入を得るときに夫の所得に関係するのが「配偶者控除」と「配偶者特別控除」で、子どもがアルバイトを始めた際に気を付けなければならないのが「扶養控除」です。

まずは「所得控除」について解説 

ここでまず、”所得控除とは何か”について、簡単に解説します。

会社からもらった給与や賞与、パートやアルバイトで得た給与を「収入(給与収入)」といいます。店などを経営し、そこから得た売上げも「収入(事業収入)」となります。

一方「所得」とは、「収入」から必要経費や所得控除などを引き、残った金額を指します。所得税や住民税の計算は、この「所得」(課税所得ともいう)をもとに算出します。

収入(給与収入・事業収入)-経費・所得控除=課税所得

「所得控除」とは、所得から一定の金額を差し引く制度のことです。所得税は課税所得金額にかかるため、課税所得金額が大きいほど税金も多くかかります。逆に課税所得金額が減れば所得税の金額も低くなる、というわけです。

では「配偶者控除」とはどんな制度? 

「配偶者控除」とは、納税者に所得税法上の控除対象配偶者がいる場合、一定の金額の所得控除が受けられる制度を言います。

ちなみに、控除対象配偶者とは、その年の12月31日の現況で、以下の4つの要件のすべてに当てはまる人をさします。

  1. 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません)
  2. 納税者と生計を一にしていること
  3. 年間の合計所得金額が48万円以下(令和元年分以前は38万円以下)であること(給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
  4. 青色申告者の事業専従者として、その年を通じて一度も給与の支払いを受けていないこと、または白色申告者の事業専従者でないこと

配偶者控除額は夫の所得額によって変わる!

気になるのが、控除の金額がいくらになるかですよね。これは、控除を受ける納税者本人の合計所得金額、および控除対象配偶者の年齢により変わってきます。

(参考)国税庁ホームページより

老人控除対象配偶者とは、控除対象配偶者のうち、その年12月31日現在の年齢が70才以上の人をいいます。なお、配偶者が障害者の場合、「配偶者控除」のほかに、障害者控除27万円(特別障害者の場合は40万円、同居特別障害者の場合は75万円)が控除されます。

平成30年分以後は、控除を受ける納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合、配偶者控除は受けられないので注意しましょう。

パートの給与収入を103万円以下に抑えれば、「配偶者控除」を受けられる

前述したように、配偶者に所得があっても、配偶者の年間の合計所得金額が48万円以下(令和元年分以前は38万円以下)であれば「配偶者控除」が受けられます。

給与収入-給与所得控除(55万円)=給与所得

 

【例】 給与収入が95万円の場合

給与収入(95万円)-給与所得控除(55万円)=給与所得(40万円)

令和2年分以降は、配偶者の年間の合計所得金額が48万円以下であれば「配偶者控除」の適用が受けられます。この例の場合は所得が40万円となるので、配偶者控除の対象になるということです。

つまり、その年分の給与収入が103万円以下であれば、給与所得控除額が55万円ですので、これを差し引くと、合計所得金額が48万円以下となり、「配偶者控除」が受けられることになります。

給与所得以外に、不動産所得や一時所得、譲渡所得などがある場合も、年間の合計所得金額が48万円以下(令和元年分以前は38万円以下)であれば、「配偶者控除」が受けられます。

 

ただし、非課税所得や、以下の1から5のような所得は、「配偶者控除」が受けられるかどうかを判定する場合の合計所得金額から除かれます。

  1. 特定公社債等の利子や上場株式等の配当、少額配当など確定申告不要制度の対象となるもので、確定申告をしないことを選択したもの
  2. 特定口座の源泉徴収選択口座内の株式等の譲渡による所得で、確定申告をしないことを選択したもの
  3. 源泉分離課税とされる預貯金や一般公社債等の利子など
  4. 源泉分離課税とされる抵当証券の利息や一時払養老保険(保険期間等が5年以下のものや保険期間等が5年超で5年以内に解約されたもののうち一定のもの)の差益などの金融類似商品の収益
  5. 源泉分離課税とされる一定の割引債の償還差益

103万円を超えてもあきらめない!「配偶者特別控除」とは?

「配偶者控除」の適用がない場合も、あきらめてはいけません。

納税者本人の合計所得金額が1,000万円以下であり、かつ、配偶者の合計所得金額が48万円超133万円以下(平成30年から令和元年分は38万円を超え123万円以下)の人については、「配偶者特別控除」の適用が受けられます。

「配偶者特別控除」とはつまり、配偶者の所得が配偶者控除の適用条件を超える場合、税負担を軽減するために設けられた緩和措置なのです。

「配偶者特別控除」の控除額は、控除を受ける納税者本人のその年における合計所得金額及び配偶者の合計所得金額に応じて以下の表のようになります。年によって額が違うので、間違えないようにしましょう。

(平成29年分以前)
(平成30年分・令和元年分)
(令和2年分以降)
(参考)いずれも国税庁ホームページ

令和2年の配偶者の所得が48万円を超える場合でも、133万円までは上記の表の通り、段階的に所得控除が設けられています。あきらめずに必ず申請をしましょう。

ただし、「配偶者特別控除」を受けるためには、以下の条件を満たしていないとなりません。

(1)控除を受ける納税者本人のその年における合計所得金額が1,000万円以下であること

(2)配偶者が、以下の要件すべてに当てはまること

  • 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません)
  • 控除を受ける人と生計を一にしていること
  • その年に青色申告者の事業専従者としての給与の支払を受けていないこと、または白色申告者の事業専従者でないこと
  • 年間の合計所得金額が48万円超133万円以下(平成30年分から令和元年分までは38万円を超え123万円以下)であること

    (3)配偶者が、「配偶者特別控除」を適用していないこと

     

    上記の(3)については、令和2年分以降は、さらに以下の通りとなります。

    • 配偶者が、給与所得者の扶養控除等申告書、または従たる給与についての扶養控除等申告書に記載された源泉控除対象配偶者がある居住者として、源泉徴収されていないこと(配偶者が年末調整や確定申告で「配偶者特別控除」の適用を受けなかった場合等を除きます)
    • 配偶者が、公的年金等の受給者の扶養親族等申告書に記載された源泉控除対象配偶者がある居住者として、源泉徴収されていないこと(配偶者が年末調整や確定申告で「配偶者特別控除」の適用を受けなかった場合等を除きます)。

     

    「配偶者控除」と「配偶者特別控除」は、平成30年度と令和2年度の税制改正の際に大きく変わり、配偶者の収入が増えても節税効果を得られる対象家庭が増えました。「配偶者控除」と「配偶者特別控除」の違いや各条件をきちんと知り、少しでも節税に役立てましょう。

     

    次回は、「配偶者控除」や「配偶者特別控除」を賢く活用するための“収入の境界線”と手続き方法について詳述します。

     

    文・構成/嶋田久美子

    【取材協力・監修】

    井戸美枝

    CFP(R)、社会保険労務士、社会保障審議会企業年金・個人年金部会委員。
    講演や執筆、テレビ、ラジオ出演などを通じ、生活に身近な経済問題をはじめ、年金・社会保障問題を専門とする。経済エッセイストとしても活動。「難しいことでもわかりやすく」をモットーに、数々の雑誌や新聞に連載をもつ。
    近著に『届け出だけでもらえるお金』(プレジデント社)、『一般論はもういいので、私の老後のお金「答え」をください!』(日経BP社)など。

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