「コンロを置かない・使わない」5つのメリット
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塩澤さんは10年以上にわたり、年間1,000人以上のお客様のキッチン用品の相談にのるプロフェッショナル。
「“コンロキャンセル”する若い世代が増えはじめたのは、今から3〜4年前でしょうか。当時はコロナ禍もあり、自炊する機会が多かったころ。その少し前から冷凍食品やレトルト食品もぐっと進化し、コンロを使わずとも“温めるだけでおいしい”への価値が高まっていきました」(以下「」内すべて、塩澤紀子さん)
曰く「調理家電や調理器具の進化には、冷凍食品やレトルト食品の進化も追い風になっている」という“コンロキャンセル”生活。そこには若い世代のみならず、老若男女全ての人に多くのメリットがある、と塩澤さんは続けます。
暑さからの解放
閉め切った夏場のキッチンは高温になりやすく、顔まわりは65度にまで達することもあるそうです。大袈裟でなく、熱中症の危険性も。
「ここ数年は酷暑もあり、夏場に火を使う調理は敬遠されがち。IHもガスほどではありませんが、加熱することで熱は発生します。“コンロキャンセル”調理を取り入れると、キッチンを快適な状態に保つことができますよ」
タイパがいい
電子レンジで温めるだけ、調理器具に入れてほったらかしておくだけなど、火を使わない調理は準備から片付けまでがスムーズ。
「火を使わない調理器具を上手に使えば、従来の料理よりも調理時間が短縮できます。その上、洗い物や掃除も最小限ですむので、時間も手間もかかりません」
スペパがいい
単身者や若い共働き世代、都心で暮らす方など、キッチンスペースが限られる場合は、コンロを置かない・使わないことで作業スペースが広がります。
「『TOWER』の『折り畳みガスコンロカバー』など、コンロに蓋をするようにのせ、作業台にできるアイテムもあります。また、そもそもキッチンにガスコンロを置かず、鍋料理を楽しみたい時だけ卓上コンロを使うという若い世代も増えています。
コンロを置くという従来の常識にとらわれないことで、限られた空間をストレスなく使うことができますよ」
安全
火元から離れて調理できるため、小さなお子さんがいる家庭や高齢者にも安心。
「ご年配で火を使うのが怖いという方や、ご家族が心配している場合も、安全においしく料理できます」
掃除が手軽
炒め物や揚げ物などを作ると、どうしても避けられないコンロ周辺の油はね。掃除するのが大変で、家で揚げ物はしないという方もいらっしゃるのでは?
「“コンロキャンセル”できる調理器具なら、道具を洗う手間自体はありますが、周囲を汚すことはありません」
“コンロキャンセル”できる調理アイテム
null料理=火で加熱して作る、という常識は、今や昔。今回は、電子レンジやオーブンでおいしい一品が作れる調理器具を、塩澤さんにセレクトしてもらいました。
「RANGEMATE PRO(レンジメート プロ)」9,900円(税込)

世界中で大ヒットしている、電子レンジで焼き目調理ができる電子レンジ専用の調理器具。
「お魚やお肉がふっくらジューシーに焼ける電子レンジ専用の調理器具です。とくに魚焼きグリルは掃除が大変という方が多いですが、これなら丸洗いできるので片付けも楽です」
使い方は、鉄板の上に魚や肉を置き、セラミック製の蓋をしてレンジアップするだけ。たとえば塩サバなら、600wで3分、ひっくり返してもう1分加熱すれば、おいしそうな焼き目がくっきり!
「一緒に野菜をグリルすれば立派な一品ができあがります。お肉やお魚を焼くだけでなく、冷めてしまった揚げ物も、サクサクに温め直せますよ」
『HARIO(ハリオ)』「ガラスのある生活 ガラスの丼鉢」3,850円(税込)

そのままテーブルに出しても美しい。
「耐熱ガラス製で、電子レンジ調理ができる、器であり調理器具にもなる丼鉢です。蒸し料理やスープなど、レシピはいろいろ。オフィシャルサイトでも紹介しています」
容量は600ml。ガラス素材は、においや色が移りにくく、油汚れが洗いやすいのも魅力です。
「調理から食卓までこれ一つで完結できるから、洗い物も減ります」
『365methods(サンロクゴ・メソッド)「ホーローオーブンディッシュ 浅型S」2,530円(税込)

グラタンやグリル野菜なら、1~2人分作れるサイズ感。
「ホーロー素材の容器は、保存容器としてはもちろん、蓋をはずせば直火にかけたりオーブン料理などもでき、調理器具にもなります。持ち手があるので使いやすく、見た目も可愛い。グラタンなどを焼いて、そのまま食卓に出してもいいですね」
ホーローはにおいや色移りもしづらく、酸や塩分にも強い素材。常備菜の保存をはじめ、ピクルスや糠漬けをつけるのにも活躍します。
酷暑も、忙しい日々も
null気象予報によると、この夏もかなり暑くなりそうです。また、“コンロキャンセル”調理器具は、手間ひまも省いてくれるから、忙しい現代人の味方にもなってくれるはず!
鍋やフライパンを温めることなく作れる、おいしい料理。しっかり食べて、心身ともに健やかに過ごしたいものですね。
撮影/横田紋子(小学館)
【取材協力】
ワイ・ヨット

朝ランが日課の編集者・ライター、女児の母。目標は「走れるおばあちゃん」。料理・暮らし・アウトドアなどの企画を編集・執筆しています。インスタグラム→@yuknote