火を使っても、使わなくても、和洋中いろいろ楽しめる
null「近頃では、オリーブオイルを洋食はもちろん、和食や中華にも使ったり、中には煮物や漬物、納豆などにかけて楽しむ方も増えています。熱に強いから、炒め物や揚げ物はもちろん、風味もよいのでサラダやカルパッチョなどにかけてもおいしく、塩やビネガーを合わせればドレッシングもつくれます。これ一本あれば、いろんなメニューをお楽しみいただけますよ」(以下「」内、笠本さん)
おお、それは心強い! ところで、サラダはもとより、煮物や漬物、納豆にも“かける”……とは!? 詳しく聞かせてください。
おいしさを味わう3つのコツ
nullまず、オリーブオイルの特徴の一つが果実由来のフルーティーな風味。『J-オイルミルズ』でも、契約農園の畑から採れるオリーブを使い、高い鮮度と、わずか0.3%という低い酸度(通常は0.8%以下)に徹底してこだわり、日本の食卓に合うオリーブオイルを目指し、フルーティーでクセのない風味に仕あげているそうです。
そのおいしさを堪能するコツは、次の3つ。
コツ1:直射日光を避け、しっかりフタを閉めて常温で保存する
「太陽光や空気にふれると酸化して味が落ちるので、直射日光のあたらない場所で保存してください。また、オリーブオイルは冷えると固まりやすいので、冷蔵庫は避けて、常温で保存するのがよいでしょう。
ただ、もしもキャンプのクーラーボックスや真冬の寒さなどで固まっても、溶ければ味に大きな変化はありませんので、ご心配なく」
コツ2:開封後は1〜1.5カ月で使い切る
「保存状態を守ったうえで、開封したらなるべく早く使い切るのがベストです。キャンプには、自宅で使っているものをそのまま持ってゆく方もいらっしゃるかもしれませんが、屋外では直射日光などの影響も受けやすくなります。使い切りやすい、容量の小さなものを持ってゆくのをおすすめします」
コツ3:仕上げに“かける”
世界で1,600種類以上もの品種があるオリーブの実から搾るオリーブオイルは、風味が様々。ワインのように、オリーブの品種や収穫時期などによって、香りや味わいが異なるそうです。
「その中でもエキストラバージンオリーブオイル(以下、EVオリーブオイル)は、搾ったままのオイルを、香り・味・酸度などのいくつかの項目で分析・評価し、認められたものだけに与えられる名前です。つまり、そのもののおいしさがしっかり味わえる。だから、炒め物や揚げ物に使うのはもちろん、シンプルに“かける”のもおすすめなんです」
ちなみに、オリーブオイルは加熱すると香りが少し飛ぶのだとか。だから、加熱する場合も仕上げに“追いオリーブオイル”をすると、もっと風味がよくなるそうです。
「温かい料理にかけると、オリーブオイルの香りがぱっと広がり、冷たい料理にかけるとコクがぐんと増します。またどちらも、味がまろやかになりますよ」
かけるだけの“追いオリーブオイル”をしてみよう
null「パンのバター代わりに」
「イタリアで、フォカッチャやバゲットなどのパンをオリーブオイルにひたして食べる、という食べ方があります。シンプルですが、おいしいオリーブオイルはそれだけでごちそう。パンと組み合わせれば立派なおつまみになります。パンはトーストしてもそのままでもOKです。お好みで塩もかけると、よいアクセントになりますよ。
キャンプなら、ホットサンドに応用するのが断然おすすめ。バターやマヨネーズ代わりにパンに塗り、食べる直前にぜひ“追いオリーブオイル”を」
おすすめレシピ「チーズトマトハンバーグホットサンド」
<材料(2人分)>
・食パン(6枚切り) 2枚
・チルドハンバーグ(市販品) 1個(200g)
・スライスチーズ 2枚(濃厚なコクが楽しめるチェダーチーズがおすすめ)
・レタス 2枚
・ミニトマト 3個
・EVオリーブオイル 小さじ4
<つくり方>
(1)ハンバーグは湯せんで表示通りに温める。ミニトマトはヘタを取り、半分に切る。食パンは2枚とも両面にオリーブオイルを小さじ1ずつ塗る。
(2)ホットサンドメーカーに食パンを1枚おき(オイルを塗った面を上に)、レタス、ミニトマト、(1)のハンバーグ、スライスチーズの順で重ねたら、もう1枚の食パンをのせ(オイルを塗った面を下に)、しっかりと挟む。
(3)(2)を弱火で3分、ひっくり返して2~3分焼いたら出来上がり。お好みでオリーブオイルをかけてどうぞ。※レタスとスライスチーズは、半分に折りたたんでのせると、ボリューム感が出る。
サラダには塩×オリーブオイル
「スペインやイタリアなど、オリーブオイルの産地である地中海地域では、サラダにEV(エキストラバージン)オリーブオイルと塩をかけて楽しまれています。オリーブオイル×塩の組み合わせは最強コンビ。たくさん調味料を揃えずとも、これだけで様々なメニューが楽しめますし、クセが少ないので、バターやマヨネーズ、ドレッシング、たれやソースなどの代わりにも使えます。
「塩は、粗めの岩塩を使うと、素材のおいしさが一層引き立ちますよ。また、ハーブ類とも相性がよいので、余裕があればお好みのハーブを加えても。タイムとかオレガノとかセージとか、ご自宅にあるものを適量加えるだけです」
季節のフルーツにかける
「『トマトのカプレーゼ』と同じ感覚で、フルーツともマッチ。爽やかでフルーティーな香りとコクが加わります。フルーツは手に入れやすい旬のものでよいですが、中でも相性がよいのはイチゴやキウイフルーツ、桃など、程よい酸味と甘みのあるものです」
おすすめレシピ「キウイのカプレーゼ」
<材料(2人分)>
・キウイ 2個
・モッツァレラチーズ 1個(100g)
・バジル(フレッシュな葉) 6〜8枚
・塩 小さじ½
・ピンクペッパー(ホール) 適量(あれば)
・EVオリーブオイル 大さじ2
<つくり方>
(1)キウイは皮をむく。キウイとモッツァレラチーズを同じ枚数になるよう薄切りにする。
(2)お皿に(1)を交互に盛り付け、塩、ピンクペッパーをふり、バジルをちらす。
(3)オリーブオイルをかけて出来上がり。
焼き芋がリッチなスイーツになる
「キャンプでは、焚き火を楽しむ方も多いですよね。それなら焼き芋を焼いて、EVオリーブオイルをかけてみてください。サツマイモの甘みがより引き立ち、フルーティーな香りも加わって、いつもとはひと味違う味わいになります」
オリーブオイルと相性のよい食材
null甘い、しょっぱい、辛い、酸っぱい。さまざまな味となじむオリーブオイルは、まさに万能。中でも相性のよい食材はありますか?
野菜なら、トマト、ジャガイモ、ナス
「季節を問わず手に入れやすく、キャンプでも使いやすい野菜なら、トマト、ジャガイモ、ナス。そのままソテーするだけでも十分ですが、おすすめは『ハッセルバック』というスウェーデンの家庭料理です。簡単だけど見た目にも華やかで、テーブルに登場すると盛り上がりますよ」
おすすめレシピ「オリーブオイルでハッセルバックポテト」
<材料(2人分)>
・ジャガイモ 2個(ナス、トマトにかえても)
・ブロッコリー 1/3株
・ミニトマト 4個
・シュレッドチーズ 20g
・塩 適量
・EVオリーブオイル 大さじ3
・パセリ(みじん切り) 適量
<つくり方>
【自宅で】
(1)ジャガイモは下ごしらえをする。よく洗い、下まで切り落とさないように3mm間隔の切り込みを入れ、5分ほど水にさらす。水気をきって耐熱皿にのせ、ラップをして電子レンジ(600W)で10分加熱する。
【キャンプ場で】
(2)ブロッコリーは小房に分ける。ミニトマトはヘタを取る。スキレット(もしくは小さめのフライパン)にジャガイモを切り込みが上になるように入れ、オリーブオイル(大さじ2)を切り込みの間に入るようにかけ、ジャガイモを裏返して火をつけ、焼き色がつくまで3分ほど焼く。
(3)ジャガイモを裏返し、スキレットのすき間にブロッコリー、ミニトマトを入れ、塩を全体にふり、オリーブオイル(大さじ1)を回しかける。
(4)シュレッドチーズをジャガイモにのせ、蓋をして5分蒸し焼きにし、パセリをふる。お好みでオリーブオイルをかけて(分量外)いただく。
チーズなどの乳製品
「チーズ、ヨーグルト、バニラアイスクリームなど、乳製品とも相性抜群です。好きなチーズにかけるだけでコクと香りが増し、そこにフルーツのせれば酸味や甘みが加わって、味が広がってゆきますよ。
また、パンにフルーツ、チーズをのせて焼き、EVオリーブオイルをかけるのもおすすめ。見た目も華やかですし、ジャムがなくても甘いトーストが楽しめます」
おすすめレシピ「カマンベールアヒージョ」
<材料(3人分)>
・カマンベールチーズ 1個
・ミニトマト 4個
・ブラウンマッシュルーム 4個
・ブロッコリー 1/3株(80g)
・にんにく 1片
・EVオリーブオイル 150ml
・塩 少々
・粗びき黒こしょう 少々
・パセリ(みじん切り) 適量
<つくり方>
(1)カマンベールチーズは表面に切り込みを入れる。ミニトマトはヘタを取る。ブラウンマッシュルームは半分に切り、ブロッコリーは小房に分ける。にんにくは薄切りにする。
(2)スキレット(もしくは小さなフライパン)の中央にカマンベールチーズを入れ、周りにミニトマト、ブラウンマッシュルーム、 ブロッコリー、にんにくを並べ、軽く塩をふる。
(3)(2)にオリーブオイルを注いで中火にかけ、野菜に火が通ったら、軽く塩、粗びき黒こしょうをふり、パセリを散らす。お好みでオリーブオイルをさらにかけて。
缶詰に加えてコクとフレッシュ感アップ
「常温で持ち運べて日持ちのする缶詰にオリーブオイルを加えると、コクが加わり、フレッシュ感もアップします。
個人的には、洗ったお米にコーン缶や焼き鳥缶、サバの水煮缶などとオリーブオイルを加えてつくる、炊き込みごはんもおすすめ。ほかに具材や調味料はいりません。オリーブオイルでコクも増して、窯離れもよくなりますよ」
おすすめレシピ「ちょい塩オリーブ サバ缶」
<材料(1缶分)>
・サバの水煮缶 1缶
・赤唐辛子(輪切り) 少々
・にんにく 1片
・塩 適量
・パセリ(みじん切り) 少々
・EVオリーブオイル 適量
<つくり方>
(1)にんにくは輪切りにし、芯を取り除く。
(2)サバの水煮缶は、水気を切って耐熱容器に入れ、オリーブオイルをひたひたに注ぐ。
(3)(2)ににんにく、赤唐辛子を入れて焼く。(ご自宅の場合は、温めたトースターで約10分、キャンプの場合はぐつぐついったらOK)
(4)塩、パセリをふり、仕上げにオリーブオイルをかける。
キャンプにおすすめの新パッケージ
nullオリーブオイルの可能性は、まさに無限大といっても過言ではなさそう。最後に、キャンプに一押しの新商品も教えていただきました。
「自然の中で遊ぶキャンプで使うなら、地球環境にも優しい森林認証紙を使用した『スマートグリーンパック』シリーズがおすすめです。紙パックといっても、油がしみたり酸化したりする心配がない、5層構造。紙パックなので、使い終わったら約1/2にたためます」
「また、注ぎ口は、油垂れしにくいWキャップになっていて、これは開発にかなり時間をかけました。
シリーズの中でも、300gサイズは持ち運びにも便利なサイズ。キャンプに向けて、自宅で使っているものを詰め替えなくてもすむので、ぜひ外ごはんのお供にしていただけたらうれしいです」
キャンプで火を使った調理時に使うのもいいですし、ピクニックなどでお弁当やお重を楽しむときに調味料代わりに使うのもよさそうです。簡単で万能なオリーブオイルレシピで、もっと楽しんじゃいましょう!
【取材協力】
J-オイルミルズ
朝ランが日課の編集者・ライター、女児の母。目標は「走れるおばあちゃん」。料理・暮らし・アウトドアなどの企画を編集・執筆しています。インスタグラム→@yuknote