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初心者もこれでバッチリ!アウトドア料理のプロが教える1泊2日の親子キャンプ「おすすめ食材&調味料」

気候が穏やかな春は、テント泊デビューによい季節です。そこで、キャンプに詳しいフードコーディネーターのみなくちなほこさんに、親子キャンプを楽しむ際に、役立つ知識を聞きました。今回教わったのは、1泊2日ぶんの食材と調味料の選び方。初心者はもちろん、キャンプ好きにも役立つこと間違いなし!

まずは冷蔵庫をチェックして、メニューを決める

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料理もキャンプの楽しみの一つですが、一つ面倒なことが……。それは旅行前にも生じる、冷蔵庫の中のものを食べてから出発せねばという悩みです。しかし「別に食べ切って行く必要はありません。冷蔵庫に残っているものも一緒に持って行っちゃえばいいんです」と、みなくちさん。

大切なのは、あらかじめメニューを決めて、使う分だけ持っていくこと。キャンプはテンションが上がり、ついあれもこれもと買いがちですが、わざわざ買い足すのは冷蔵庫に何があるかチェックしてから。多すぎると使い切るのも、余った食材を持ち帰るのも大変です」(以下「」内、みなくちなほこさん)

便利な食材と運び方

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ここからは、多くの家庭に常備してあり、その中でも家族キャンプに便利な食材と持ち運ぶ方法をご紹介します。

子どもに大人気の定番食材

普段とは違う環境に興奮して、子どもがあまり食べなかったり、遊び食べをしたり。そんなキャンプあるあるにも太刀打ちできる、テッパンの定番食材があるそうです。

いつもと違う環境。
いつもと違う遊び道具。そりゃ食べません。

チーズ、ちくわ、肉加工品の3つは子どもも大好きで、万能です。どれも持っていくのが楽ですし、ちょっと炙るだけでもおつまみやおかずになります。コンビニでも手に入るので、自宅にない場合や忘れても、キャンプ場の近くで買えますよ。

中でも、ソーセージやハム、ベーコンなどの肉加工品は、スープに刻んで入れるだけで味も出ます。ソーセージは長めの串に刺して、火で炙ってあげるだけで、子どもはいつもと違う感があって大喜び。『ジョンソンヴィル』のような、大きめのものが食べ応えもありおすすめです」

キャンプに必須!5つの食材

では、幅広いメニューに使える食材の中でも必須のものとは?

(1)米

みなくちさんが愛用している『ナルゲンボトル』は、メモリもついているので計量にも使える。

「そのまま炊飯しておかずと一緒に食べたり、具材を加えてピラフにしたり、スープに入れて雑炊にしたり、おにぎりにしてラップをしておけば子どものおやつにもなる。米は、必須の食材です。

自宅でといで、水にひたして持っていくと現地でも楽ですよ。もしくは、お水の量さえ気をつければ、無洗米でもOKです。

私は、アウトドア用の頑丈で軽量な水筒『ナルゲンボトル』に入れていきます。もしくは、ジッパー付き保存袋に入れるのもおすすめです。中身を使ったら、ゴミ袋として現地で出た生ゴミなどを入れて持ち帰ります。袋の場合はとくに、お水がこぼれないように気をつけてくださいね」

(2)食パン

『ジップロック』に入れた食パン。ここに卵、牛乳、砂糖を入れれば、フレンチトーストも作れる。

「常温で持ってゆけるのでパン全般は便利な食材。フランスパンやベーグルなどもいいですね。中でも食パンは柔らかいので、お子さんもそのまま食べやすい。翌朝にはホットサンドなど、残ったものや好きな具材を挟めば一食になるのもいいですね。

ちなみに、ホットサンドにするなら、私は6枚切りが好き!  8枚切りだとホットサンドメーカーなどで挟んだときにぺったんこになりすぎて、パンの食感やおいしさがどこかにいってしまうので。

買った袋のまま持っていってもよいですが、食パンなら私は『ジップロック』のコンテナに入れていきます。中でも15.6cmの正方形で深さ8.3cmの「1,100mlサイズ」には、6枚切りの食パン3枚がシンデレラフィット! 潰れる心配なく持っていけますよ」

(3)お肉

ひき肉は、ジッパー付き保存袋に入れ、平らにして凍らせる。

「牛肉、豚肉、鶏肉、ラムなど、お好みのお肉でOK。お肉は、キャンプに欠かせない食材ともいえる一方で、余ると困るものの一つなので、必ず使うぶんだけ持っていきましょう

塊肉、スライス、ひき肉、いずれも凍らせていくとより安心です。塊肉の場合は、塩胡椒など下味調理をしてから凍らせると、現地での調理がスムーズ。ごちそう感のある、豪快なキャンプ料理を楽しめます」

ちなみに、エビや魚などの魚介類は?という記者に「ちょっと上級者かな」とみなくちさん。鮮度を保つという意味でも、キャンプ料理に家庭から魚介類を持ってゆくのは少し難しいそうです。道の駅など、キャンプ場の近所で新鮮なものを手に入れ、その日のうちに食べ切ってしまうなら安心かもしれません。

(4)野菜

家庭にある野菜や切れはじも、コンテナにまとめて持っていけばいい。

野菜は、まず何が自宅にあるかチェックしましょう。足りないものを買い足します

便利なのは、常温でも日持ちのする根菜類や玉ネギです。和洋中、いろんな味付けになじむので、幅広い料理が楽しめますよ。トマトなど潰れやすいもの、葉野菜など鮮度が大切なものも、持って行き方さえ工夫すれば大丈夫です。

潰れやすいものなら『ジップロック』のコンテナに入れる。鮮度が落ちやすいものは、鮮度を保つ野菜鮮度袋に入れてゆきます。野菜鮮度袋は、私はロングセラーの『愛菜果』を愛用しています」

(5)卵

緩衝材と一緒にコンテナに入れてから、クーラーボックスに入れる。

「スープに入れたり、ホットサンドの具材にしたり、茹でたりと、いろいろな食べ方のできる卵はキャンプでも便利です。

ただ、売っているパックのまま持ってゆくのは、ちょっと不安。キャンプや登山に卵を持ってゆくための専用ケースもあるけれど、登場頻度が低いうちはもったいないですね。

潰れないように、私は『ジップロック』のコンテナに新聞紙を緩衝材にして持っていきます。この新聞紙は、現地で鍋を拭いたり生ゴミを包んだりしてから捨てれば、一石二鳥です」

キャンプ料理におすすめの調味料

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調味料といえば、近頃アウトドアスパイスも人気です。何を持っていけばいいのでしょう?

「アウトドアスパイスはそれだけで味が決まりますが、塩味がちょっと強いので、お子さんなどは食べ疲れる場合があります。それに、全部がその味になってしまうので、応用が難しく、使い切るのも大変です。

食材と同じく、調味料も使い慣れないものは買わず、家庭にあるものを持っていきましょう。中でも便利なのは、塩が入っていないハーブミックスや、優しい味わいのスープベースです

料理がワンランクアップする3つの調味料

左から「野菜ブイヨン」「エルブ・ド・プロヴァンス」「Fista アウトサイドハーブスパイス」。すべてみなくちさんの愛用品。

(1)『オーサワ』の「野菜ブイヨン」

「よく溶けて香りもよく、普段から使っています。これは、添加物不使用で、動物性の食材も使っていないビーガン対応

お湯に溶かせば即席スープに。シチューの隠し味やオムレツに入れてもいいし、アヒージョに入れるとまるでお店の味。炊き込みごはんにするとピラフのような味わいになります。あとは、唐揚げの下味にしてもおいしいですよ!」

(2)「エルブ・ド・プロヴァンス」

ハーブを加えて、味にメリハリを付けたいときは『エルブ・ド・プロヴァンス』がおすすめです。塩も入っていないハーブミックスで、コンソメを溶かしただけのスープにちょっと加えるだけで、上質な味になります。

日頃の料理でも使えますし、何か一つ持っていく、もしくは買い足すならこれがいいと思います。いろいろなメーカーから出ていて、大型のスーパーでも手に入りますよ」

(3)『Fista』の「 アウトサイドハーブスパイス」

「アウトドア業界のパイオニアでもある田中ケンさんと『ギャバン』が一緒に作った『Fista アウトサイドハーブスパイス』は、塩が入っていないスパイスミックスです。14種ものスパイスが使われているからか、一振りで味と香りに奥行きが出ます。

ネーミングにこそ『アウトドア』とついていますが、いろいろなお料理に応用が効くので、気になる方は一度試してみてください」

これも便利! みなくちさんのキャンプ定番調味料

このほかにも、みなくちさんがキャンプに必ず持ってゆく調味料は、ホール(もしくは粗挽き)のブラックペッパー、ウスターソース、マヨネーズ、バターなど。どれもパッケージから小分けにせず、そのまま持っていきます。

「ブラックペッパーは、味が締まるので、あると便利。ホールか粗挽きが、香りが一層よくておすすめです。

ウスターソースは、出汁感覚で使えます。カレーやシチューの味が決まらないときに入れると、一気においしくなりますよ。

マヨネーズは万能ですね〜。缶詰に混ぜれば味がマイルドになりますし、ケチャップと混ぜてホットサンドのソースにしてもいいです。

バターは、味に変化を付けたいときや、コクを出したいときに加えます」

徳島発の老舗味噌『かねこ味噌』がベース。

ちなみに、ちょっと変わり種ですが、徳島のお味噌を使った「アンバイソース」も万能と、みなくちさん。

「生野菜やソテーしたお肉にかけたりして楽しみます。甘酸っぱくて、いろんな食材と合いますよ」

日頃から食べ慣れた自分好みの調味料の中で「これはキャンプでも使えるかも?」と目星をつけておくのもよさそうです。

1泊2日の親子キャンプ「メニュー例&必要な食材」

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さて、ここまで便利な食材と持っていき方の基本を教えていただきました。

仕上げに、具体的なメニューをイメージしてみましょう。今回、想定したのは1泊2日、大人2人と子ども1人の親子キャンプです。

夜に使った食材や残った料理を翌朝に繰り越して楽しめば、食材をしっかり使い切って帰りやすいですよ

今回のメインディッシュ「ローストポーク」。

<メニュー>

1日めの夜】
メインディッシュ・・・ローストポーク ★レシピはこちら
おつまみ&主食・・・食パンで「チーズフォンデュ風」もしくは「パンコントマテ」
スープ・・・「簡単スープ」

【2日めの朝】
メインディッシュ・・・いろいろなホットサンド
ドリンク・・・コーヒー、「キャラメルミルク」などホットドリンク

※「」のメニューは下記に簡単レシピをまとめています。

<簡単レシピ>

・チーズフォンデュ風
シェラカップや小さなスキレットに、ピザ用チーズ(またはとろけるチーズをちぎって)牛乳を入れて火にかけて溶かします。そこに、野菜やひとくち大にきった食パンをつけていただきます。

・パンコントマテ
お好みのパンを食べやすい大きさに切り、表面を軽~く焼いてカリッとさせてからオリーブオイルを塗り、ニンニクとトマトの切り口(プチトマトがおすすめ。残っても食べ切りやすい)をこすりつけて塗り、フライパンで焼きます。

・簡単スープ
スープキューブ(コンソメ、チキンスープなどお好みのもの)を溶かし、とプチトマト(パンコントマテで使用したものでもOK)を入れ、卵でとじます。

・フライパンでホットサンド
アルミホイルで包み、ぎゅーっと押しながらフライパンで両面を焼けばホットサンドの出来上がり。「食パンに挟むと意外な食材同士の組み合わせもまとまるから不思議です。前夜の残りを活用したり、好きな食材をのせてみたり、いろいろ楽しんでみましょう」。

・キャラメルミルク
温めた牛乳に、お菓子のキャラメルを溶かすだけ。

<1泊2日で必要な食材>

・豚の塊肉・・・500g
・お好みの野菜(根菜類、トマトなどがおすすめ)・・・適量
・食パン(6枚切り)・・・1〜2袋(食べたいぶんだけ)
・エルブ・ド・プロヴァンス(なくてもよいが風味づけに便利)
・チーズ(ピザ用チーズもしくはとろけるチーズ、クリームチーズなど)
・卵
・牛乳
・バター
・お好きなフルーツ(バナナ、苺、フルーツミックスなど)
・各種調味料(塩、胡椒、マヨネーズ、ケチャップ、蜂蜜など)
・飲み物(お酒、コーヒーなど)

こうして考えると、キャンプだからと特別なものは用意しなくてOK。むしろ、日々の延長でよく、屋外ならではの環境を楽しみながらゆっくり料理が出来るのはキャンプの特権です。次のキャンプに、どうぞ生かしてみてくださいね。


【取材協力】みなくちなほこ(キッチンボタン) 

ニイミユカ
ニイミユカ

朝ランが日課の編集者・ライター、女児の母。目標は「走れるおばあちゃん」。料理・暮らし・アウトドアなどの企画を編集・執筆しています。インスタグラム→@yuknote

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