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放送係と100メートル走とお弁当。娘(5年生)の運動会【お米農家のヨメごはん#12】

こんにちは。富山県の黒部市というところで、お米だけを作っている小さな小さな農家の濱田律子です。旦那とココ(娘・11歳)と3人で、地道に真面目にコツコツとお米を作りながら、仕事に子育てにドタバタもがきつつも楽しく暮らしている、そんな私たちの食卓周りの日常を皆さんにお伝えする連載の12回目。

今回は、学校の一大行事!運動会のお弁当作りと、その運動会で運動が苦手な娘でも活躍できた事、そして稲刈りだけではない、新米をご用意できるまでのお米の世界について、お届けしたいと思います。

運動会。正直にいってしまえば、私にとってはちょっと憂鬱

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運動会だ……。運動会は、単なる運動会ではなく、私にとっては、お弁当を作らなくてはいけない、そして、その為に早起きしなくてはいけない日だ。正直に言ってしまえば、ちょっぴり憂鬱。

お弁当を作らなくてはいけない上に、炎天下のもと一日ずっと外にいなくてはいけない。さらには、普段は接する事のない父兄の皆さんとご挨拶を交わすという、人見知りの私にはなかなか厳しいイベントだ。

どうやったら少しでも運動会そのものを楽しめるか。1年目はそれこそ全く様子がわからず、お弁当作りも場所取りも親子競技も無我夢中でこなしたけれど、5年目になるとだいぶ様子がわかってきて、一番の手の抜きどころ=お弁当作りもばっちりになった!

とっても美味しそう!とSNSで皆さんから褒められたこのお弁当だって、よくよく見て欲しい!作ったのは卵焼きと、前日から漬け込んで朝あわてて揚げた唐揚げくらいだ! 海老フライは冷食だし、トマトは詰めただけ、カボスはスライスしただけ。

2段目のおむすびは、白米と黒米入りと2種類だけど、具なし!ほんのり塩だけをきかせた、いたってシンプルなおむすび。海苔さえ用意しなかったのは、ちょっと反省している。ちょっとだけ。

3段目のフルーツは、この季節ならではの無花果とブドウ。どちらも地元産というこだわりはあれど、無花果は皮ごとスライスしただけ、ブドウは房からちぎっただけ。それを、彩りを考えてギュギュっと詰めた。

文章にしてしまうとあっけないくらいお手軽なお弁当だけど、それでもぱっと見て美味しそう(実際に美味しいけど!)なのは、彩りを考えた事、季節感を取り入れた事、そして何よりこの、お重がお料理を引き立ててくれている、それが秘訣だと思う。

これは、お弁当に限らず普段の食事にも共通するけれど、味付けはシンプルでも季節の物を取り入れて、あとはお皿の力をかりれば、手の込んだお料理でなくても十分に美味しそうに見えるし、実際に美味しいと思う!

家では見られない、放送係で活躍する、しっかりした娘の姿に……

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他の地域は春にある事も多い運動会だけど、この地域は昔ながらの秋に開催。

春でも秋でもどちらでも、米農家にとっては農繁期。特に収穫の秋は稲刈りとばっちり日程が重なる。晴れていたら運動会があって雨だと中止になるけど、私たちは晴れていたら稲刈りだ。雨だったら行けると言う旦那は、永遠に運動会には来れなさそう(笑)。だからいつも私はひとりぼっちでグラウンドへ行く。

土の広々とした校庭も、その向こうに連なる雄大な山々も、そんなに競争が激しくない場所取りも、とっても贅沢な空間。

走るのが苦手な娘、100メートル走は安定のビリだったし、全校生徒が参加するリレーでは、この日一番の盛り上がりだったのではないかと思うほどの、派手な転び方をしていた。それでも運動会を楽しんでいて笑顔全開な娘。なんて前向きな!と親の私も感心するほど。

これまでは活躍する機会がほぼない運動会だったけど、今年は放送係をまかされていた! しっかりとマイクを手に持ち、選手の活躍を目でちゃんと見て、笑顔で実況するその様子は、家ではあまり見れないしっかりとした姿だった。この子はこういう表情をするんだな、友だち同士こんな感じで遊んでいるんだな、先生とも楽しそうにお話をしている!

ただ競技を見るだけでなく、こういう姿を見れる事こそが、運動会の醍醐味だと思う。帰宅して、転んで傷だらけの怪我を晴れやかに見せてくれた娘。うん、それは頑張った勲章だね!

今年の米作りも佳境。稲刈りの後の大事な作業「乾燥調製」と「農産物検査」って?

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一方作業所では、運動会の盛り上がりそっちのけで、乾燥調製に追われていた。

稲刈りと同じくらい大事な作業、それが乾燥調製。刈り取った籾(もみ)を貯蔵に適した水分量に乾燥させて、籾殻(もみがら)を取り除いて玄米にしてから、各種選別機を通して袋詰めにしていく。この作業が稲刈りと同時並行で行われる。

稲刈りは、田んぼという表舞台だから誰もが知っている作業だけれど、この乾燥調製は、作業所でひっそりと行われるのであまり知られていないかもしれない。でも、どちらもまぎれもなく米作りの、なくてはならない工程だ。乾燥調製しないと、当たり前だけれど「お米」にはならない。影で行われているこういう地味な作業1つ1つが、米作りそのもの。私はそれをしっかりと見て(たまに手伝って)皆さまにこうして写真や文章でお伝えする事、それを仕事としているわけで、こういう地道で地味な作業こそ、皆さんに知ってほしいと思っている。

そしてもう1つ大事な作業が、この農産物検査。お米は、消費量が減ったとはいえ日本人の主食。安定的な食糧の供給という観点からいろんな法律が制定されていて、管理や流通の円滑化が図られている。

農産物検査、いわゆる等級検査は、米の外観を目視で1等2等と格付けする検査で、この等級により農協さん等への卸価格が決まる。個人のお客様に直売しているような私たち米農家には卸価格は関係ないけれど、この検査を受けないと、産年・産地・銘柄を表示できない。つまり、令和元年産の富山のコシヒカリ!と謳って販売できないのだ。

私は数年前にこの、農産物検査員の資格を取得。一農家が取得する事は非常に珍しい資格だけれど、お米の事をよくわからないまま格付けされる事が嫌だったので一念発起した。速やかに検査をして、いち早く生活者の方へ新米をお届けできるようになったのも利点。

……というわけで、101日から皆さまのもとへ新米をお届けしていきます。

瑞々しい新米の味わいはこの時期だけ。是非たくさんの方に味わっていただきたいと思っています!


濱田さんの作ったお米はこらから→濱田ファーム

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