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オーストラリアの現地校での学びは大充実。一方で、日本の勉強のキャッチアップ問題も【シドニー教育移住レポート#6】

一家でオーストラリア、シドニーに移住をした、kufuraライターの橋浦多美です。今回は、「オーストラリアで学んでいること」と「日本の勉強のキャッチアップをどうするか?」問題について書きたいと思います。

書いている現在は7月下旬、ちょうど冬休みが終わって3学期が始まったところです。いつも長い休みは色々と用事を入れていたのですが、今回はあえて、「自分の人生を考えよう」というテーマを設け、短期の家族旅行以外は何も入れませんでした。自分でやりたいことを見つけ、時間をどう使うかということに重きを置いたつもりでしたが……、果たして、子どもたちにはどう響いたのでしょうか?

オーストラリアの小学校で「学べること」、逆に「学びにくいこと」

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1.なんといっても英語!

オーストラリアは移民大国です。学校にも様々なバックグラウンドを持つ人が通っています。授業は全部英語ですが、双子が通う小学校では母国語が英語ではない人が約半数を占めます。我が家のように来たばかりで、英語がまだまだという子どもたちは、EALD(English as an Additional Language or Dialect)の授業に参加していて、英語の授業は別クラスで初心者向けの英語を学んでいます。

学校に通い始めて約半年。英語が少しずつ聞こえるようにはなっているようですが、まだまだ日本語が先に出てしまう双子。ここに来る前は、夫も私もおそらく本人たちも、英語の環境に身を置けば割とスラスラと英語が出てくることを期待していましたが、なかなかそうはいかないようですね。

また、2人の性格の差もあるのでしょうが、英語の進捗状況にも少しずつ差が出てきました。フレンドリーで愛想がいい弟の方が積極的に英語を使い、間違ってもご愛嬌!という雰囲気ですが、弟に比べると少しだけ真面目でこだわりがある兄は、なかなか英語が言葉になって出てきません。言葉の壁なのか、性格の殻を破らなければいけないのか、目下、ちょっとした悩みです。

もうちょっと積極的になって……と思ったりもしますが、あまりプレッシャーをかけてもと、悩ましいところです。

2.人前での発表は積極的に。上手にできた人は大いに讃える!

2学期の終わりに双子の弟がもらったメダルと賞状。前向きに、英語学習に取り組んで努力したということでいただきました!

日本の小学校にいるときには、毎日宿題を持ち帰り、漢字の書き取りや音読、計算などをやっていましたが、こちらは日々の宿題はありません。ただ、毎学期の課題のようなものがあり、前学期のTerm2では、プレゼンテーションの発表がありました。

日本人から見ると、外国の方はとりわけプレゼンが上手に感じますが、こうやって小さいうちからプレゼンやスピーキングを経験していくと、抵抗がなくなるような気がするのでもっと取り組んでほしいと思っています。

今回はいくつかのテーマの中から自分で選び、それについて調べてまとめて、発表をするという方法でした。日本でもパワーポイントを使った発表会はありましたが、グループ作業でした。今回は子どもは1人で発表をする、しかも英語!ということで、とても緊張をしていて、何度も練習に付き合いました。

そして日本と違うと思ったのは、上手にできた人に対してとにかく表彰をすること。今回のスピーチもそうですが、スポーツなどで上位に入った人は、Assemblyと呼ばれる集会で賞状やメダルを授与されます。また、その表彰の様子は親も見にいくことができます。

順番をあまり付けたがらない日本の学校とは大きく違うなと思いますし、子どもも次は表彰されたい!メダルが欲しい!と思うようで、子どもの自尊心を育てる上で大きな影響があるような気がしています。

3.モノづくり、スポーツに積極的

冬休みに訪れたオーストラリアの首都キャンベラにある科学館。大いに触って動かす仕掛けがたくさん! 2人はテンションが上がり、半日たっぷり遊びました。

また、こちらはとにかく手を動かし、体を動かすことが多いです。前TermではSTEAMと呼ばれる授業のなかで、レゴブロックのようなものを使って作品を作りました。それも上手にできた人には表彰状が贈られ、我が双子の兄もいただいてきました!

また、双子が通う学校では毎学期スポーツのイベントがあり、Term1は水泳、Term2はクロスカントリー、Term3は陸上があります。また選択制のスポーツ授業があり、Term2とTerm3には自分の好きなスポーツを選び(先着順)、スポーツによっては学校外の施設に行って授業を受ける仕組みになっています。

さらに、学校から選ばれた選手が地区の学校と対戦するようなスポーツイベントもあります。今回はAFL(オーストラリアンフットボール)で、選ばれた人は毎週金曜日の朝練に参加し、学期に2回ほどある地区の学校との試合に参加します。今回双子の兄もAFLに参加していますが、自分の学校以外の子どもたちとも触れ合うことができて、とても楽しいようです。

このように、スポーツで思い切り体を動かす、手を動かして何かを学ぶということにとても力を入れているのですが、日本のようにプリントやドリルをやらせるということは少ないです。教科書もありませんから、普段どのように勉強をしているのかがわかりにくいのは難点なのですが、子どもは学校がとても楽しい!と言ってくれているのは充実している証拠なのだと思います。

日本の勉強のキャッチアップ、どうする?

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英語を学びにきた我が家ですが、この先オーストラリアでずっと過ごすか、他の国に行くか、また日本に帰るかなど先のことは今のところ決めていません。ただ、日本人として生まれてきて、日本の教育をずっと受けてきたので、日本の勉強をおろそかにするというのもやはり気が引けるのです。

そうなるとこちらの勉強に加えて、日本の勉強もしていかなければいけない気がして、結局たくさんの時間を勉強に費やしてしまっています。この現象は我が家のみならず、他の日本人ママたちとも共通の悩みで、とにかくあの手この手で勉強をさせているような状況ですね。

1.日本人として国語はマスト、漢字はとりわけ大事

漢字はやらないとどんどん忘れるらしく、とにかく書かせないとダメなようです。漢字と音読は日本人としてちゃんとしておきたいところだと思っています。

当初は日本語補習校で日本語を続けて学んでもらう予定でしたが、我が家から通いやすいところは満席でウェイティング状態です。こんなことなら、もっと早くに申し込んでおけばよかった……と思いましたが、仕方がないので、日本語教師の資格を持つ私が教えています。

ただ、我が子に勉強を教えるというのは結構ストレスが溜まるもので、お互いにとって良くないような気もしています。

こちらでいただいた日本の教科書をもとに進めていますが、漢字のドリルを日本から送ってもらい、到着する間に漢字の勉強をお休みしていたら、とっても不思議な漢字を書き始めた……。これは英語を覚える分、日本語(漢字)を忘れてしまっている?という状況ですね。大人だって書かなければ忘れるわけで、子どもも同じでやはり書いて使わないとどんどん忘れていってしまうようです。こればかりは手を動かしてやってもらわなければと思っています。

また国語だけでなく、算数、理科、社会の4科目はオンライン塾でフォローしていますが、どこまでしっかりと聞けているのか不安も残ります。

2.日本よりも進み具合がゆっくりな算数は塾でフォロー

算数はこちらと日本ではやり方が全く違います。例えば九九。日本では小学校2年生の時に暗記で覚えましたが、こちらでは、暗記は一切しません。小学校6年生までに一つ一つを根拠を持って全部を学ぶようです。

算数に関しては、全体的にはオーストラリアの方が進みがゆっくりなようで、我が家は算数はフォローも含めて算数塾に通っています。我が家は期間の決まっていない滞在ですが、滞在期間がある程度決められている駐在員さんの家庭では、帰国後の受験などを見据えた日本の学習塾に通っている方が多いです。

海外にいた年数などの条件によっては帰国子女枠で受験をすることができるようですが、帰国子女枠も狭き門で、そう簡単ではないという話も聞こえてきます。やはり受験の核となるであろう、国語と算数はどんな状況になっても対応できるようにしっかりやっておきたいという方が多いようです。

このように、オーストラリアの勉強と日本の勉強、両方をこなすには時間的にも難しく、また本人たちのやる気も続かないようで、なかなか悩ましいところです。全部はできないので、取捨選択の時なのかもしれません。どこを取ってどこを捨てるか、とても悩ましいところです。

次回の連載は、9月15日にお届けします!

橋浦多美
橋浦多美

大学卒業後OLから25歳でアナウンサーへ転職。テレビ、ラジオ、司会等を中心に現在はフリーのアナウンサーとして活動中。得意分野は家計経済で、暮らしがよくなるお金との付き合い方を日々考えています。FP、宅建士、ビジネスマナー検定、食生活アドバイザーなどの資格を保有。双子男児の母。

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